布引山 1584 mまで 

  宝川温泉から行く宝川源流域は尾根筋も谷筋も素晴らしい山スキーサイトだが、アプローチが長いのであまり人が入らない。高齢になったのでこの地域仁山スキーで行くのも最後かも知れない。

  3月15日の月曜日は前日までの悪天候が回復し好天になるとの気象情報で、布引山まで行く計画を立てた。駄目なら途中のどこからでも引き返すことが出来る。

  これまで何度か行っている宝川源流域だが、登山口にある宝川温泉は3,40年前に登山者用の宿泊施設があった頃に泊まった記憶があるが、最近は宿泊したことが無かった。そこで、前夜宝川温泉に泊まっていくことにした。

  宝川温泉は最近では外国人の宿泊客が多く、前日に一人での宿泊を頼んでも断られるのだが、今回は新型コロナウイルスの影響で外国人宿泊客が少なく、前日宿泊を頼んでもOKであった。宿泊代は2人基準のようで一人でもけっこう高いが、たまには良いだろう。

  前日夕方、宝川温泉に到着して、露天風呂に入りゆったりとした。夕食はけっこう豪華な和食で食べきれないほどであったが、朝食は朝早く出るので宿では取らずに出かけることにした。

  3月15日(月) 曇り後晴、無風
  単独
登行高度:905 m、 滑降高度:905 m  

宝川温泉(6:20)-林道トンネル(7:30〜7:40)-林道分岐点(8:35)−布引山手前1584m地点(11:30〜12:00)ー南尾根方面に下り道迷い引き返す(12:05=12:55)―林道分岐点(14:40)−林道トンネル(15:35〜15:45)−宝川温泉(16:40)

  朝5時前に起き出して温泉で入浴後、簡単な朝食を取り、山スキーの準備をして6時過ぎに宿を出た。例年だと林道入り口は駐車場まで除雪されており、林道には入りやすくなっているが、今年は林道入り口だけが除雪されていた。

  入り口の除雪された雪の山を越えて林道に出てスキーのシール歩行を始めた。駐車場は完全に雪に覆われていた。林道を少し行くと雪が多い割には融雪が進んでいるようで林道の雪が残っている場所を選んで進んだ。1,2月は降雪が多かったようであるが、3月は暖かい日が続いて雪解けが一気に進んだようである。

  曇り空で上空は厚い雲に覆われていて遠くの山は見えない。遠方はガスでぼんやりしる。しばらく行くと、後続の2人連れに追い越された。彼らは布引山からナルミズ沢を滑り降りると言っていたが、見る見るうちに差が付いた。

  少し行くと沢が割れていて通れない。そこにやや太い枝が2本渡されていて、スキーを横にして恐る恐る渡った。ここを渡れないとこの沢をかなり上まで行って渡らざるを得ないので時間と体力の消耗になる。

  その後雪が完全に溶けて4,5m雪が切れている所に出た。林道上で水が溜まっていたがスキーのシール歩行で進んだのが不味かった。シールは完全に水に濡れてしまい、大量の雪がシールに付着するようになった。


川沿いの林道を行く                雪が溶けて崩れている              氷柱が残ったトンネル内を行く
  


  林道上は昨日上がったグルーのトレース、先行した2人のトレースが付いており歩きやすかった。1時間ちょっと歩いて」トンネルに到着。スキーを外してトンネルを越えた。トンネル内には未だ氷柱が残っていた。昨夜は、下部は雨であったようだが、林道を上がるにつれて雨では無く雪がわずかに降ったようで昨日のトレースは消えていた。

  先行のトレースに従い林道を外れて尾根筋を上がっていったが、シールに雪が大量に付着して登りづらい。何度もスキーを外してシールに固く付いた雪を落としてから進んだが、すぐに雪が付着してきた。付着した雪で以後の登りで体力は消耗するし、時間がかかった。


雪に埋もれた森林管理センターの建物       沢にかかる堰                       木がまばらな尾根筋を上がる
  



  当初の予定では布引山まで行く予定であったが、相変わらずガスが立ちこめていて近くの山も見えないし、シールの不調で時間がかかり11時半になったので稜線上の1580m地点でハイクアップを止めた。


ブナの疎林帯を上がって行く            本日はここまでとする、              上を見ると一部ガスに覆われていた
  


  行動食と水を取り長い休憩。見えるはずの朝日岳や大烏帽子山はおろか目の前の峰もガスに覆われて良く見えない。シールを外して滑降開始。尾根筋はやや風が強く雪面はやや固くなっていた。その上に昨日降ったと思われる雪がうっすらとのっていて滑りやすい。

  そのまま尾根筋を南側に滑り降りていったが様子がおかしい。途中からスキーのまままま登り返したり、反対方向に行ったりして道迷い。GPSの上りのトラックを確認してそちらに進んでようやく登りに取った東側の尾根筋に出た。この道迷いでうろうろして約50分間のロスをした。この間に天気は急速に回復してガスが取れて、青空が見えてきた。


ブナの疎林帯を下る                 ガスが取れて陽が差してきた           尾根筋の緩斜面を滑り降りる
  



  尾根筋は昨夜降ったと思われる雪が10cm位有り登りのトレースがしっかり付いていた。陽が差して気温が上がってきたので雪は重くなっていたが滑りには問題無い。尾根筋は始めは無立ち木、次いでブナの疎林帯が続き快適な滑降を続けた。せっかく天候も良くなったので、途中のブナの木の傍らで大休止を取った。


ブナの疎林帯を滑り降りる                              ブナの疎林帯が青空に映えて美しい

  


  大休止の後はブナの疎林帯を滑り降りた。下るにつれてブナ林は密になった。緩斜面の尾根筋を下り、杉林の中を下ると林道に出た。


宝台樹スキー場、後ろは雲を被った武尊山」                     雲を被った朝日岳方面
  


  林道上の緩斜面は気温が上がってきたので、グサグサの雪で全く滑らない。ヒールフリーにしてほとんど歩きで下った。森林管理センターの建物を通りすぎてようやくトンネルに到着。疲れてきたのでスキーを外してトンネル内を進むのも時間がかかった。


や密なブナ林をショートターンで下る        広い緩斜面を下る                   林道に出た
  


  トンネルを越えてしばく進み雪が切れた箇所でスキーを外して歩いて越えた。疲れて下りのペースが上がらない。今朝先行して戻ってきた2人連れに追い越された。彼らは布引山まで行きガスが取れるまで待ってからナルミズ沢を下り、登り返して戻ってきたとのことであった。

  疲れたのでヒールフリーで林道上のちょっとした登りで転び起き上がるのに苦労した。しばらく行くと沢が切れていて2本の枝を渡している通過箇所に出た。ヒールフリーのままで渡るのは滑り落ちる可能性があるので、スキーを固定して慎重に渡った。

  後はグサグサ雪の林道をヒールフリーでほとんど歩いて宝川温泉に戻った。丁度先行の2人連れが車で出るところであった。車まで戻り後片付けをして帰宅した。

GPSトラック(登りが赤、下りが青)