栗生山(968m)

   栗生は群馬県東部の渡良瀬川沿いにある標高1000mにも満たない山で、春のツツジ、11月始めの紅葉が美しい山として知られている。15年位前に登ったことがあるが、距離は短いが急斜面の杉林の中を登った記憶がある。栗生神社がある登山口は標高640mで、車でいける。実質的に歩く標高差は330mで一時間くらいの歩きとなる。手軽に行ける山である。

2010年12月12日 (晴れ
  今回、久しぶりに栗生山を登ってみることにした。初冬の冬枯れの山を散策するのも一興だろう。10時半ごろ自宅を出た。途中、コンビニでおにぎりを買い、渡良瀬川沿いを車で進み、水沼で左折し栗生山の麓の田代地区に向かった。途中ののんびりした里山の雰囲気が良い。最後の杉林の中の細い舗装道路を上がり栗生神社に11時40分についた。

  赤い鳥居の横を過ぎて、神社の前の駐車スペースに車を停めた。日曜日にも関らず一台も停まっておらず全く人気が無い。石の鳥居をくぐって大きな杉木立の中の石段を上がった。距離は短いが昨年行った熊野古道の杉林の道のようで雰囲気が良い。上に上がると栗生神社の本堂に出た。

栗生神社赤鳥居                        栗生神社石段の参道                    栗生神社本堂
    

  案内の看板によると、栗生神社は707年に創建された言い伝えがあるとのことで古い神社である。新田義貞の4天王の一人、栗生左衛門頼近を武運の神として祭っている。現在の祭殿は1790年に建てられたとのこと。一番奥の小ぶりな本殿は保護のために上屋がかけられているが、建物全体に見事な木彫りの彫刻が施されていて素晴らしい。この彫刻は地元の関口文次郎と言う彫師が彫ったものだとか、江戸時代にこのような田舎にも優れた職人がいたと感心する。また、境内には807年に植えられたと言う樹齢1200年の大きな杉の木が一本ある。

栗生神社本殿                          本殿の彫刻                           本殿の彫刻
    


   20分くらいかけて神社で本殿や大きな杉の木を眺めたりした後、右側の簡易舗装された杉林の中の林道を上がって行った。これが間違いの元であった。登山道は神社から左側を上がって行くことを後で知った。しばらく簡易舗装された細い林道を上がると、荒れた道となり間伐された杉が当たり一面に散らばっていた。
それを乗り越えて進んでいくと尾根に出た。それから先は道が無い。

樹齢1200年の杉                       尾根通し                             栗生山
     
   左に折れて尾根の上を進んだ。冬枯れの状態で草が生えていないので歩けるが、道が付いているようには見えない。尾根通しに林の中を登っていった。始めは緩かった傾斜がだんだんきつくなってきた。最後の急な登りでは落ち葉で非常に滑りやすくなっていて、近くにある木や岩を掴んでやっと上がることが出来た。ここで滑落しても死ぬことは無いだろうが、怪我をして動けなくなることは有り得る。誰もいないので助けを呼ぶわけにも行かないと思うと、緊張して慎重に行動したため時間がかかってしまった。
 
  上がりきった尾根の上は平らになっており、しばらく行くと三角点の標識のある頂上に達した。登山口から一時間弱かかった。少し行った見晴らし台で赤城山や袈裟丸山を眺めた。西側の遠方は曇っており、西上州の山や富士山などは見えない。

頂上の3角点                           袈裟丸山                            赤城山
      
  頂上で昼食後、下りについた。正式の登山道の入り口がよく分からなかったので、登りのルートをそのまま尾根通しに下ることにした。滑りやすい急な斜面は上りより辛い。手近に気が無い所は4つん這いになりながら降りた。斜面が緩くなれば林間ののんびりした歩き。その後は荒れた林道を歩き神社まで戻った。

  下りも50分以上かかってしまった。しかし、まだ2時15分。一人に出会う事無く静かな山行であった。