谷川馬蹄形縦走(朝日岳1945m、谷川岳1977m)

2011年7月26(火)〜27日(水) 
単独
  昨年は丁度この時期に谷川岳から平標山までの縦走に一泊2日の山行きをした。今回は一泊2日の予定で谷川馬蹄形縦走を計画した。10年以上前に日帰りで谷川岳から蓬峠まで縦走し湯檜曽川沿いに下ったことがあるが、朝日岳方面は初めてである。
  今週は寒気が居座っているため天候は不安定で夕方からは雷雨がありそうだが、日中は雨は無いだろうと思い行くことにした。途中に何箇所か避難小屋があるので心強い。とりあえず、テント泊一泊の予定の荷物、食料をザックに詰めた。水も入れて全部で約12.5kg。朝早く出発するため前日の夕食後車で土合まで行き車中泊。
7月26日 曇り時々晴れあるいは雷雨
土合橋(5:10)−白毛門(8:55)−笠ヶ岳(10:05)−朝日岳(11:55)−清水峠(14:30)

   朝4時半に起き、簡単な朝食を取り準備して登山口で登山届けを出し出発。曇り空で時々陽が出てくる。ブナなど広葉樹の林の中をいきなりの急登。尾根を喘ぎながら上がるとやや傾斜が緩くなり対岸の谷川岳方面が木の間越しに見えてきた。久しぶりに10kg以上の荷物を担いでの急登はつらい。松ノ木沢の頭の手前で少し休憩。

  谷川岳、マチガ沢、一の倉沢が正面                 白毛門から見る笠ヶ岳、朝日岳
      

  頂上の近くのジジ岩、ババ岩の手前で右折すべき所を直登してしまった。急斜面を潅木や笹を頼りに上がったが
、上に行くと全く道が無く上がれそうも無い。間違えたと思い引き換えしたが急斜面で滑りやすい.。緊張して下ったのでわずかな距離だったが足がつって痛い。間違えた分岐点でしばらく立ち止まって休んで、痛みがやや治まった後ゆっくりと上がり白毛門頂上に達した。曇り空だが対岸の谷川岳一帯が良く見える。10分ほど休憩し水と行動食をとった。
  頂上からの下りでコルに付いた。足が少し痛いのをだましだましゆっくりと歩いて笹原の中を上がり笠ヶ岳の頂上に達した。目の前にこれから行く朝日岳が遠望できた。直ぐ下に避難小屋が見える。少し下ったコルで、夫婦らしい2人ずれに会った。今朝は清水峠の避難小屋から来たとのことであった。水場の場所などを聞いた。昨日は12時ごろ激しい雷雨があったとも言っておられた。ここから長い登りとなった。足が少し痛いので持ってきたストックを出して使うことにした。これでかなり楽になった。初めから使えば良かった。
  小鳥烏帽子、大鳥烏帽子を経て小さなピークを上がり下がりをして最後の登りでようやく朝日岳頂上に達した。平らな頂上で目の前は朝日が原の湿原、池塘が点在していた。頂上で休憩している内に雨が降り出してきた。雨傘を出して少し下り、宝川温泉に下る登山道の脇で水が湧き出してちょろちょろ流れている最上部で水を汲んで2Lのポリタンク一杯につめた。これで今日の水を確保。

朝日岳頂上近くの湿原               朝日岳                        清水峠
    

  雨は激しくなってきて雷も鳴り出してきた。雨具を出して着る手間も面倒で少しくらい濡れてもいいやと雨傘だけをさして歩いていった。雨はともかく雷鳴はあまり良い気がしない。稜線上で逃げ場も無くこんなところで直撃を食らえば大変である。しばらく行くと巻機山に行く標識があるジャンクションピークに着いた。ここから長い下りとなった。尾根上を片手で雨傘を差し、もう一方の手でストックを使い急な下りを降りた。

  しばらくすると雨も上がり、雷鳴も聞こえなくなった。これから行く清水峠の送電線監視小屋が遠望できた。笹原の中を上り下りして送電線の鉄塔が立っている横を通り過ぎて清水峠の避難小屋に着いた。もう2時半である。今日はここで宿泊することにした。この避難小屋は少し古いがそれほど汚れていない。テントは持ってきたが、夕方以降雨が降りそうなので、迷わず小屋泊まりとして荷物を広げ休んだ。4時過ぎになり、単独行の人がやって来た。今日の泊まりはこの人と2人。広くない小屋だが2人ならゆったり出来る。お湯を沸かしフリーズドライの食料と味噌汁などで簡単な夕食を取れば後は寝るだけ。夕方から激しい雷雨が降ってきたが8時過ぎにはおさまったようだ。
7月27日 曇り時々晴れあるいは雷雨
清水峠(5:00)−七つ小屋山(6:00)−蓬峠(7:05)−武能岳(8:10)−茂倉岳(10:10)−一の倉岳(10:40)−谷川岳(11:50)−天神平(14:25)

  4時に起床。同宿者も起き出して共に朝食の用意。パン、コーンスープとツナ缶の簡単な朝食。用意して5時に出発。天気は曇りながら空は明るく見通しは良い。同宿者も同時に出発したが、彼は水場に水汲みに行った。登山道は始めはきれいに刈り込んであったが、そのうち腰から胸くらいの高さの笹林となった。昨夜の雨でびっしょり濡れた笹林の中を歩いているうちズボンもT−シャツも直ぐに濡れてしまった。気持ちが悪いが仕方が無い。七つ小屋山を経て蓬峠のヒュッテまで行った所で水汲みに行った同宿者が追い着いた。自分より少し若いが足は大分強そうである。
  蓬峠で水を少し飲み飴を口に入れてから出発。同宿者は先に行った。自分はゆっくりゆっくりと武能岳の長い登りを進んでいった。登山道の笹林も先ほどの高さは無く歩き易い。武能岳の頂上で先行した同宿者が休んでいる所にやっと追い着いた。これからがこのコースの核心部ですね。200m下り、400m登る。2時間でいけるでしょう。などと話しながら休んだ。

  武能岳からこれから登る谷川岳を仰ぐ             稜線上のニッコウキスゲ
       

  同宿舎は先に行った。苦手な岩の多い急な下りをストックを頼りにゆっくりと下る。見る見るうちに先行者は遠ざかって行った。最低鞍部の笹平に着いてから、長い登りが続く。笹林の中の登りはつらいがニッコウキスゲ、ハクサンフウロ。クルマユリなどの高山植物を見ながらゆっくりと上がって行った。曇り空だが明るい。陽が照って暑くならいのが幸いであった。通り過ぎた武能岳やさらに遠方の山々は時々遠望できた。目の前の頂を通過して上がると茂倉岳の頂上であった。先行者が休んでいて丁度出発する所であった。目の前の一の倉岳。谷川岳にいたる稜線が見通せた。しかし、それから先は雲に隠れて良く見えない。

    茂倉岳と一の倉岳                         雲が湧いてきた谷川岳稜線
         
  しばらく休んだ後、一の倉岳までわずかな距離で達した。一の倉岳−谷川岳間は雪のある時は良く通っているが、雪の無い夏場に通過するのは10年以上ぶりである。岩が多い稜線を上り下りするのは足が痛くなりつらい。雪のある時の方がずっと楽だなあと思いながら進むと大勢の人声が聞こえてきた。オキノ耳には大勢の登山客が休んでいた。ここで大休止とした。向こうのトマの耳にも登山客が沢山いた。休んでいるうち雨がぽつぽつ降り出してきた。雨傘を出して歩き出した。西黒尾根を降りるのは止めにして天神平らに降りることにした。肩の小屋を経て天神尾根を下る頃雨は一旦止んだ。
  雪のある頃山スキーで下るのは快適であるが、今日は苦手な岩のごろごろした下りである。何人もの登山者に追い越されたが一人も追い越す事無くゆっくり降りた。熊穴沢の避難小屋を通り過ぎた所で雨が再び降り出してきた。最後の2〜300mになって雨足は強くなってきた。雨傘をさしてやっと天神平のロープウェー乗り場に着いた頃、雷雨が激しくなって来た。どうにかびしょぬれにならずに済んだ。ロープウェーは雷雨のためしばらく運行休止。大勢の登山客が待っていた。しばらくして雷雲が遠ざかり運行再開。1200円なりを払ってロープウェーで下り、雨が完全に上がるのを待ってから土合橋の先の登山口の駐車場に戻った。たまたま先行した同宿者がいた。彼は西黒尾根を下り、途中土砂降りの雨にあったとのこと。お互いにお礼を言って分かれた。後は日帰り温泉に入り帰途に着いた。

  土合を出発してから途中で合った登山客は2日間で4人だけであったのに、谷川岳では大勢の登山客、登山ツアーのグループがいた。天候は変わりやすいし足が痛くなるなどつらい点もあったが、谷川馬蹄形縦走が無事に出来て幸いであった。

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