10月17日(土)〜18日(日) 
北穂高岳(3109m)
上高地−横尾-涸沢-北穂高岳-涸沢-徳沢-上高地
単独行(山小屋泊)

   穂高岳周辺に行くのは今回で3回目となる。しかし、山スキーでは一度も行ったことが無いので一度は行ってみたい。山スキーに行くための偵察も兼ねて行って見ることにした。涸沢の紅葉はもう終わりで、涸沢の混雑も一段落したことだろう。しかし、上高地周辺は黄葉が見られると言う。途中の黄葉を眺めながら涸沢まで行き山小屋泊で北穂高岳
から涸沢岳を経て奥穂高岳まで上がった後涸沢まで戻ってもう一泊してから帰る山行を予定した。
  
   しかし、寒気が近づいて17日午後から標高の高い所はかなりの降雪があったため、北穂高岳登頂だけで引き返すことにした。アイゼンを持って行かなかったので少し怖い所もあったが久しぶりに雪の山を楽しめた。

10月17日(土)
   天気予報では松本地方は曇り時々晴れであったので、高速料金が割引になる土曜日の朝5時半に起床。用意して6時過ぎに自宅を出た。自宅近くの薮塚インターから高速を乗り継いで松本インターに点いたのは8時過ぎ。ここから上高地方面に行き沢度駐車場に着いたのは9時過ぎ。上高地行きのバスに乗り上高地に着いたのは10時前。
  登山届けを出して10時に歩き出した。観光客や散策している人が大勢いる中を、やはり涸沢まで行くと言う2人ずれと相前後しながら急ぎ足で通り過ぎた。少し急げば4時前には涸沢に着けるだろう。曇り空で時々雨がぱらついたりしてきたが、周囲の黄葉の景色を眺めながら快調に歩き、12時半には横尾に着いた。ここでおにぎりの昼食を食べ休憩。
   15分休んで出発。橋を渡りしばらくすると小雨が降り出した。折り畳み傘を出して歩いたが少しで止んだ。ナナカマドの紅葉は既に散って見られなかったが、カラマツなどの黄葉がきれいであった。これらの黄葉もあと少しで終わりとなるだろう。
   本谷橋で少し休憩し残りのおにぎりを食べた。歩き出してすぐに雨が降り出してきた。雨着を着るのも面倒で風も無かったのでこれくらいなら大丈夫と考えて片手にスティック、片手に折り畳み傘持って歩いて行った。雨はかなり降ってきて気がつかない間に下着まで濡れていた。下着は山用の濡れても寒くならないと言うものであまり気にならなかったが、やはり雨着を着るべきであった。
   雨が降る中を涸沢ヒュッテに15時40分到着。宿泊の登録をして濡れた上着やズボンを着替えた。結構大勢の登山客が泊まっているようで、乾燥室も濡れた雨着などが沢山干してあった。自分の濡れた上着、靴、靴下などを乾燥室に置かせて貰った。
   部屋は6人用の所に4人で布団も一人ずつがゆったりしている。昔の山小屋より寝るところも食事も良くなった物だと実感する。しかし最盛期はもっと混雑してスシズメ状態になることもあるだろう。宿泊客は中高年に混じって比較的若い人も多いのが目に付いた

   4時半ごろ受付に来てテント泊の登録をしている人がいた。晴れていたらテント泊も良いがこの時期の雨の中のテント泊は大変ですね。ご苦労様です。夜も雨音が聞こえ、時々雷鳴がしていた。
    5時から夕食。7時過ぎの布団にもぐり9時消灯。良く眠れず睡眠剤を飲んでどうにか寝たが少し睡眠不足となってしまった。

      黄葉も終わりに近づいた              カラマツの黄葉
          


10月18日(火)
   朝4時頃に目が覚めた。未だ外は真っ暗である。布団に入ったまま横になっていたが5時には起き出した。周りの登山客も起き出している。使用した布団をたたみ、荷物をザックの中につめた。5時半から朝食。準備して小屋の外に出た。ほとんどの登山客も同じように準備して外に出てカメラを持ち周囲の山の景色を撮っていた。天気は快晴で雪をかぶった穂高連峰が美しい。一夜で雪景色となっていた。涸沢ヒュッテ周辺は雪の量は少ないが少し積もっていた。昨日の雨は標高の高い所では雪となっていたようだ。風も冷たい。

   ザイテングラードに上がって行く人は一人もいない。北穂高岳に上がっている3人ずれが見えた。北穂高岳のほうがザイテングラード、奥穂高岳より雪が少なそうであった。自分も当初の予定通り、北穂高岳を目指して6時20分に出発。昨夜の雨交じりの雪が凍っていて滑りやすい。しかし、雪が少なく岩が出ているところが多かったので問題ない。上がるにつれ雪は多くなったが、柔らかくなってきておりアイゼン無しでも問題無さそうであった。2本のストックを利用して滑らないように注意して歩いた。しばらくして先行の3人に追いついた。

   この3人はガイドと客2人のグループで、ロープ、ハーネス、カラビナを利用していた。鎖場、はしごの所ではガイドが先行してロープを持って上に上がってから、客がロープを頼りに順番に上がって行くのを下から見ながら待った。雪を除けてくれていたりしてくれたので、後続の自分としては助かったが、待ち時間がかかってしまった。ガイドの判断でそれより上に行くのは危険ということで彼らはここでやめた。

   自分の方は行ける所まで行って見ようとさらに先に進んだ。雪はだんだん深くなってきたが、柔らかい雪でアイゼンは着けていなかったが、ダブルストックで上がった。久しぶりの雪の上を歩く感触がなんとも言えない。しばらくすると北穂高岳小屋の人と宿泊客が降りて来た。アイゼンもストック無しでも降りている人がいた。トレースをきちんとついて注意して行けば上までアイゼン無しでも行けるでしょうという話であった。そのまま上がり、鎖場も問題なく進み頂上に10時20分に到着した。しかし4時間もかかってしまった。

   頂上付近は全面的に雪で深い所で30cmくらいの積雪。周囲の山々の雪景色が素晴らしい。もう半ば冬山の様相である。雪を被った涸沢岳、奥穂高岳、前穂高岳が目の前に見える。反対側には槍の穂先が雲の合間に時々姿を見せた。さらに、雪を被った常念岳から大天井岳の稜線が見えた。たった一人の山を心行くまで堪能した。

   残念ながら、当初の予定の涸沢岳から奥穂高岳への縦走は雪のため無理なのでそのまま引き返した。頂上から10時半に下りだした。登りのトレースをそのまま辿り、涸沢ヒュッテに戻ったのは12時40分。下りも随分時間がかかった。

   スキーで北穂高沢を下れば快適そうですぐに降りてしまいそうである。奥穂高岳直登ルンゼは相当の急傾斜で自分のスキー技術では条件の良い時でないと無理かななどと思ったりした。

   雪の北穂高岳を上がったので今回の山行は十分堪能した。急げば高速料金が安い今日中に帰れる。
上高地発の最終バスは6時5分発である。行きに通った涸沢から横尾まで行く登山道は何回か通っているので、これまで一度も取っていなかった涸沢から徳沢までのパノラマコースを辿ることにした。12時45分にヒュッテを出発。

   パノラマコースの入り口にはこのコースは危険ですので、熟達者以外は通らないで下さいと言う看板が目に付いた。少しびびったが、今日の北穂高岳よりはマシだろうし、登山道にうっすらと積もった雪に先行者の靴跡がいくつかあるのでそのまま進んだ。確かに鎖場などがあるが、注意して行けばそれほど危険だとも思われない。

    屏風のコルに14時前に到着。先行者4人が休んでいた。ここで、休憩を取り遅い昼食のおにぎりを食べた。15分休んで出発。目の前には梓川の流れが見える。始めは緩い下りでよかったが、すぐに岩がごろごろした急な降りとなった。膝が痛くなる最も苦手な下りである。2本のストックを頼りに下るがスピードは遅くなり、ゆっくりと降りざるを得ない。ようやく下のほうで傾斜がゆるくなった所でスピードを上げることが出来た。

    梓川の川沿いに出て車道となり、駐車している車が見えた。道はほぼ平らになったので最終バスに間に合うよう出来るだけ早足で歩いて、新村橋に16時20分着。急いで橋を渡り徳沢に着いたのは16時30分。早足で歩いて明神池を17時15分。暗くなった道を歩いて上高地バス停に17時55分着で最終バスに間に合った。同じように最終バスに間にあわせるため急いで歩いていた人たちも間に合ったようである。急な下りと降りてからの早足で足が痛くなった。沢渡駐車場で降りてから、日帰り温泉に入り疲れを癒し汗を流してから帰路に着いた。

    今回もかなりハードであったが,まだまだこれくらいの山歩きが出来るのを確認出来たのが収穫であった。次は是非山スキーで行こうかと思う。

朝焼けの穂高岳            北穂高岳と北穂沢              奥穂高岳               
  


     途中であった雷鳥               北穂高岳頂上からの穂高連峰
         


     北穂高岳頂上からの槍ヶ岳       北穂高岳頂上からの常念岳、大天井岳