カンボジア(アンコール遺跡見学)旅行

古代の文明、遺跡に興味があり、これまで、エジプト、トルコ、中国、ペルー、メキシコなどにある古代文明の遺跡を見学したことはあったが、東南アジアやインドなどには行ったことが無かった。そこで、カンボジアにある有名なアンコール遺跡群を見学に行こうかと阪急旅行社のツアーをインターネットで申し込んだ。一人追加料金が割安になる日程で5日間(実質的には4日間)のツアーが有ったので申し込んだ。

  あなた任せのツアーで安価に短期間で多くの遺跡を効率的に見て回れる。同一のホテルに3泊で昼休みもあるので比較的スケジュールに余裕がありそうである。今回も無事に旅行を楽しめたのは現地のガイドや同行された皆さんのお陰である。感謝する。

  今回のツアー参加者は11名で女性が多かった。一人で参加したのは自分を含め5名で。卒業旅行だと言う2人連れ、会社の休暇を利用した人、親子連れ、退職した人といろいろだが、旅慣れた人が多いようであった。

  カンボジアはポルポト政権下では悪名高い虐殺が行われて20年前まで内戦状態が続いた。最近になってようやく安定な平和状態になり、アンコールワットの遺跡にも大勢の外国人観光客が訪れるようになった。

  日本人観光客も多かったが、韓国人、中国人、欧米の観光客も非常に多く、さすが東南アジア随一の世界遺産である。

  この地域はクメール人が住んでいてかってクメール王国を作り、インドから入った小乗仏教やヒンヅー教を信仰していたとのこと。アンコールワットなどアンコール遺跡群は仏教やヒンズー教のお寺や廟などの遺跡で9世紀から13世紀くらいまでに建造された独特の石造建築である。その壮大さと石壁に彫刻されたレリーフは見事であった。

 2月16日() 晴れ
    前日の15日は大雪で東京方面に行く電車は動かなかった。日曜日も電車の運行がどうなるか心配したが、幸い始発から浅草行特急電車りょうもう号は動いていた。朝10時45分に成田空港のツアー集合場所に到着。E−チケットを貰いツアーの説明を受けた。12時45分発。

    カンボジアまでは日本からの直行便は無い。今回、アンコールワット遺跡群の近くの町シェムリアップに行くため大韓航空を利用する。先ず韓国の釜山に行った。成田を発ってしばらくして雪を被った富士山が左下に見えた。

                

  2時間半かかり釜山の空港に到着。3時間待ってシェムリアップ行の飛行機に乗った。釜山から5時間半かかり夜中の11時前にシェムリアップ空港に到着
(日本との時差は2時間)。入国手続きを終え空港を出たのは11時を過ぎていた。

  現地ガイドの出迎えを受けてバスに乗り本日の宿泊のホテルに向った。約20分でホテル
(シティーアンコールホテル)に到着。高級ホテルでは無いがなかなか良いホテルでここに3泊するのでゆっくり出来る。ホテルにチェックイン後、シャワーを浴びてベッドに入った。なかなか眠れない。

 2月17日() 晴れ 
    朝6時半に起床。7時前から朝食。8時半にバスでホテルを出てまず遺跡見学切符売り場に向かった。アンコール遺跡見学の3日間通しの切符(パス)を購入した。3日間通用のパスで40ドル。購入にあたって一人ずつ顔写真を取りパスに印刷してあった。その後東方向に進みロリュオス遺跡群に向った。国道6号線を走り途中からダートロードとなり約一時間のバスで到着。このロリュオス遺跡は7世紀から10世紀にかけての石造りの建造物でヒンズー教の神殿、寺院あるいは廟である。ロレイ、プリアコー、バコンの遺跡を順番に見学した。

 ロレイ                                     プリアコー             
     


パコン
    

  

  やはり南の国のカンボジアである。歩いていて暑くなってきた。林の中に残っている特徴的な塔、回廊、壁のレリーフなど写真でしか見たことが無かったクメル文明の遺跡の実物を見て面白かった。
  このような建造物が形こそ違え世界各地で作られていると改めて思った。人間のやることはどこでも変わらないようだ。

  シェムリップ市内に戻って昼食後、ホテルで休憩。良く眠っていなかったのでベッドでうつらうつらする。
 
  午後はまたバスに乗り東北部にあるプラサットクラヴァン、東メボン、バンテアイスレイの3つの遺跡を見学。
こちらも壮大な建造物である。余りに沢山ありすぎてそれぞれの印象が薄くなる。

    プラサットクラヴァン                                
      
  


    東メボン 
     


バンテアイスレイ
     

   夕方になり遺跡からの夕日を眺めにプレループ遺跡に向かった。遺跡の上には大勢の観光客が集まっていた。5時50分ごろ日没。真っ赤な太陽が西の方角の山並みの向こうに沈んで行った。

プレループ遺跡よりみる夕日
    


   その後、市内のアンコールクッキーのお店に立ち寄りお土産のクッキーを購入。

   夕食後ホテルに戻った。夜の自由時間はホテルの近くの通りを歩いて町の様子を見学。帰り際に向かいのコンビニに行きビールとお土産用のドライフルーツを買った。序でに、その前の屋台で売っていたマンゴー一個をカットしてもらい一ドルで購入した。ホテルに戻ってこのカットしたマンゴーを食べたが非常においしかった。 レストランでデザートとして出されたマンゴーよりずっとおいしかった。

  風呂に入り11時過ぎに就寝。

2月18日(火) 晴れ 
    アンコールワットからの日の出を見るために朝5時前に起床。バスは6時にホテルを出て約15分でアンコールワットの西側に到着。お堀の中の通りを歩き門を通って回廊の中に入った。朝早いが大勢の観光客がいる。目の前には写真でおなじみのアンコールワットの塔3本が見えた。太陽はその右手から6時45分ごろ上がって来た。日の出は何処で見ても厳粛な気になる。

   アンコールワットの日の出
  

  陽が上がってきたらバスでホテルまで戻り朝食を取った。準備してバスに乗りベンメリアまで向かった。ベンメリアはシェムリアップから東側約80qの距離があり、バスで1時間半かかった。アンコールワットと離れているため入場券は別に購入。ベンメリア11〜12世紀にたてられた遺跡。見かけは他のアンコール遺跡と変らないように思えたが、密林の中に立っている巨大建造物で木々に埋もれてかなり壊れていた。

ペンメリア
  

  シェムリアップ市内に戻り昼食後、ホテルでシャワーで汗を流して休憩。暑くて汗が出てくるので昼の休憩が長いのが有難い。休憩後バスでアンコールワットに向かった。西側の門から参道に入る。参道の両側は巨大なお堀に取り込まれていて壮大である。参道の端で左側に行き池(聖池)に写っているアンコールワットの巨大石像寺院を眺める。

アンコールワット
  


  参道の終点の西塔門テラスを越えていくと第一回廊になる。第一回廊の壁一面に見事なレリーフが描かれているが余りに沢山過ぎて全部を見きれない。


  

  第一回廊から十字回廊を経て内側の第2回廊になる。十字回廊の壁には江戸時代初期にアンコールワットを参拝した日本人森本右近太夫の墨で書かれたサイン(落書き)が残されていた。400年以上前に海外に出て活躍していた日本人が少なからずいたことに驚かされる。

  階段を上がると第2回廊。外壁には美しいレリーフが刻まれている。第2回廊の内側は第3回廊となるが第3回廊に至る階段は非常に急である。登っている人もいたが、我々は第2回廊までで終わりとした。
    
   アンコールワット第3回廊への階段
    


  アンコールワット遺跡見学の後は市内に戻りオールドマーケットを見学。野菜売り場など生鮮食料品売り場を回って見たがさすが南国で日本で見たことが無い野菜、果物などが見られた。その後土産物を売っているお店を覗いた後、ドライフルーツ、ナッツ類、スパイ類を売っているお店でお土産品を購入。
 
  
  レストランで夕食後ホテルに戻った。後は寝るまで2時間ほど自由時間。市内の住人が日常利用しているスーパーマーケットでどのような食料品や日常品がどのような価額で売られているか興味があったので、ガイドとホテルのフロントに尋ねて近くのスーパーマーケットの場所を聞いて行って見ることにした。

   スパーマーケットの名前はLucky Mallでホテルから歩いて30分はかかると言う。ホテルを出て歩き出すとバイクにキャリアーを付けたツクツクの運転手がやってきてどこまで行くのかと聞くので、Lucky Mallと答えると2ドルでどうかと言うので1ドルなら乗ると言うとOKだと言うのでツクツクに乗りLucky Mallまで行った。1ドルを払い下りると、ツクツクの運転手は帰るまでここで待っていると言う。

  スパーマーケットに入ると中は万国共通である。値段はすべてドル表示で分かりやすい。野菜や果物の品ぞろえ豊富であるが輸入品も結構多いように見えた。日本と異なるのは国産品(カンボジア産)は非常に安いのに輸入品は高い。日本のスーパーマーケットでは輸入品は安いのに国産品は高いのと大違い。やはりカンボジアは農業国である。

  気になったのは韓国産のイチゴや中国産のリンゴ(ふじ)が結構高値で売られていたことである。さすがに日本産の果物類は置いてなかった。こんな高い果物を買う人がいるのであろうかと思ったが、カンボジアにもこのような果物を買う富裕層が存在するのであろう。

  結局、このスーパーでナッツ類とドライフルーツ、コカコーラ1缶、発泡スチロールのトレイに入っていたジャックフルーツの果肉を購入。コカコーラ1缶は0.7ドルで約70円。

  すべての商品について言えそうだが為替レートからすると日本よりかなり安そうだが、平均収入が少ないカンボジア人にとっては高いかも知れない。また、このようなスーパーマーケットを利用するのは中流層以上の人たちかも知れない。

  続いて2階の電気製品売り場を覗いてみた。Samsongの大きな看板と広い売り場面積。その隣の小さな看板と小さな売り場面積のSonyとPanasonic。日本の電気製品メーカーの苦戦を象徴するようであった。

  スーパーマーケットを出ると先ほど乗ってきたツクツクの運転手がやってきた。まさかと思ったが本当に待っていたのにはびっくりした。ツクツクに乗り一ドルと手持ちのカンボジア紙幣すべてを車代として渡してホテルに戻った。

  ホテルに戻りナッツをつまみに缶ビールを飲んだ。ジャックフルーツは初めて食べるトロピカルフルーツであるが、果肉2,3個なら珍しいしおいしいと思うが、8個も入っていたので全部を食べるのに苦労した。

  明日はホテルからチェックアウトする日なので荷物の整理を少しして、シャワーを浴びて就寝。

  

2月19日(水) 晴れ 

    朝6時前に起床。本日がシェムリアップに滞在する最終日なので荷物の整理をした。いつものように朝食後、7時半に出発。午前中はアンコール遺跡群のうち、12世紀に造られたプリアカン、パンテアイクデイ、タプロムを見学。

プリアカン
  


  


パンテアイクディ
  


タプロム
  


  非常に多くの石造建造物の遺跡がシェムリアップ周辺にあるのに驚かされる。

  昼食後、休憩時間だがトレサップ湖見学ツアーを申し込んだ。参加者2名のみでツアー会社にとっては赤字になるようで申し訳ない。
シェムリアップ市内から約30分でトレサップ湖にそそぐ川岸の船着き場に付き遊覧船に乗り川を下り湖に出た。湖は大変広く対岸が見えない。川の水も湖の水も土色に濁っている。川岸の付近で漁師が昔ながらの投網で魚を取っていた。

  トレサップ湖は琵琶湖の10倍くらいの広さがある大きな湖だそうだが乾季と雨季では湖の広さが3倍ほどになり、湖面も2m近く下がったり上がったりすると言う。雨季には大量の水がメコン川から逆流するのでこのような現象が出てくるとの事である。

  今は乾季で湖の近くでは農業がやられているが、それ以外では雨季でしか農業をやらない様で殆どの田畑が茶色く枯れていた。水門を作ってトレサップ湖の水を灌漑用に使えば良いのにと思ったが、彼らはそんな人工的なことをせず自然のままに生きているのかも知れない。

  湖の近くの住宅は湖面の上下に合わせて高床式になっていた。また、湖の周辺には湖面の上下に合わせて浮き沈みする大きな木製の住宅に住んでいる水上生活者が大勢いて魚業で生活をしているとの事であった。このような浮き沈みする学校や教会もあった。水上生活者は船で移動する。遊覧船は湖の上に浮いている大きな土産物屋に止まった。ここで降りてしばらく休憩。非常に大きないかだの上に家が立っている感じである。

船着き場                 水上の教会                水上の土産物屋
  

  ココヤシが一ドルだったので買ってその果汁を飲んでみた。水に近いが少し青臭い感じがしたが、栄養はあるものだとか。

  遊覧船は元の船着き場に戻り、バスでホテルに2時帰着。急いでシャワーを浴び汗を流し荷物を整理して3時10分にホテルをチェックアウト。

  荷物は預けてバスで今回最後の遺跡見学地であるアンコールトムに向かった。南大門を抜け参道を通り中心の建物バイヨンを見学。その壮大な建物に改めて感心。レリーフも塔の上に刻まれた観音菩薩の顔も素晴らしい。

バイヨン

  


  

  その後パプーオン、ピミヤナカス、像のテラス、ライ王のテラスを見学してから民芸品店に向かった。ざっと見てからお店の前にあったマンゴアイスクリームを食べた。

  最後の夕食は広い客席のレストランでビュッフェ形式。大勢の日本から来た観光客が目に付いた。正面の舞台では笛太鼓などの民族楽器の伴奏でアプサラダンスを踊ってくれた。カンボジアの踊りであろうが何となくバリ島の踊りと似ているような気がした。

 アプサラダンス
  

  夕食後はシェムリアップ空港に行き夜中の11時30分発のソウル行に搭乗。帰途はソウル経由の成田までであったが、夜行でもあり今回の旅で最も疲れた。