唐松尾山(2109m)、笠取山(1953m)  将監峠、雁峠

    奥秩父にある将監峠、雁峠、雁坂峠は広い草原に囲まれたのびやかな峠である。高校時代に田部重冶の古い紀行文(文庫本で複刻の「山と渓谷」だったか「日本アルプスと秩父巡礼」だったか記憶が定かで無いが)を読んで一度は行って見たいと思っていた。

    雁坂峠には3~4回訪れているが、将監峠と雁峠は20年くらい前に武甲山から雲取山を経て雁坂峠まで縦走した時に通過したのみである。もう一度、将監峠と雁峠を訪れて見たいと思い、好天気で人出が少なく静かな山行が期待されるウィークデーの11月5,6日に三の瀬から上がり将監峠、唐松尾山、、笠取山、雁峠を経由して三の瀬に戻る計画を立てた。

   夏場の日が長い時なら朝早く発てばこのルートは日帰りが可能だが、 日が短くなっているしのんびり山行を楽しむために将監小屋に一泊して行くことにした。

   前日、前々日に何度か小屋に電話連絡したがなかなか通じない。3,4回かけてやっと通じたので宿泊をお願いした。管理人はいないが小屋の鍵はかけてないので勝手に使って良いが、素泊まり料金を箱に入れてほしいとの事であった。

   小屋の主人のおじさんは最近キノコ採りに出かけて滑落して亡くなったとの事を後で聞いて驚くとともに冥福を祈った。

    テント泊をすると荷物が重くなるので小屋泊まりは有難い。小型ガスボンベ、小型コッヘル、バーナー、、フリーズドライの食料、粉末スープ、非常食量、防寒具の他、念のため、、ツエルト、シラフカバー、袋状のシーツを持参した。

2015年11月5(木) 晴れ
   単独
 三の瀬(10:50)-将監峠(13:00~13:05)-将監小屋(13:13)
   朝食を
取り7時過ぎに自宅を車で出た。北関東自動車道、関越道、圏央道を経て青梅ICで高速道路を下り、青梅街道を奥多摩方面に進んだ。小河内ダムの近くで駐車。奥多摩湖周辺は紅葉の盛りであった。周辺の山に出掛けるのだろうか登山姿の人が何人もいた。

  奥多摩湖畔から丹波にかけての街道はくねくね曲がり道は狭く時間が予想以上にかかった。丹波を過ぎてから右折して一の瀬高原方面に進んだ。辺りは紅葉がきれいだが道が狭くゆっくりと走った。途中で道路工事もやっていて時間がかかり、自宅から3時間以上かかって登山口の三の瀬に到着した。

   登山口にある民宿のみはらしに車を駐車し、二日分の駐車料金を払い準備して出発した。登山道は軽自動車も通れる広い道で歩き易い。途中で一部崩落個所があり工事をしていた。

民宿みはらし                        黄葉が進んでいる                   軽自動車も通れる登山道
    

   しばらく進むと道は2手に別れる。車が通れる道は味気ないので左手の7つ石尾根を上がった。ここの登山道はやや急だが広くて歩き易い。途中の1750m地点で右の方に道があり行きかけたが誤りに気付いて引き返した。この道は地図にない道で作業用のものらしい。

  わずかな距離で道は4叉路となった。右手の将監峠方面に向かった。平坦で歩き易い雰囲気の良い登山道が続いた。この辺は地図上で牛王院平と書いてある。最後はわずかな登りで将監峠に到着。

7つ石尾根の登山道                     牛王院平の道                      将監峠
    

   広い草原ののびやかな峠で雰囲気が良い。わずかな下りで将監小屋に到着した。小屋の前にはきれいで立派なバイオトイレがあった。バイオトイレには太陽光発電パネルが設置されており、トイレの処理と灯りの電源を賄っていた。昔の山小屋の汚くて臭いトイレを思うと隔世の感がある。

将監峠周辺                          バイオトイレ                         将監小屋
    

   小屋を開けて入るとと大きなザック2つとマットと寝袋が置いてある。どうやら3人の宿泊者がいるらしい。そのうち、単独者と2人連れが戻ってきた。彼らは朝早く出発して白石山(和名倉山)を往復して戻って来たとの事であった。単独行の人は荷物をまとめて下山していった。2人連れは今日も小屋泊まりをして明日丹波に下るとの事であった。

    陽が射していて風も無く暖かい。小屋の近くの斜面に座って周囲を見ながらコンビニで買ったおにぎりの昼食を取った。のんびりした時間が過ぎて行く。やや寒くなって来たので小屋に入り持参した缶ビールとおつまみで乾杯。そのうち、テント泊の2人連れと単独行者がやって来た。

    暗くなる直前の5時前からお湯を沸かしフリーズドライのご飯とスープで夕食を取った。後は寝るだけ。小屋にあった布団と毛布をを敷き、持参の袋状のシーツを使った。辺りは真っ暗になり、長い間うつらうつらしていた後、眠りについた。
  
2015年11月6(金) 晴れ
   単独
 将監小屋(6:30)-将監峠(6:40)-
白石山分岐点(7:05)-唐松尾山(8:15~8:30)-笠取山(10:30~10:50)-分水嶺小ピーク(11:25)-雁峠(11:40~11:55)-笠取小屋(12:25)-一休坂(13:10)-馬止(14:25)-林道中島川橋(14:40)-三の瀬(15:25)

   朝5時過ぎに目が覚めた。まだ真っ暗である。やはり起き出すと寒い。同宿者も起き出していた。ヘッドランプを付けてお湯を沸かしフリーズドライと粉末スープの朝食を取った。

   後片付けをして使用した布団毛布をたたんで元の位置に戻した。山歩きの準備をして出発。同宿者2人もほぼ同時に出発し反対方向の丹波に向かって行った。

   朝の外気がすがすがしい。今日も好天気が続きそうである。将監峠を越えて左手の尾根筋の登山道を上がり白石山分岐点に出た。白石山も行って見たい山であるが今回はパス。唐松尾山方面に進み高度を上げて山頂に到着。周囲はシラビソに覆われていて見通しは余り良く無い。

将監峠を上がる                       唐松尾山山頂                       シャクナゲの間を進む
  

   しばらく休んでから笠t理山方面に向かった。途中、シャクナゲのトンネル、シラビソの林の中、富士山が目の前に見える尾根筋を経由してアップダウンを繰り返した。尾根筋の登山道は比較的わかりやすい。尾根筋も南側の巻道を通り笠取山に上がる分岐点に出た。尾根筋の急な登山道をわずかに上がると笠取りや山頂であった。山頂は立木が無く周囲の眺望が素晴らしい。目の前には雪を被った富士山がくっきりと浮き上がって見えた。その手前の高い山は大菩薩嶺だろうか?

尾根筋の登山道の途中から見る富士山             尾根筋の登山道を行く              笠取山
  


   誰もいない山頂で周囲を眺めながら行動食と水を取って長い休憩。 休憩後少し下ってわずかに上がると次のピークがあり、2,3人の登山者が休んでいた。下から上がってくる登山者も結構いた。ここからの見晴しも素晴らしい。ここはそのまま通り過ぎて急な下りとなった。下り切ってから少し上がると分水嶺の標識が出ていた。この小ピークが、多摩川、荒川、富士川の分水嶺となる。

分水嶺の標識                          雁峠                            雁峠周辺
    

   小ピークから緩やかな草原、次いでシラビソその林を越えると平坦で広い草原に出た。雁峠である。ここも雰囲気が良い。ベンチの上に座ってしばらく休憩。来た甲斐があった。傍らの林の中には壊れかけた雁峠小屋があった。とても使える状態では無い。20年前に来た時も無人で使えそうな雰囲気が無かったように記憶している。

   先ほどの分水嶺のピークに戻り笠取小屋方面に向かった。広い木道が続き歩き易く登山道とは思えない。わずかな歩きで笠取小屋に到着。小屋の近くには軽自動車が停まっており小屋は開いていた。この小屋も車が入れるようであった。明日の土曜日には登山客が来るので管理人が来たのであろうか?

   笠取小屋の左手から一休坂を下った。途中で後続の登山者に追い越されたが順調に下った。一休坂から三の瀬に下るため馬止の方向に長い巻道を進んだ。ほぼ平坦な道だがうんざりするほど長い道が続いてやっとのことで黒槐尾根から下ってくる登山道の合流点である馬止に到達。

下りの登山道で紅葉                     残った紅葉                        広い下山道
    

   広くてなだらかな登山道を下るとわずかな距離で林道の中島川橋の近くに降りた。地図上では沢沿いに下る道があるのでそのまま進んだがそのような道がありそうも無い。仕方が無いので戻って中島川橋を渡ると沢沿いを下る登山道の標識が立っていた。そのまま沢沿いに下り左手に進むと三の瀬に至る林道に出た。少し上がると出発点の民宿みはらしに出た。

   後片付けをしていると民宿のおばさんがやって来た。そばを頼んででそばを食べながらおばさんからいろいろ話を聞いた。つい最近将監小屋の管理人のご主人がキノコを取りに行って山で滑落して亡くなった経緯や登山者が山で遭難して行方不明になっている話など他人事では無いと思いながら聞いた。

 
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