放送大学の講義、「在宅看護論」

  10月中旬、放送大学客員教授として放送大学の授業の評価を依頼された。その授業のタイトルが何と在宅看護論。看護師を対象にした講義で、テキストを読みインターネット配信の全15回の講義を視聴し、レポート課題と期末の試験問題を見て評価しコメントを書くのが仕事。

  私も妻もそれぞれの両親は既に他界している。かって、母親の介護の真似事みたいなことをほんの少しばかり経験しただけである。今は自分も高齢者の端くれだが看護も介護も無関係で保険金を払う一方である。しかし、将来お世話になる可能性は充分あるし、それなりに興味はあるので熱心にテキストを読み講義を視聴した。

 本当は放送大学の群馬学習センターの客員教授でこの分野の先生がおられるので依頼が来たらしいのだが、その先生が忙しいと断られたので、暇な私にお鉢が回ってきたようである。自分にとってはこれから全く無関係な話ではないので、引き受けてそれなりに熱心にテキストを読み、講義を聞いた。

 今後、看護を受ける人は人口高齢化に伴って非常に増えていくと見込まれる。大勢の人を病院に長期間入院させることは施設数あるいは経済的に不可能となる。また、病状が末期の病人は家族に見取られながら自宅で死を迎える方が望ましいであろう。そのためには在宅での看護、介護が必要となる。

 この在宅看護論は在宅看護を支える専門の看護師向けの講義であるが、全く素人の私でも興味を持って見聞きすることが出来た。講義は在宅で高齢者、障害者、弱者、ガンや痴呆症になった人をどう看護するか、家族との関わりと支援、看護を支える技術的な問題、感染症対策、から精神的なケアの問題まで色々有り看護師も大変だなと実感した。看護と介護の違い、あるいはそれらの法的な仕組み、医師とのかかわり、訪問看護ステーションなどの支援体制、介護保険、健康保険との関わり、医療制度などある程度理解できた。

 看護師さんが献身的にやっておられることは講義の中の実例でよく分かった。しかし、これから大幅に増えていくと思われる要看護者を支える看護師、介護師は足りなくなるだろう。献身的にやっておられる看護師への報酬は多く無いようである。今後の保険財政など経済的な問題は大きいと実感せざるを得なかった。

   今は他人事だが、自分も高齢者の一人として考えさせられてしまった。このようなことについての知識を得て考える機会を与えてくれた事に感謝するとともに、この講義を少し変えて短くして一般の人向けにしたら良いのにと思った。