8月3日(月)〜4日(火) 晴れ時々曇り
八ヶ岳(2899m)
単独行(山小屋泊)

   八ヶ岳(南八ヶ岳)の登山は記憶の範囲内で今回が5回目となる。51年前の高校一年生の時、単独で通ったルートと同じコースを辿って見ることにした。前回の10数年前もほぼ同じルートを歩いている。51年前は、松原湖畔の旅館に泊まり早朝に松原湖から歩いて上がり赤岳山頂の山小屋に泊まった。翌日はキレットから権現岳、三つ頭を経由して甲斐大泉に下りた記憶がある。今回は前半の歩きの部分は車で本沢温泉入り口まで上がったので約2時間の歩きをしないで済んだ。また、後半も下山した天女山公園から親切な方に大泉駅まで車に同乗させて頂いたので一時間ちょっとかかる歩きをしないで済んだ。


 
  
2日の夕食後、車で八ヶ岳の登山口の本沢温泉入り口まで行き、夜半に到着して車中泊。さすがに停まっている車は一台も無い。

8月3日(月)
   朝4時半に起床。天気はうす曇で晴れ間も見えて雨の恐れは無い。朝食を食べ準備をしている時に車が一台やってきた。これから登山をするグループのようであった。5時半に歩き始めた。車が何とか通れるダートロードを歩いていると車が一台通り過ぎて行った。

   6月上旬の富士山の山スキー以来久しぶりの山登りで、日頃大した運動をしていないのであまり調子が良くない。足の筋肉や膝が少し痛い。それでもほぼガイドブックのコースタイム通りに、林道の車止め個所に6時10分、本沢温泉に7時30分に到着した。途中はシラビソの樹林の中の道で歩きやすく良い雰囲気である。本沢温泉で10分ほど休憩してから出発。夏沢峠に8時45分着。そのまま休まず上がり硫黄岳に9時45分着。行く手の横岳から赤岳、阿弥陀岳の展望が素晴らしい。下部からは雲がわいて来ていた。ここで30分近い休憩、おにぎりを食べた。あたりはコマクサの群落が見える気持ちの良い緩い下りを降りて硫黄岳山荘に10時30分到着。ここで、高山植物園回遊コースを辿ってみた。少し時期が遅いのか花は枯れてしまったものが多い。

   硫黄岳山荘を10時50分に出発し横岳に11時45分着。ここで、20分休んで昼食。赤岳直下の天望荘に13時30分着。さらに稜線を上がり赤岳頂上に14時着。霧がわいてきて周囲の見晴らしはあまり良くない。少し早いが、51年前と同じく山頂の山小屋に宿泊することにした。

  当然のことながら、山小屋は建て替えられていて、広くなっているしきれいになっている。寝るスペースも比較的ゆったりしていた。トイレもきれいである。宿泊している登山客はやはり中高年の人が多い。

      硫黄岳から見た横岳と赤岳              硫黄岳からの稜線の下り
           


8月4日(火)
   朝4時過ぎのの薄明かりになりかけた頃目が覚めた。周りの登山客も起き出している。使用した毛布をたたみ、荷物をザックの中に入れて長袖の上着を着て小屋の外に出た。ほとんどの登山客も同じように準備して外に出てカメラを持ち御来光を待っていた。下は一面の雲海で、周囲の高い山が雲海の上に突き出ている島のように見えて面白い。特に富士山の上部がくっきりと見えた。日の出の周辺の雲は朝焼けで赤く見えて美しい。4時50分頃に待望の御来光。雲の間から陽がさしてきた。

   5時半から朝食。準備して6時に出発。赤岳山頂から雲の上に突き出ている周囲の山々を遠望が素晴らしい。北アルプス、中央アルプス、南アルプス、秩父の山々、富士山、浅間山が見渡せる。

  赤岳山頂から所々はしごや鎖場がある急斜面のキレットの下りを慎重にゆっくりと下って行った。膝と足の筋肉が痛くなるので2本のストックを頼りに降りキレット小屋に7時40分着。ガイドブックのコースタイムは1時間とあるので、かなり時間がかかった下りであった。ここから権現岳の登りで9時25分に山頂に到着。10分ほど休憩して行動食を取った。9時35分に出て三つ頭、前三つ頭を経て天女山の駐車場に付いたのは1時10分になっていた。
足の筋肉も膝も痛くなり、この下りはきつかった。
  
  この後県道天女山公園線なる導標にしたがって山道を降りて行き車道を越えて進んだが、どうも様子がおかしいので引き返して車道に出た。丁度通りかかった車に手を上げて、大泉に出る道を聞いたところ、自分たちは甲斐小泉まで行くのでそこまで乗せて行ってくれるとのことであった。渡りに船でありがたく乗せてもらった。途中で大泉駅の標識があったので、そこでお礼を言って降ろしてもらった。

  これから、車を回収に行くため小海線の松原湖駅まで行く必要がある。次の列車は3時22分発。一時間以上あるので、駅の近くの日帰り温泉によって汗を流した。その後、列車に乗って松原湖駅まで行き、タクシーを呼んで本沢温泉入り口の駐車場まで行き、車を回収して今回の八ヶ岳行が終わった。

 赤岳からの御来光              富士山遠望              権現岳と南アルプス
  

 赤岳山頂                 キレットの下り               権現岳山頂と富士山
  


   山小屋泊まりであったが無事に八ヶ岳の縦走は出来た。しかし、膝の痛みや筋肉痛があり、当然のことながら自分の体力が落ちており歳を取ったことを感ぜざるを得なかった。特に急な下りはつらくストックが頼りになった。
10代、20代の若い頃には、休憩時間を入れてもガイドブックのコースタイムの3分の2の時間で歩けたことがうそのようである。

   また、今回の八ヶ岳行で感じたことは蝶が非常に少なかったことである。51年前は権現岳から前三つ頭の間などベニヒカゲ、クモマベニヒカゲなどの高山蝶が群れを成して飛んでいたのに、今回は全部で2〜3匹を見た程度であった。クジャク蝶は比較的数多く見られたが、それ以外の高原の蝶(アサマシジミ、ゴマシジミ、コヒョウモン、コヒョウモンモドキ)などは全くお目にかからなかった。51年前に捕虫網を持ってこれらの蝶を採集しながら下ったのが夢のようである。かってはこの地域は手付かずの自然のままであったが、開墾されて農地となり、また、観光開発で道路や種々の施設が出来た影響が大きいのであろう。時代の流れを感ぜざるを得ない山行でもあった。

  蝶は非常に少なかったが、きれいな高山植物は多く見られた。