岩櫃山 803 m

    岩櫃山は群馬県の西北部(と言っても中央部に近い)にあり、渋川から草津に行く道路沿いにある山で標高は800m程度である。草津に行く時には見ていたはずだが、1000mにも満たない高さで名前も知らなかった。

    ところが、20016年の大河ドラマ、真田丸の舞台の一つとして岩櫃城が出ていた。岩櫃城は険しい岩櫃山の中腹にある山城で、戦国時代には武田、上杉、北条がその支配をめぐって戦った歴史がある。結局、武田の家臣であった真田氏が城の領有をし上州一帯を支配することになった。江戸時代には廃城となり、今は城跡だけが残っている。

    そのような歴史とテレビに出ていた険しい岩山の山容を見て一度は行って見たいと思っていた。低山なので11月中旬でも紅葉、黄葉は残っているだろう。直前の気象情報では11月17日は曇り時々晴れであったので岩櫃山に行くことにした。

    群馬県の山のガイドブックでは歩行時間は3時間もかからないとなっている。半日行程で行けそうであるが、黄葉、紅葉を見ながらゆっくり歩き、鎖場や梯子などでは慎重に上り下りしたので時間はかかったが満足の山行であった。

    あまり人が通らない十二様通りと密岩通りのルートを辿ったので、静かな山歩きを楽しむことが出来たことも幸いであった。急な岩の鎖場の上下も適度なスリルがあって楽しんで行けた。岩櫃山は低山ながらも面白い山であった。

    2018年11月17(土) 薄曇り時々晴れ  

   単独
 岩櫃山平沢登山口(9:40)-沢通り-櫃の口(10:30)-尾根通り、十二様通り分岐点(10:37)-十二様通り-潜龍院跡(11:10)―密岩通り登山口(11:25)―鞍部(12:00))―岩櫃山(12:40~12:55)-東側岩峰(13:00~13:20)-尾根通り分岐点(13:40)―岩櫃城跡(14:05~14:15)-登山口(14:35)
  6時半に起きて簡単な朝食を取り、自宅を朝7時過ぎに出た。国道50号線、17号線を経由して渋川に向かい、草津方面に向かう国道を進んだ。さらに中之条を経て左折して、道路を少し行くと岩櫃山平沢登山口の駐車場に9時20分に到着。広い駐車場には既に20台近い車が停まっていた。

  途中の国道で車が混んでいたのと、登山口に至る道路の左折箇所を間違えて引き返したりしたので予想以上に時間がかかってしまった。準備して登山口を出発。

  少し行くと観光案内所を兼ねたお店があった。そこからわずかな距離で、尾根通りと沢通りに別れる分岐点がある。尾根通りは岩櫃城跡を経由して山頂に上がる。一方沢通りは沢沿いを上り詰めてから尾根通りに合し山頂に至る。

登山口駐車場                        沢通り、尾根通り分岐点                沢通りを進む
   


  沢通りを経由して上がって行った。始めは杉林の木立の中のやや広くて斜度の緩い登山道で時々紅葉が見られ雰囲気が良い。先行の2人連れが進んで行くのが見え隠れした。少しづつ斜度が増して沢沿いの岩がごろごろした道となった。沢を詰めて梯子などがかかっている急斜面の岩を上がり切って尾根通りとの分岐点に出た。

岩がごろごろした沢を上がる               岩の間を通過                       尾根に上がり分岐点に到着
    


  このまま山頂方向に進めば岩櫃山に至る。今回は時間が十分あるので周回コースを取ることにして十二様通りを反対側に下ってから、岩の急斜面が続く密岩通りを経由して山頂に上がることにした。下山は尾根通りで登山口に戻れば良い。


黄葉、紅葉を見ながら十二様通りを歩く
    


  十二様通りを山腹を大きく迂回して下って行った。緩い下りが続き、途中の黄葉、紅葉が見事であった。平沢登山口からは結構大勢の人が上がっていたが、十二様通りを歩く人はいない様で誰にも会わない静かな山歩きであった。黄葉、紅葉の林の間から下の集落が見下ろせた。

紅葉                               郷原城跡                        潜龍院跡(岩櫃山十二様通り登山口)
    


  郷原城跡を過ぎて少し行くと林の中から広い平地が出て来た。ここが潜龍院跡で真田昌幸が武田勝頼を迎えるために急遽建てた御殿の跡をお寺にしたとの事であった。武田勝頼は織田、徳川連合軍に敗れて自刃したのでここに来る事は無かった。今はそのお寺も無い。


            険しい山容の岩櫃山
           

   正面にはテレビでも見た岩の殿堂のような岩櫃山の素晴らしい山容が見えていた。ここは車道に近くアクセスが良いため大勢の観光客、登山客がいた。車道をそのまま先に進み、岩櫃山の標識がある右手の細い道を進むと密岩通り登山口の標識が出ていた。

   ここには群馬県の山岳コースのグレーディングの標識が出ており。岩櫃山密岩通りは2Cのグレードであることが書かれていた。2Cとは鎖場、梯子などがあり場合によっては滑落事故も有り得ると書かれていた。始めは杉林の中の急登であった。直ぐに杉林から紅葉、黄葉の雑木林となった。


密岩通り登山口                        急な登山道を階段で上がる              ここも紅葉、黄葉が見事
    


   階段、鎖場、梯子などが続いて気が抜けない。上から二人連れが2組下りてきた。途中会ったのはこの4人だけであった。少しスリルのある登りを紅葉を眺めながらゆっくり上がり切ると鞍部に出た。ここで少し休んだ。


大きな岩を鎖を頼りに越える               鞍部に到着                         天狗の架け橋の上を通過
    


   鞍部から右手に進むと、岩の稜線沿いの急登が続いた。天狗の架け橋に差し掛かると迂回路の標識が出ていたがそのまま進んだ。大きな岩に穴が開いていて橋のようになっている。 始めは良かったが途中からやや細い岩の上を進む。バランスを失って落ちれば大怪我をすると思うと足がすくんで来る。ほんの2,3歩だが緊張して通り過ぎた。他の鎖場などはスリルを楽しんで上がったが、ここの通過は少し怖かった。


天狗の架け橋の迂回路のハシゴが下に見える     目指す山頂は目の前                  鷹ノ巣遺跡の標識
    


   天狗の架け橋を過ぎるとすぐに岩の急登で鎖と岩のコブを利用した3点確保で上がり切ると平坦な鞍部で鷹ノ巣遺跡の標識が出ており、直下には木の間越しに下の部落が見渡せた。


直下に下の集落が見渡せる               急な岩山を鎖を頼りに上がる               大岩の穴を通り抜ける
    


   目の前には岩櫃山の尖った山頂が見えた。大岩の穴を通り抜け、鎖や梯子をよじ登り、岩峰を左側に回り込んで山頂直下に出た。密岩通りは殆ど人に合わなかったのに、反対側からは大勢の人が上がっていた。

   大きな岩の山頂部は非常に急で2本の鎖が架かっていた。その鎖を頼りに下ってくる数名の登山者がいた。さらにもう一名が下ってくるのを待ってから、自分も鎖と岩の足場を利用して上がり、最後は梯子を使い岩櫃山山頂に到着。頂上部はやや広く上には標識が立っていた。


岩峰を左側に回り込んで上がる             最後の岩峰を先行者が下りて来た             岩櫃山山頂
    


   反対側の岩峰には結構大勢の登山者が休んでいた。標高が低いが周囲の山々の眺望は素晴らしい。南側には榛名山、その先には妙義山からに上州の山々、東側には小野子山、さらには赤城山や上州武尊山、谷川岳、西側には雲を被った四阿山、浅間山は雲に隠れて見えない。眼下には集落が開けていた。


反対側の岩峰で休んでいる登山者         小野子山、左の遠方の山は上州武尊山、谷川岳          赤城山
    


   頂上で休んで周囲の景色を見ている間に、次々と数名の登山者が上がって来た。頂上は大勢の人で窮屈になりそうだったので、岩峰を鎖を頼りに下り、隣の岩峰に上がった。ここではさらに大勢の登山者が休んでいた。自分もここでザックを下ろし、水を飲み昼食を取った。

左側の岩峰から見る岩櫃山山頂部          榛名山                           遠方に妙義山
    


   下山路も上部の穏やかな紅葉の林の中を通過すると急な岩の鎖場となる。さらにそそり立つ岩峰の間の狭い登山道を通過した後、天狗の蹴上岩の梯子を下りやや広い台地に出た。わずかに進むと行きに取った分岐点に出た。ここから尾根コースを辿り下って行った。周囲は紅葉、黄葉が多く美しい。


下山路の岩の鎖場                      狭い岩の間を通過                     天狗の蹴上岩を梯子で下る
    

   相前後して数名の登山者も下山していた。針葉樹林帯に入りしばらく行くと広い台地状の岩櫃城跡に出た。周囲には何本かの岩櫃城の幟が立っており、傍らにはベンチが置かれていた。

下山路も紅葉が美しい                   黄葉の先に下の集落が見える              岩櫃城本丸跡
    


   ここに立っていた岩櫃城由来の看板を読んで本丸跡、櫓台跡、さらには眼下の集落を見て回った。確かに防御に優れた山城である。後はなだらかで広い道が続いて沢通りと尾根通りの分岐点に達した。


岩櫃城跡から下部を見る                   岩櫃城の守りのかなめの堅城跡            針葉樹林の中の緩やかな下り
    


   観光案内所を過ぎると道の傍らに冬桜と黄色の月見草が咲いていた。

登山道沿いに咲いていた野菊               月見草                             冬桜
    


  のんびり歩いても直ぐに登山口の駐車場に到着。下りてくる登山者が結構大勢いた。後片付け、着替えをして帰途に着いた。
   
  
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