根本山 1199 m

    根本山は桐生市の北側にある最高峰である。これまで桐生市側の梅田から根本沢コースあるいは中尾根コースを通って何回も上がっていた。今回はこれまで通っていなかった北側の沢入から上がって見る事にした。

    天候の良い月曜日の10月19日で上の方は紅葉が始まっている。月曜日なので人出は少なく静かな山行が期待される。実際、山歩き中にあった人は一人もいなかった。

   沢入側は昭文社のガイド地図(赤城、皇海、筑波)を見ると林道が山奥まで何本も入っており登山道も沢山あり根本山に簡単に行けそうだった。しかし、このガイド地図は2009年版で登山道や林道の記載に間違いがあった。山の上の方には地図に無い立派な舗装の林道が出来ていたりで驚かされた。

  人が余り行かない山は新しいデータが記載されていない。林道は荒れ果てていて登山道は長年整備されておらず落ち葉や立木に埋もれて人通りの多い所以外は登山道かどうか判別付きかねる所が多かった。国土地理院の2万5千分の一の地図の[沢入]が該当箇所だが、持っているのは20年以上前のもので宛てにならないので持参しなかった。

  国土地理院の最新版の紙の地図は平成21年度に作られていた。この地図を基に作られた地図がGPSに内蔵されていた。しかし、この地図は登山道の一部しか載っておらず間違っていた。

    標識や登山道も人通りの多い桐生市側及び稜線上は整備されているがそれ以外は分かりずらかった。ガイド地図とGPSを持参して両者を見ながら歩いたが、地図上での間違いに捉われて肝心な所で道迷いをして引き返した。日没も近かったので急いで急斜面の道無きところを上り下りして滑ったり、手足が傷だらけになったり、足がつったりで散々な山行であった。

    結局、最後はヘッドランプを付けて荒れた林道上を歩く羽目になったが、大事に至らなかったのが幸いであった。地元の低い山と甘く見ていたかも知れない。

    持参したガイド地図やGPSの地図の登山道はあまりあてにならなかった。後で書店で2015年度版のガイド地図を見ると、林道や登山道の位置は改められて正しくなっていた。しかし、この地図も登山道の一部の記載が無かった。

    インターネットで国土地理院の最新版の地図を見て驚いた。なんと、間違ったと思って引き返した地点の近くに分岐点があり、そこから最新版の電子地図にある登山道を辿れば簡単に出発地点に戻れたのだった。過去にも他の山で経験があるが、やはり、古い地図やガイドブックは問題があると痛感させられた。

2015年10月19(月) 晴 無風
   単独
 沢入中沢林道登山口(9:40)-谷筋940m地点(10:26~10:30)-稜線沿い(11::05)-宝生山(11:22)-氷室山(11:35)-十二山(12:25)-根本山神社(12:40~12:45)-根本山(13:05~13:25)-尾根筋1114m地点(13:55)-根本沢915m地点(14:44)-尾根筋1119m地点(15:40)-中沢林道分岐1126m峰(16:55)-1018地点ヘッドランプ装着(17:18)-谷筋940m地点(17:45)-登山口(18:35)

   朝食を
取り8時過ぎに自宅を車で出た。国道122号線を足尾、日光方面に向かった。丁度、通勤時間帯で大間々の街を通過するのに時間がかかった。草木ダム、富弘美術館を過ぎて沢入から国道を離れて黒坂石方面に進んだ。黒坂石キャンプ場は人気が全く無い。舗装道路はここで終わり。右側のダートロードの林道作原沢入線を進み,右手に林道(金山線)と言う標識がある所に出た。

   少し戻って広い路肩がある所に車を駐車し、山歩きの準備をして右手の橋を渡って林道を進んだ。この林道はかなり荒れていて倒木が道を塞いでいたりしてとても車が通れる状態では無い。

   ガイド地図には金山林道と中沢林道が同一地点から分かれているように書かれていたが明らかに間違い。また、歩いた林道は地図上では中沢林道と書かれていた。地図と実際が違うのがやや不審であったが、天気は良いし、いずれにせよ根本山に上がることになるので谷筋の林道をそのまま進んだ。

  940m地点でピンクのテープが木に巻きつけられている所に出た。荒れた林道はこの辺で終わりなのか先がよく分からない。谷筋をそのまま上がるか、左手の谷筋をを上がるべきか少し躊躇したが、踏み跡がかすかに付いていた左側の谷筋を上がった。

林道を行く                           左側の谷筋を上がる                   稜線上から見る  
    

   初めは傾斜も緩く踏み跡もあったが、だんだん傾斜がきつくなり踏み跡も分からなくなってきた。なるべく上がり易い尾根筋を強引に上り詰めてようやく稜線沿いに出た。短い距離だったが足の筋肉が痛くなってきた。

  稜線沿いは細かいアップダウンがあるものの平坦な登山道で歩き易い。先ず左手の氷室山方面に向かった。わずかな距離で目の前に立派な舗装道路がある鞍部に出た。林道作原沢入線と書かれていた。栃木県側の作原と群馬県側の沢入を結ぶ林道のようだが、上の方は立派な舗装道路だが下はダートロード。おまけに群馬県側は途中で崩落していて通れないとある。

稜線上の鞍部に立派な舗装道路が            紅葉が始まっていた                   宝生山
    

  道路を越えて氷室山方面と標識がある登山道を進んだ。周囲は所々紅葉が進んでいた。青空に映えた赤や黄色の葉が美しい。わずかな距離で木の上に標識が付いた宝生山に到着。そのまま先に進むと10数分で氷室山に到着。木の上に標識と木の下に石の祠があった。少し休んで引き返した。

紅葉が青空に映えて美しい                 氷室山の標識が                    木の根本に石の小さな祠
    

  稜線上の登山道はわずかにアップダウンがあるものの非常に歩き易い。周囲は紅葉が始まりだして美しい。五十分ほどで十二山に到着。

紅葉と黄葉                          稜線から十二山と根本山を見る               稜線から宝生山を見る
    

   さらに15分ほどで見慣れた鳥居のある根本山神社に出た。辺りは壊れた社殿、石碑が点在していた。ちょっと周りをうろついた後、最後の一登りで根本山に到着。ここで休んで昼食。コンビニで買ったおにぎりと水を飲んだ。

根本山神社の鳥居                     根本山に上がる                     根本山山頂
  

  根本山から黒坂石方面に行くには最初は北側の尾根を少し行った後、西側の斜面を下った方が近いようだったが登山道で無いので、標識がある南西側の登山道を下った。そのまま進めば中尾根を経て梅田に降りることになる。右手の根本沢コースの方に向かった。

  途中で根本沢を下るコースと三境山―黒坂石方面に至るコースの分岐点があるはずだが、ガイド地図では尾根側に上がった後が分岐点になっている。そこで登山道をそのまま進んでしまった。しかし、これが間違いであった。そのまま尾根筋を進んだ後、急斜面の長い鎖場を苦労して降りると半分壊れた鐘楼がある根本山神社に出た。

紅葉が美しい                          長い鎖場が続く
    

  おかしいなと思いながらもさらに谷筋を下りた。地図を見ると右側の斜面の尾根を越えた向こう側が黒坂石方面である。強引に右側の急斜面を上がりかけたが滑り易く足場が悪い。こんな所で滑落したら大変だと思い、再び下の谷底に滑り降りた。かって何回か通った根本沢コースである。このまま下れば梅田に出てしまい、車の回収など出来なくなる。

   時計を見ると2時半を過ぎていた。明るいうちに引き返すにはぎりぎりの時間である。ヘッドランプを持ってきたのでいざとなればヘッドランプを使えば良い。山で迷ったら引き返すのが鉄則と引き返した。

   後で、国土地理院の電子地図をインターネットで見ると、何とこの付近から右手の尾根にジグザグに上がる登山道があり簡単に黒坂石方面に戻れることが分かったが、その時はそんな登山道がある事など知る由も無い。

   沢沿いを鎖場を通らずに強引に急斜面をよじ登った。急いで上がったので途中で手足が痛くなり、足がつったりしたが、何とかこらえて1時間弱で稜線上に出た。

   痛い足をこらえてだましだまし歩いているうち、痛みも感じなくなりほぼ平坦な登山道を引き返した。根本山には上がらず南面の登山道を撒いて根本山神社に至り鳥居を越えて進み、十二山直下をも撒いて進んだ。

   GPSの地図上にあった稜線上の登山道の分岐点に出たのは五時少し前。日没が近づいて薄暗くなってきた。GPSの地図上にある1126m峰を経由する尾根筋の下山道を取った。初めは傾斜は緩く尾根筋の登山道ははっきりしていた。しかし、薄暗くなっており尾根筋の登山道も落ち葉に覆われていて判然としない。急いで降りたので尾根筋を真っ直ぐ行くべき所を右側の尾根方向に行ってしまった。

  すぐに杉林の中の急斜面となった。今さら引き返すわけにもいかない。途中でブッシュにメガネを取られて下に落ち探すのに苦労した。この急斜面で立ち止まり水を飲んで一息ついた後、ヘッドランプを付けた。GPSの地図を見ると朝登ったルートが近い。急斜面を半分滑り落ちながら下に降りた。この時、数ヵ所軽い打撲と手の擦り傷。

  下部から沢の水が流れている音がした。沢沿いは急な崖になっているかどうか暗くて見えなかった。滑落すると危険だと思い直接下に降りず、出来るだけ傾斜の緩い所を選びながら斜め下に降りて行き沢床に到着。沢の水音はしていたが水はほとんだ無い。沢沿いは傾斜が緩くなったが岩がごろごろしている。ヘッドランプで照らしながら慎重に下りた。

   やっと、GPSの登りのトラックと合した。後は沢沿いの荒れた林道をヘッドランプを照らして転がっている岩と倒れた木に注意しながら下るのみである。橋を越えるとようやく駐車していた車に到着。6時半を過ぎており周囲は真っ暗であった。



 GPSトラック(赤が上り、青が下り)