トルコ旅行

最近の円高と震災以後の旅行控えの影響か海外ツアーの料金が以前に増して格安になっている。一年半前に行こうかと思って行かなかったトルコに思い立って阪急旅行社のツアーをインターネットで申し込んだ。既に一人追加料金が割安になる日程は満席で、残席がわずかと言う9月3日発の10日間のツアーが有ったので急遽申し込んだ。

  あなた任せのツアーで事前の調査や現地での色々の手配などをしなくて良い代わりに物足りない点もあるが、安価に短期間で多くの所を効率的に見て回れるのは有り難い。今回も旅行を楽しめたのは添乗員さん、現地のガイドさんや同行された皆さんのお陰である。感謝する。

  今回のツアー参加者は26名で女性がやや多かった。一人で参加したのは自分一人だけでであったが、MさんとYさんご夫妻と食事時などご一緒させていただき話が弾み楽しい時が過ごせたのは何よりであった。Mさんとは共通の知り合いが何人かいることが分かり奇遇であった。

  トルコは4,5千年前からヒッタイト文明、ペルシャ文明、ギリシャヘレニズム文明、ビザンチン文明、セルジュク、オスマントルコから現代トルコと古代からの長い文明と民族の興亡の歴史がある。有名なカッパドキアの景色やトロイなどと共に現代トルコがどうなっているかも興味が持たれる。

  トルコの人々が親日的で、また、いろいろな意味で豊かな国であると感じた。イスタンブールはヨーロッパの大都市と同じように繁栄しているし、海岸沿いは緑が多く農業が盛んに行なわれているのがわかった。

  また、内陸部は乾燥していて雨が少ないためか草は枯れて黄色くなっており荒涼とした感じがしたが、麦を刈り取った後が非常に多かった。おそらく春先には雨が降り麦などの栽培収穫が出来ているものと思われ、全く穀物などが栽培されていない荒涼としたサバンナ地帯や砂漠地帯と比べて豊かな所だなと言う印象を受けた。

  時期的には真夏の非常に暑い時から気温がやや下がっており雨も降らず、旅行をするには良いタイミングであった。


9月3日() 晴れ
    朝10時に成田空港のツアー集合場所に到着。航空券を貰い、トルコ航空のイスタンブール行きにチェックイン後、ツアーの説明を受けた。同じトルコ航空で行く他のいくつかのツアーの団体客も大勢いた。12時発。
    飛行機は12時間以上かかりつらい。イスタンブール空港に夕方6時過ぎに到着(日本との時差は7時間)。入国手続き、トルコ通貨のトルコリラへの両替などをやって空港を出たのは7時過ぎていた。ここで。現地ガイドとバスの運転手の紹介があり、バスに乗り本日の宿泊のホテルに向った。バスはゆったりとしていて快適。これで今後のバスツアーが行なわれるとの説明があった。約30分でホテル(カヤラマダプラザ)に到着。ホテルにチェックイン後、シャワーを浴びて早めにベッドに入った。なかなか眠れず、また、夜中に度々目が覚めた。

9月4日() 晴れ (トロイ遺跡)
    朝6時前に起床。6時半から朝食。8時にバスでホテルを出てトロイに向った。道は片道2車線で整備されているが高速道路でない約3時間でダータネル海峡の手前のレストランで昼食。昼食後しばらく行きダータネル海峡のフェリーに乗った。約20分でトルコのヨーロッパ側からアジア側に到着。さらに約一時間のバスでトロイに到着。

  トロイの遺跡の入り口には伝説にある木馬を模した大きな木像が立っていた。トロイ遺跡はホメロスの叙事詩にある伝説を信じたシュリーマンによって発掘されたことで有名だが、紀元前3000年位から紀元前後まで栄枯盛衰を経た町で全部で9層からなる遺跡があるとのことで、未だ発掘中であった。広い遺跡内を一時間ちょっとかけて説明を聞きながら回った。

  トロイ戦争の伝説で余りに有名な遺跡だが、まだ全容が出ておらず今ある石組みから往時の栄華を偲ぶだけである。子供の時読んだシュリーマンのトロイ発掘の逸話の場所が目の前に拡がっていることに感動した。


        


   その後バスでアイワルクの海沿いのリゾートホテル(ハリッチパーク)に6時前に到着。目の前はエーゲ海で泳いでいる人がいた。自分も部屋に入って直ぐに、水着に着替えて海に出て一泳ぎした後、ホテル内のプールでさらに一泳ぎ。久しぶりに身体を動かして気持ちが良い。海は遠浅で海水温もほどほど暖かく気持ち良いビーチであった。

   夕食はビュッフェ形式。生野菜、果物も豊富で少し取りすぎ気味。ホテルの部屋から目の前に海岸が見えて夕陽が素晴らしかった。

9月6日(月) 晴れ (エフェソス遺跡)
    朝6時前に起床。朝食後、7時半にバスでホテルを出て南に向かう。約一時間でトルコ石の宝石店に到着し見学。みやげ物にトルコ石の飾りを買う方が何人かいた。さらに途中の休みも含めバスで2時間半近くかかり昼前にレストランに到着し昼食。
   昼食後バスに乗り一時過ぎに皮細工の店に到着。皮製の衣料品のファッションショーを見学した後、皮製品売り場に行った。革製品の説明、売込みをやっている店員の日本語が上手なのに感心する。日本に長期間滞在した経験者も何人かいるようであった。

  この後バスに少し乗った後、2時前にエフェソス遺跡に到着し歩きながら2時間弱かけて見学。エフェソスは古代ギリシャ、ローマ時代の遺跡で神殿、門、図書館、円形大劇場、街路、住宅、市場、浴場、公衆トイレなどの遺跡が良く残っていて見ごたえがあった。ローマにある遺跡と似ている所があり、古代ギリシャ、ローマ人が地中海沿岸のトルコに拠点を作っていた事がわかる。

     


     

  この後バスで近くのアルテミス神殿の遺跡を見学。わずかに数本の柱が残っているのみである。

  さらに途中の休みも含め約3時間バスに乗り、7時前に
パムッカレのホテルに到着。パムッカレは温泉が豊富にあるところである。

   夕食後、水着を付け温泉プールとサウナに入った。温泉プールは泳ぐにはやや熱すぎるが人は少なくそれなりに楽しめた。


9月6日() 晴れ (パムッカレ)
    朝6時前に起床。朝食後7時半にバスでホテルを出て30分でヒエラポリス遺跡とパムッカレの石灰棚に着き一時間以上かけて見学。

   石灰棚は温泉に溶けていた石灰(炭酸カルシウム)が山の斜面を広範囲に流れて固まったもので白い石灰棚と水溜りが斜面一面に広がり異様な景観を作り出していた。

   
   

   ヒエラポリス遺跡はその近くにあるギリシャローマ時代の遺跡で現在発掘中とのことで大きなクレーンが見えた。ここには大きな露天の温泉がありクレオパトラもも来て入浴したとか。遺跡の大理石の柱が横たわった露天の温泉には大勢の人が水着を着て入浴していた。

   その後、バスに乗り途中の休み、昼食を経て4時前にコンヤに到着
。コンヤは11-13世紀に栄えたセルジュクトルコの首都であった町。イスラム教の一派が本拠地とした所で、関連する寺院、メブラーナ博物館を見学した。

                

     その後、郊外にある高層ビルのホテルに行き宿泊。

9月7日(水) 晴れ (カッパドキア)
    朝6時前に起床。朝食後7時半にバスでホテルを出て1時間15分でSultanhaniと言う町にある古い隊商宿(キャラバンサライ)を見学後休憩。その後バスはカッパドキアに向かう。右手に富士山に似た山形のハサン山が遠望できた。

   11時前にカッパドキアに到着。まず石柱群、土柱群などがあるギョレメを見下ろす高台に停まり眼下の景色を見下ろす。新聞や雑誌で見たことがある光景が目の前に拡がっていた。以前見たアメリカのブライスキャニオンの土柱群、あるいは昨年行った西チベットのゲゲ遺跡近辺の土柱群の景色と若干似ているが、それらと異なりこちらは土柱、石柱群の間に大勢の人が住んでおり人の気配がいたるところにある。

               

   アイスクリームを買って食べた後、近くの岩をくりぬいた洞窟に住んでいる家を見学。中は少しひんやりとしていて比較的広く電気も通じている。岩壁には窓もあり空気が乾いているせいもあるが過ごしやすそうである。
   
   その後、絨毯工場に立ち寄り、繊細な模様のトルコ絨毯を作っているところを見学。ここの店員も日本語が上手で売込みが上手。その説明、話を聞いているだけでも面白い。

   バスで洞窟レストランまで行きマス料理の昼食。昼食後,バスでカイマクル地下都市に行き見学。入り口は狭いが中は広くて8層まであるとのこと、薄暗い洞窟内を上から4層下まで歩いて見学
。ここはイスラム教徒に追われた大勢のキリスト教徒が隠れて住んでいたとのことで、通り道をふさぐ石まで用意されていた。

                       

     さらに、バスでカッパドキア周辺の侵食された岩土が作り出した奇怪な塔、像の並んだ景色(スリーシスターズ、らくだの岩、バシャパー、ウチヒサル)を見学。

    

     6時前にウチヒサルを横に見る石造りの快適なホテルに到着。部屋の窓から見渡すカッパドキアの光景が素晴らしい。

9月8日(木) 晴れ (ハットウシャシュ、ヒッタイトの遺跡)
    朝6時過ぎに起床。ホテルからカッパドキアを眼下にして遠くの山から朝日が上がる。朝焼けがきれい。しばらくすると、カッパドキア上空に沢山の熱気球が上がり出した。ツアー客の一部の人も朝早く起きて熱気球に乗りに行っている。

  朝食は6時半から。レストランからも熱気球が上がっているのが見えた。8時にバスでホテルを出て35分で陶器店に着いて見学。日本の陶磁器と比べてやはりデザインが異なっている。

  さらにバスは途中一回停まって休憩した後12時過ぎにボアズカレに到着。レストランで昼食後,ヤズルカヤ遺跡に行き見学。ヤズルカヤ遺跡は岩場にあるヒッタイトの露天の神殿で岩の上に神々、王様などの人物像が浮き彫りになったレリーフが残っていた。ヒッタイトは鉄器を史上最初に使い強大な王国を築いた。

            
 
  その後、バスですぐ近くのハットウシャシュに行った。ここは3〜4000年前に栄えたヒッタイト王国の都市の遺跡がが目の前にあった。しかし、残っているのは崩れた石組み、石造りの城壁跡、崩れかけたレリーフで飾られた石の門、神殿、住居などの跡で広い丘の上に点在していた。さらに地下道まで作られていた。この都市の遺跡は地震で崩れたようであるが、現在も発掘が行われていると言う。

   

  このような、乾燥して草しか生えていない丘の上の都市で大勢の人口を支えるための水や食料をどうやって確保できたのであろうか?当時はこの付近はもっと湿潤で周囲には森があったのでは無かろうかと思った。

  ヒッタイト王とエジプト王のラムセス2世と平和条約を結んだと言う喫形文字の文書が有ったとのこと。両者は強大で覇権をかけて戦争をやったのだろう。エジプトに行った時見たラムセス2世の大きな石像を思い起こした。

  ヒッタイトの遺跡の発掘品などは博物館にあるとのこと、これらにも興味が持たれるが残念ながら短時間のツアーでは見ることが出来ない。それでも、高校の時の世界史で学び覚えていたヒッタイトの広大な遺跡を見ることが出来たのは幸いであった。

  本日は遺跡見学後、来た道をそのまま引き返してカッパドキアのホテルに戻って宿泊。


9月9日(金) 晴れ (サフランボル)
    朝6時に起床。朝食後、バスは7時半に出発。アンカラを目指す。途中琵琶湖の2倍の面積があるという塩湖(トウヅ湖)に立ち寄った。この湖は塩分が濃くまた浅いので乾燥した夏場は塩が析出し、雨が降る冬場には水に覆われるとのこと。
見渡す限り白い塩が析出して拡がっており異様な光景である。湖岸の塩の上を歩いて沖まで行った。

           

   バスはトルコの首都であるアンカラに達しレストランで昼食。昼食後バスに乗り5時過ぎにサフランボルを見渡す高台(フドウルルック)に到着。サフランボルは14〜17世紀のオスマントルコ時代の古い町並みが残っていて世界遺産に指定されているとのことで、独特の雰囲気があった。丘の上からの見学後、街に下りて浅草の仲見世のような雰囲気の商店街や石畳の通りを買い物がてらぶらぶら歩いた。サフランの産地でもあり、サフラン、サフラン入りのお菓子や石鹸を売っている店が多かった。

          

  後はホテルに入り夕食。
  

9月10日(土) 晴れ (イスタンブール)
    朝6時前に起床。今日も朝食後、7時半に出発。イスタンブールに向かった。途中休憩を挟んで1時過ぎにボスポラス海峡の大きなつり橋を渡ってイスタンブールのヨーロッパ側に入った。目の前に海が見えるレストランで昼食。その後、ブルーモスクを見学。エジプトで見たモスクと造りが似ているが壮大で美しい。

  

  さらにトプカピ宮殿に入り、有名な大きなダイアモンド、サファイア、ルビーなどの宝石類を見学。人が大勢いるのと余りにたくさんの宝石でさっと通り過ぎて見るだけ。やはり、宝石は数が少なく稀少だから意味がある。こんなに沢山をあると有り難味は薄くなる。トプカピ宮殿は人が多すぎるし印象が薄くて期待はずれであった。

  その後、グランドバザールに行き見学がてら歩いた。ここは、道が入り組んでいて多くのお店が並んでいるので迷いかねない。Mさん、Yさん夫妻と一緒に迷わないよう気をつけながら通りの一部を回った。ここで売っているものは貴金属製品、トルコ石などの宝石、じゅうたん、革製品など高級品を売っているお店が多かった。

  レストランで夕食後、中心街から少しはなれた所にあるホテルに行き宿泊。

9月11日(日) 晴れ (イスタンブール)
    本日はトルコでの最終日。いつもどおり6時に起きたが、7時に朝食後8時45分に出発となる。ツアー参加者の大部分はボスポラス海峡クルーズに行ったが、イスタンブールを自由に歩いてエジプトバザールなども見て見たいと思い自由行動とした。

  同じ考えのMさん、Yさん夫妻と一緒にホテルの近くから電車に乗り橋を渡って直ぐの魚市場を見学。市場は始まったばかりだったが色々の新鮮な魚が所狭しと置かれていた。

  その後、橋を歩いて戻り、対岸のエジプトバザールに行きぶらぶら見学がてら買い物。こちらのバザールは食料品や日用品を売っている店が多い。また店員で日本語を驚くほど上手な人がいた。日本にしばらく住んでいたと言っていた。同じようなお店が沢山軒を並べているのは壮観である。ここでスパイスとナッツをお土産に買った。

  11時半にバザールの門のところでツアーの皆とおちあい、近くのオリエント急行の終着駅となった駅舎を改装したレストランで昼食。アガサクリスティーの大きな写真や映画のポスターなどが壁に貼られていて、駅舎レストランは雰囲気が良い。殆んど昔のままであるとか。

   その後、かってはキリスト教の教会であったが、イスラム寺院に改装され、現在は博物館になっているアヤソフィアを見学。ビザンチン建築の建物だが、内部のモザイクのキリスト教の絵などが破壊されていたり漆喰で塗り固められていたが、それでも残った絵はすばらしいもいのであった。

        

   アヤソフィア見学後はイスタンブール空港に向かい、現地ガイド、バス運転手と別れ帰国の途についた。