湯の丸山、鳥帽子岳 2101、2066 m

    湯の丸山は冬季の山スキーでは何度も訪れているが、無雪期の夏場には上がったことは無かった。山麓の地蔵峠から比較的簡単に上がれるので登山コースと言うよりはハイキングコースである。

    4月末の足の肉離れの怪我は完治はしていないが、普通に歩けるようになったのでリハビリを兼ねて登るのにはちょうど良いだろう。

    また、湯の丸山周辺は高山蝶のミヤマモンキチョウ、ミヤマシロチョウ、ベニヒカゲが棲息している。各地で高山蝶が絶滅や急激に減少している中で、湯の丸山周辺では地元の方による保護活動がなされており、これらの蝶を見ることが出来るとのことである。

   50~60年くらい前に蝶の採集をやっっていた頃、ミヤマシロチョウは八ヶ岳の麓の野辺山や甲武信岳の麓の梓山などに生息していて採集したことがある。また、25年以上前に南アルプス登山をした時に大井川上流でも見たことも有る。それ以降、ミヤマシロチョウにはお目にかかったことは無かった。

   ミヤマモンキチョウもずいぶん前に北アルプスや浅間山周辺で見たことがあったが、長い間見たことが無い。

   日本全体で多くの原野の開発がなされ、また、殺虫剤の散布て多くの珍しい蝶が絶滅した中で、湯の丸山周辺には未だ生息しているのは貴重で珍しい蝶が見られる。8月中旬に家族で池の平周辺に行ッた時、沢山のベニヒカゲが群れ飛んでおり、キべりタテハ、クジャクチョウ、アサギマダラが飛んでいるのを見た。

    しかし、7月に訪れてミヤマモンキチョウ、ミヤマシロチョウを見た事は無かった。高山蝶以外にも、今では見るのが難しくなった高原に棲息している蝶も見られることが期待出来る。

    そこで、これらの蝶を見るには時期的に少し遅いかも知れないが、7月20~21日に湯の丸山に出掛けることにした。
   
2017年7月20日(木) 晴れ時々曇り
   単独
 地蔵峠(10:25)-ツツジ平(11:00~11:35)-湯の丸山(12:15~12:30)―鞍部
(13:00)―烏帽子岳(13:50~14:05)-鞍部(14:35)-中分岐、鐘分岐、ツツジ平を経て-地蔵峠(15:50)
  

    朝食後、7時過ぎに自宅を出て上信越道東御湯の丸ICを経て湯の丸高原方面に進み、10時前に地蔵峠の駐車場に到着。地蔵峠周辺の宿に宿泊をお願いしたが、満室あるいは営業をしていないとの事で断られた。結局、地蔵峠から下った旧鹿沢温泉の宿を予約した。

    山歩きの準備をして地蔵峠から湯の丸スキー場のリフトの横を登って行った。スキー場のゲレンデは夏場は牧場になっており牛が草を食んでいた。陽が射して暑い。ゲレンデの斜面を上がり切ると平坦な樹林帯の中の登山道となり涼しくなった。クロヒカゲやヒメキマダラヒカゲなどの山地性の蝶が沢山見られた。

    しばらく行くと右側がツツジ平の看板があり、沢山のレンゲツツジの群落が見られる。レンゲツツジの花はほとんど終わっており名残りの花がわずかに見られた。レンゲツツジの群落の中にミヤマモンキチョウの食草となるクロマメの木、あるいはミヤマシロチョウの食草となるメギの木が点在している。ここにはミヤマモンキチョウ、ミヤマシロチョウが棲息しているとの事で、これら高山蝶の説明と保護を呼びかけた大きな看板が立っていた。地元の保護団体の方がメギの木を植えたりして保護活動をされているとの事である。

   ツツジ平で30分以上蝶を探して歩いてみたが、ミヤマシロチョウにはお目にかかれなかった。黄色の蝶を何度か見たが、飛び方や大きさ、色からして普通のモンキチョウが大部分。ミヤマモンキチョウもいたようだが、遠くから飛んでいるのを見ただけでは判別できない。この他、こヒョウモンなどの蝶も飛んでいた。

   ツツジ平での蝶探索を切り上げて湯の丸山の登りにかかった。灌木と草原の間の登山道は思った以上にきつい。上から降りてくる2人連れの人に出会った。彼らは烏帽子岳まで行き戻って来たとの事であった。

    ツツジ平から見る湯の丸山                              山頂から見る湯の丸スキー場、籠の登山
           


   陽射しで暑い中を上がり切ってようやく大小の岩で覆われた湯の丸山山頂に到着。行動食と水を取りながらしばらく休憩。近くの烏帽子岳、桟敷山、籠の登山は見えるが、遠方の浅間山、北アルプス、八ヶ岳は雲に隠れて見えない。

    湯の丸山山頂、向こうは烏帽子岳                             山頂から見る桟敷山
         


   しばらく休んでから烏帽子岳方面に向かって急斜面を下った。この下りは短いがきつかった。登山道の周囲にはクロマメノ木があり、ミヤマモンキチョウが飛んでいた。追っかけっこをしている雄雌のペアーがいたり、時々止まったりしたのではっきりと判別できた。

   急な登山道を下り切ると鞍部に達した。ここにも高山蝶の説明と保護を呼びかけた看板が立っていた。鞍部からゆっくり上がり稜線に達した。傾斜が緩くなった稜線上を烏帽子岳を目指して上がって行った。途中の小烏帽子岳付近でやや大きな白い蝶が飛んでいるのを2,3度見た。大きさや飛び方からしてミヤマシロチョウのようだが、遠くから見ただけなので確認は出来なかった。

   しばらく行くとやや急になり、大勢の小学生(中学生)の団体登山のグループ、数名の登山者が下りてきた。上がり切ると烏帽子岳山頂。2人の登山者が休んでいた。目の前の湯の丸山腫れていたが、上の方が次第に雲に覆われて来た。

          烏帽子岳山頂、向こうは湯の丸山
         


   小さな白い蝶(ヒメシロチョウ?)が頂上付近の花に止まって給蜜していた。2人の登山者もおりてたった一人になった。黒い雲が覆ってきて雨がポツリポツリと降って来た。これを機に下りだした。幸い雨はごくわずか降っただけで雨具を使わずに済んだ。

   急いで鞍部まで戻り、鞍部から湯の丸山の南斜面を巻いている登山道を下り中分岐点に達した。ここから鐘や東屋のある分岐点まで戻り、ツツジ平を経て地蔵峠まで戻った。

   暑さのせいか、足の怪我が完治していないせいか、歳とったせいか短い山歩きなのに疲れた。後片付けをして地蔵峠から旧鹿沢温泉まで下り本紅葉館に宿泊。

津の丸山、烏帽子岳で見た蝶
   ミヤマシロチョウ、ミヤマモンキチョウの写真は残念ながら撮れなかったが、多くの蝶が見られ写真にとることが出来たのは幸いであった。特に樹林帯の中で群れ飛んでいたクロヒカゲが多かった。今回、デジカメで蝶の写真を撮ることを試みたが、花などに止まっている蝶は比較的容易に写真に収めることが出来るが、飛んでいるもの、少し遠方にいるものの撮影は難しい。

エルタテハ         コヒョウモン         クロヒカゲ           ヒメシジミ         ヒメシロチョウ       ヒメキマダラヒカゲ    フタスジチョウ
      


湯の丸山で見た花
ハナチダケサシ          ウツボグサ           ウスユキソウ          キバナシャクナゲ       ヤマオダマキ         シモツケソウ
            


ヒオウギアヤメ         コオニユリ          ハクサンフウロ
    




 GPSトラック(湯の丸山以降は電池切れでトラックの記録が無い)