10月中旬に沢入側から根本山に行った時に5円前のガイド地図の記載が間違えているせいもあったが、登山道が良く分からずひどい目にあった。10月下旬に間違った箇所と地図の間違いを検証するために再び根本山に上がった。その時に山中でお目にかかった深田クラブ理事のKさんもその前日やはり登山道がよく分からず道迷いをして一部登山道で無い所を下りてしまったとの事であった。
そのKさんから11月22,23日に根本山で遭難事故があったようだけどご存知ですか?とのメールがあった。多くの新聞に事故記事として出ていたが詳しいことが分からない。
そこで、遭難者を救助した警察署に出向いて遭難事故の経緯と場所を尋ねて見たが、守秘義務があるので一切の情報開示は出来ませんとの事であった。
自分とKさんが登山道を迷った経緯からして、多分、初心者でも行ける中尾根コースを上がり、根本沢を下ろうとして迷ったのでは無かろうかとKさんと意見が一致した。Kさんは桐生側から中尾根を上がり根本沢コースを下ろうとして登山道が良く分からず迷ったとの事であった。
根本沢コースは、沢の渡渉、鎖場、梯子などがある初心者では難しいコースなのに、標識はハイキングコースとなっており、登山道の整備もなされていないと憤慨しておられた。
自分も根本沢コースを5,6年前に歩いたことがある。その記録(http://www.hsawai.sakura.ne.jp/31-14.html)を見るとやはり途中で何回か登山道を見失い迷っている。
20年以上前に2,3度根本沢コースを上がったが、その時はそんなに苦労しなかったように思う。当時は登山道が整備されていて標識もしっかりしていたが、その後整備が行われていないのではと思われる。
登山道や標識の整備に関わる市役所の担当部署に出向いて「現状では非常に問題があり再び事故が起こりかねないので、善処して欲しい」とお願いしたが、「今年度の予算はもう無いので来年度に様子を見て善処します」とのことであった。
ついでに、「桐生ハイキングガイドマップ」なるパンフレットを頂いた。こちらのパンフレットでは根本沢コースは上級者向きと書かれていたが、挿入された地図や案内文にやはりやや問題がある。
根本沢コースの現状と標識がどうなっているか気になって12月17日に桐生側から上がって見た。やはり根本沢コースは登山道の整備はされておらず、所々ピンクのテープがつけられているが迷いやすい。「根本山周回ハイキングコース」、「ハイキングコース」などと言う初心者でも行けそうな標識がある。また壊れた標識も結構ある。
さらに問題なのは、登山口の不死熊橋にある大きな根本山登山の案内標識であった。この立派な標識は20~30年前に立てられたのであろうが現状とは全く異なっていた。
根本山は良い山で首都圏からも結構大勢の登山者が来るようである。もっと、登山道、標識の整備が望まれるのだが。
2015年12月17(木) 晴れ
単独
登山口駐車場(11:05)-不死熊橋、根本沢登山口(11:15)-籠堂後(13:15)-鞍部(13:45)-峰の平(13:55)-中尾根十字路(14:15)-根本山(14:22~14:32)-中尾根十字路(14:40)-中尾根登山口、林道(15:44)-駐車場(16:13)
朝食を取り色々用事を済ませて自宅を出たのが10時過ぎ。根本山中尾根コースなら日が明るいうちに往復出来るだろう。駄目なら途中で引き返せば良いと考えたが、山に上がるのには遅すぎる時刻である。
梅田湖を通り過ぎて梅田ふるさとセンターから先は道路が狭くなる。対向車が来たら面倒だが、本日はウィークデーで幸い下の方で対向車にあっただけであった。見慣れた三境林道の手前の広い駐車場に車を停めた。すでに柏ナンバーの車が1台駐車していた。
準備して林道を少し歩いて不死熊橋手前の登山案内の標識を眺めた。立派な標識だが20~3年前のもので、詳しく記載されているのは良いが情報が古すぎる。すでに廃道になって久しいものまでそのまま記載されている。根本沢コースも一般ハイキングコースのように書かれている。すぐにでも変更した方が良いと思った。
登山口にある案内板 根本沢コースの登山口
不死熊橋を渡ると林道は続いて中尾根コースはこの林道沿いに上がって行く。根本沢コースは橋を渡ってすぐの左手の急斜面を上がる。この急斜面には鎖が掛けてあるが、途中、倒木がブロックしているのでその下を潜って行く。落ち葉と苔でやや滑り易く怖かった。
こんな危ない所を下るよりは登りの方がまだましだと思い、上りに根本沢を上がることにして緊張しながらこの急斜面を上がった。上がり切った所でやや平坦な沢沿いのコースとなってほっとする。しかし、沢沿いの登山道は整備されておらず歩き辛い所が多い。途中、何箇所も沢を岩伝いに渡った。濡れずに済んだが沢に落ちないように緊張の連続である。もう少し水量が多ければ濡れながらの沢の渡渉になる。
ハイキングコースの標識 途中で何回も沢を渡る(水量が少なかったので岩伝いに渡れたが、水量が多ければ渡渉が必要)
途中所々標識があるが分かりづらい。登山道を見失い沢沿いをそのままがった。濡れないように苦労しながら沢登りの要領でよじ登った。緊張する。
周回ハイキングコースの標識 ここでも沢を渡る ヘツリも結構ある
沢沿いの上の方を見ると、登山道が通っており標識が見える。少しばかりよじ登って登山道に出て歩く。やはり登山道の方が歩き易い。しかし、登山道は整備されていない様で歩きづらい上に分かりづらい。所々、ハイキングコース、根本山周回ハイキングコースなどの標識、これらが壊れかけた標識がある他、ピンクのテープの標識があるので何とか進める。
古い石段がある 渡渉点にロープが張ってある 沢沿いの雰囲気の良い登山道(ホッとする)
ロープが張ってある所もある。とてもハイキングコースと言えるような易しい状態で無い。沢沿いの歩き易い登山道になるとホッとする。
ここでも渡渉 荒れた登山道 ロープがかっているヘツリ(滑り掛かった)
上がるにつれて江戸時代に立てられた苔むした石碑、石の祠が出て来た。やや広い沢筋の中ほどに根本山大本宮と掘られた比較的大きな石碑が立っていた。この辺は昔、籠堂があったとか。
江戸時代に立てられた古い石碑、石の祠 根本山大本宮と書かれた石碑
さらに沢沿いを進んで左手の沢にかかる梯子を登りそのまま沢沿いを上がっった。ここでも石碑が立っていた。根本山神社の奥宮はこの右手の尾根上にあるのだが気づかずにそのまま沢を詰めてしまった。
沢にかかる梯子 古い石碑 広い沢を詰めて上がった
広い沢沿いはブナとツツジの疎林帯のやや急斜面が稜線まで上がっている。少し上がると長いロープがかかっていた。時々ロープにつかまりゆっくり上がって稜線上の鞍部に達した。稜線上は風が吹いていて寒い。おまけに太陽が出ているのに小雪がちらついてきた。
稜線上の鞍部に上がった 尾根筋の上部に鉄の鎖 判読不明の標識(下に小さく峰の平と書かれていた)
根本山は左方向だが、右方向の小ピークに上がった。上部の鉄鎖がかかった尾根筋を上がり切ると峰の平と小さく書かれた標識があった。ここから、下山ルートの標識は北側に向かう尾根筋を示していた。この先は急斜面の長い鎖場が続いて根本山神社の鐘楼、奥宮に達するが今回はここで引き返すことにする。幸い小雪もすぐに止んでくれた。
下山ルートの標識(判読しづらい) 壊れた行き止まり(?)の標識 男体山が見える
国土地理院の地図上では根本沢に下る登山道はさらに西に行き、次の小ピークから尾根筋を下ることになっている。しかし、こちらの方向には壊れているが、「行き止まり」と言う標識らしいものが立っている。傍らにロープが張ってあり紛らわしい。
稜線上を引き返して鞍部まで戻り、後は稜線上を根本山中尾根十字路まで戻った。頂上まで行っても4時前後には登山口に帰れそうなので、とりあえず頂上まで上がった。
中尾根十字路 根本山山頂 中尾根コース途中の石の祠
頂上では10分ほど休んでコンビニで買ったおにぎりの昼食を取った。風が出て来て寒くなったし、日没を考えたらゆっくりしていられない。中尾根コースを下って行った。やはり、中尾根コースは歩く人も多く登山道はしっかり付いていて迷うことは無い。尾根上の途中で石の祠があった。
林道からの中尾根コース登山口 林道は荒れている 倒木が林道を覆っている
中間部以降の植林された杉林を下り切ると根本沢林道に達した。ここには根本山中尾根コースに上がる標識があった。林道を荒れており大きな倒木が数か所でブロックしていた。登山者は倒木の間を通り抜けて行く。12沢との林道分岐点では根本山方向を示す壊れかけた標識があった。その横には、「倒木のため、立ち入りり禁止 日光森林管理室」の看板もあった。
「至 根本山神社」がなんとか判読できる標識 倒木のため立ち入り禁止の標識 さらに林道上に倒木
この林道を管轄する営林署も資金が無いので林道あるいは関連する登山道の整備も出来ないのだろう。しかし、立ち入り禁止の看板のある林道を通らねば中尾根コースで根本山には上がれない。標識や登山道を管轄する桐生市だって資金、人員に余裕が無く整備がままならないのだろう。
駐車場に着いた時には朝方駐車していた車はすでにいなくなっていた。
江戸時代には根本山神社への参拝客で賑わい、参詣用のガイドブックまで出されたと言う根本山である。地元の標高は1200mに満たない山であるが、いろいろ考えさせられる山行であった。