根本山(1199m)

   根本山は桐生市と佐野市の境、すなわち群馬県と栃木県の県境にある桐生川上流域では最も標高が高い山である。江戸時代からの古い信仰の山で、頂上付近には根本山神社がある。

   この山には10年以上前に根本沢を登るルートあるいは中尾根を上がるルートを経て上り、熊鷹山を経て下山するルートなどで3〜4度上がった事がある。沢コースは変化に富んでいて結構面白かったような記憶ががある。途中の桐生川上流域は紅葉の名所としても知られている。

   そこで、紅葉見物も兼ねて2009年11月7日に久し振りに根本山に登ってみることにした。天気も晴れで風も無く山行日和であった。

   
   朝7時に自宅を車で出て、途中のコンビニで昼食のおにぎりとお茶を買った。桐生川ダムのふちをを通り、桐生川沿いの道路を上がると、ふるさとセンター近くから道際の紅葉が色づき始めていた。上に行くに従い紅葉、黄葉が増してきて美しい。道は舗装されているが、だんだん狭くなりすれ違いも出来ない個所が続く。そのような狭い道にもかかわらず、一台のバスが先行してゆっくり走っていた。自宅から一時間弱で、三境山に続く林道の分岐点にあるやや広い駐車スペースに到着。バスもここで駐車した。10数人の登山客が乗っていた。県外ナンバーの車も2,3台止まっており遠方から来ている人もいるようである。



     




   準備して8時過ぎに歩き出した。舗装道路はすぐに終わり不死熊橋を渡った。ここで、林道と別れ左手のロープが張ってある急斜面の登山道を上がる根本沢ルートを辿ることにした。大勢のバスで降りた登山客はそのまま林道沿いに進むルートを通っていった。

   根本沢コースはそれなりに整備されていたと言う記憶があったが、10年以上あまり整備されていないようで狭い道幅で所々はっきりしない。最新の2万5千分の一の地形図を見ながら沢沿いに上っていった。地形図に書かれている登山道はずっと左岸沿いに上がっていくことになっている。登山道らしい狭い道を進んでいくと道は無くなり絶壁となってこれ以上進めそうに無い。

   対岸に渡ればさらに上に行けそうだが、そこからは間単に渡れない。濡れるのを覚悟して渡渉すれば行けない事は無いが、地形図に無いルートを辿るのも心配で引き返すことにした。しばらく戻ると道際にハイキングコースという標識が立っており、斜め上に向かっているように見えた。そこで、スギ林の中の道を上がったが、途中で道が消えてしまった。強引に上がっていくと林道に出た。

   林道を進むと中尾根コースという標識が見えたが、そちらに行かずそのまま林道を進んだ。地形図を見ると林道の終点近くで根本沢コースに出られそうである。この後の林道は数箇所で土砂、岩石が崩落していて、それを乗り越えて行った。しかし、終点では沢沿いに降りるのが難しそうであったので引き返して、沢沿いに降りれそうな地点を探しながら戻った。そこから沢沿いに降りて行くと道らしきものがあり、単独行の登山者に会った。その人と話しかけた所、ここは初めてで良く解らないという。対岸には看板が立っており別の単独行の人が通っていくのが見えた。そこで、対岸に渡ると登山道らしき道が続いており、ハイキングコースという標識が立っていた。地形図にあるのと異なり、根本沢の右岸沿いに登山道が付いている。地形図は最新のものであったが、間違った記載をしている。


  



   しばらく歩いていくと3人目の単独行の人がすごい早いペースで追い越して行った。沢沿いの道は狭くは岩がごろごろしている沢を歩く個所も多い。途中、ロープを張ってある所も数箇所ある。途中滑りやすい急斜面を横切る所で滑ってしまい、4,5m下の沢に危うく落ちそうになったがロープのお陰で落ちずに済み、事無きを得た。
 

                    

   さらにロープとハシゴで沢を登って行った。道端にたっている古い苔むした石塔、石の地蔵さんが目に付いた。石塔には天保7年建立という字も見えた。


       


         


   この後、登山道は沢の右側の沢を上がり根本山神社奥の院を経てから尾根伝いに上がることになるのだが、道を見失い左側の沢を上がってしまった。このまま沢を上がれば根本山に至る尾根道にぶつかるはずと急な沢を上がっていった。沢はもう水は涸れており、急だが岩がしっかりしており滑らずに済み、少し辛かったが面白い登りではあった。 先日登った北アルプスの北穂高岳の登りや涸沢から徳沢までのパノラマコースよりずっときつかった。

   予想通り尾根道に上がると、沢コースの正規ルートを登ってきた朝方遭った単独行の人と出会った。一緒に登山道を通り根本山に上がらず撒き道を通って根本山と十二山の鞍部にある根本山神社に達した。ここには木製の鳥居としめ縄を張った石作りの小ぶりのお宮があり、周りにはトタン製の壊れた小屋が倒れている。さらに尾根道を進み十二山に達した。途中からの同行者は休まず熊鷹山に向って行った。

     

   たった一人で風も無く暖かい中で昼食の休憩。贅沢なひと時である。紅葉と葉が落ちた木の間に根本山が遠望できる。

   この後、根本山に引き返した。神社を通り尾根道を経て根本山頂上に着いた。ここで小休止後、尾根道をそのまま進んだ。帰りは中尾根コースを辿る予定であった。木にはピンク色のてテープの標識が付けてあり、道には石の標識あった。下っていくとロープが張ってあり谷に下っていくようである。中尾根コースはずっと尾根道のはずである。おかしいと思い引き返すことにした。頂上までは戻らず、途中で右に巻く登山道らしき道を辿って尾根道に出た。ここから中尾根コースに下る分岐店まで戻り、中尾根コースを辿って出発点の不死熊橋に戻った。


  

   この後、何度も途中で車を止め桐生川上流域の紅葉を眺めながら自宅に戻った。

   朝8時過ぎに出て戻ったのが3時過ぎ。途中何度か迷ったせいで予想以上の時間がかかってしまったが、体力作りと紅葉見学を兼ねての楽しい山行であった。根本山も良い山である。

   最新の地形図ではこの辺の登山道は記載が殆ど無く、沢コースは間違った記載がなされている。地形図を頼りに行動していたのでもっと正確な地図を作って欲しいと思うと同時に、国土地理院発行の地形図だけを頼りに行動してはいけないと感じた。