乗鞍岳  3026 m

  5月下旬になると山スキーが出来る所は、北アルプス、木曽駒ヶ岳、富士山、東北などの標高の高い山に限られる。歳を取ってきて,これらの標高の高い山に行くのは体力的に難しくなった。

  それらの標高の高い山のうち、北アルプス南端にある乗鞍岳は位ヶ原山荘まで乗鞍岳春山バスが運行されており道路上のわずかな歩きですぐに雪が続いており山スキーが出来る。

  5月26日はやや風が強いものの天気が良く気温が上がり山登りには良いと言う気象情報で、今シーズン最後の山スキーに乗鞍岳に行くことにした。自宅からはやや遠く,高速道路を使っても4時間近くかかる。そこで、前日に麓の乗鞍高原の宿に泊まって行くことにした。

  以前に何回か泊まったことがある鈴蘭小屋だが、宿泊客は只1人であった。白骨温泉と似た泉質の硫黄がたくさん入った白濁の温泉が良い。

  5月 26日(水) 曇り時々晴れ、やや強風、後弱風

  単独
登行高度:680 m、 滑降高度:680 m 

 位ヶ原山荘9:10)-大雪渓避難小屋(10:20)―滑落地点(11:25〜11:40)―乗鞍岳剣ヶ峰(12:30〜12:45)ー蚕玉岳との鞍部12:50〜13:05)―道路除雪地点(13:25〜13:50)―位ヶ原山荘(14:10)

  
朝6時に起きて温泉に入った後、朝食。宿を出たのは7時半過ぎですぐ近くの乗鞍観光センターの広い駐車場で車を停めた。山スキーの準備をして位ヶ原山荘行きのバスを待った。

  山スキー、山ボード、登山者が20〜30人バスに乗った。バスは8時半に出発。途中、休暇村、3本滝で10人くらい乗せて位ヶ原に向かった。バスは9時過ぎに位ヶ原山荘前に到着。

  登山届を提出して、道路上を少し歩いて,道路際から雪に覆われた山側をシール歩行を開始した。バスの同乗者もそれぞれ同じルートを乗鞍岳に向かって上がっていった。


位ヶ原山荘前でバスを降りる            位ヶ原山荘で登山届を提出            正面の斜面を上がる
  



  富士見岳側に右の斜面を上がっている人も見られた。歩き始めは調子が出ない。何人かの人に追い越された。それでもシール歩行に慣れて順調に上がり大雪渓避難小屋がある道路上に出た。ここまでは除雪が進んでいなかった。

  左側の谷筋をシール歩行で上がる人。一方、肩の小屋方向に上がる登山者が見られた。始めは肩の小屋方向に向かって進んだが,シール歩行の人が直接谷筋を上がっているのを見て左側にトラバース気味に進んだ。そのまま肩の小屋まで上がり、尾根筋の登山道沿いをスキーを担いでアイゼン歩行で上がった方が良かったかも知れない。

  雪が固くなって滑落する危険性が出てきたのでスキーアイゼンを装着して進んだ。しかし、クライミングサポートを高く設定するとスキーアイゼンが効かなくなる。
そこで、急斜面でもクライミングサポートを中断にして進んだが,これがバランスを崩す原因となってしまった。

  風が有り雪面はやや固くて緊張しながら,滑落した時のことを考えて右側のハイマツの際を上がった。後わずかで稜線沿いに出るとほっと一息を付いたときにバランスを崩して転倒。すぐにウィペットのストックを雪面に立てて静止をかけたが停まらず30m近く滑落した。幸いハイマツにぶつかり停まったが,首筋に痛みが出た。痛みが治まるまでしばらく休んだ、その後持参のアイゼン(クランポン)を出してスキー兼用靴に装着し,スキーを担いで上がりだした。


これから上がる乗鞍岳               左側の斜面をハイマツ沿いにトラバース      雪が消えた稜線上を進む
  


  そのまま、アイゼン歩行で稜線まで上がり、雪の消えた稜線沿いを剣が峰まで向かった。途中の剣が峰と蚕玉岳鞍部でスキーとザックを置いて空身で剣が峰山頂に向かった。頂上直下は岩がゴロゴロしている歩きにくい登山道でストックを頼りに慎重に上がり、お社と鳥居のある山頂に到着。登山者。山スキーヤー4人がいた。


頂上のお社                      頂上の鳥居                     頂上の標識。右の山は大日岳
  


  上空は曇っており、風が吹いていたが、周囲の山々は遠望できた。目の前に焼岳、その向こうに穂高連峰から鑓ヶ岳、さらに笠が岳。その向こうに北アルプスの山々。


手前に乗鞍連峰。遠くに北アルプス連峰      鑓ヶ岳                       穂高岳連峰。右に常念岳

  


  反対側には御岳、さらに中央アルプスの山々。北方には雪を被った白山が遠望された。


御岳                         中央アルプス。雪を被った木曽駒ヶ岳      雪に覆われた白山がうっすらと見えた
  


  周囲の山々の眺望を楽しんだ後鞍部まで戻り,スキーアイゼン、シール,スキー靴のアイゼンを外して滑降の準備をした。時計を見ると,もう1時近い。頑張っても1時台のバスには間に合わない。ゆっくりと準備をして目の前の広い谷筋を滑り降りた。上部は急斜面で雪が緩んでおらず固い。最初は慎重に斜滑降で入り、ターンしやすそうな所でターンした。ターンする毎に音が出て表面の雪片が崩れ落ちて行った。


滑り降りた谷筋を見上げる            滑り降りた谷筋の中間部から下を見る       道路沿いでスキーは終了
  


  上部急斜面を慎重に滑り降りて行くと,斜度はだんだん緩くなり雪も緩んできた。適当にターンを繰り返しながら滑りを楽しんで谷筋を降りると道路際に出た。ここの道路の除雪は本日行ったと思われる。少しスキーを滑らせたがスキーを持って除雪された道路を歩き、行きに通った地点に戻った。

  ここから行きに取ったルートを辿り位ヶ原山荘まで戻れるが,次のバスは3時台で時間が余る。道路際の縁石に座って行動食と水を取り長い休憩を取った。休憩後はスキーを装着して,今シーズン最後のスキー滑降。雪が緩んでいて滑りやすい。道路際に出てスキーは終了。道路上をわずかに歩いて位ヶ原山荘に到着。1時間以上待って3時台の最終バスが来た。バスで乗鞍観光センターまで行き,車を回収して後片付けをして帰途に着いた。

   滑落事故があり翌日も首筋が痛い。整形外科医に行って診てもらうと、むち打ち症の一種だが大したことは無い。
2週間もすれば痛みも引くでしょうとのことで一安心。

   これで今シーズの山スキーは終了。来シーズンはどの程度出来るだろうか?


GPSトラック(登りが赤、下りの滑降が青)