悪沢岳(尾瀬) 2043 m

  3月中旬以降、いろいろあってとても山スキーなどに行ける状態では無かった。おまけに新型ウイルスの蔓延でで外出も難しくなった。幸い私の住んでいる桐生市周辺はウイルス感染者はいなし、車で行くなら群馬県内の山での山スキーは可能である。

  少し余裕が出来てきた4月の好天の7日に山スキーに出かけようかと考えた。今年は異常に小雪でGWに尾P方面の山スキーが難しいかも知れない。そこで、歩く距離が長いのは覚悟の上で、戸倉から津奈木橋を経て鳩待峠を経由して悪沢岳まで上がってみることにした。

  至仏山まで行きたいところだが,今の自分の体力ではとても無理である。途中にある悪沢岳ならなんとか行けそうだが、駄目なら途中で引き返せば良い。

  当日は好天で気温が上がり,風も無く良い山スキー日和であった。しかし、前々日から前日にかけて20cmくらい積もった新雪が気温上昇とともに重くなり、シールに張り付き出して,登りも下りもやや苦戦した。登りでは先行者のトレースのおかげでラッセルもしないで済み、悪沢岳頂上までたどり着いて山スキーを楽しむことが出来て幸いであった。

  朝早く出るため前泊しようかと戸倉の旅館、民宿に電話したところ,すべて営業は止めていますとのこと。仕方が無いので久しぶりに車中泊することにした。

  心配していた雪の量だがやはり少ない。昨年のGWの前半頃とほぼ同じくらいであった。鳩待峠への道路の除雪もほぼ終わっているようであった。

  至仏山にはほぼ毎年道路開通後のGW前後に鳩待峠から行っているが,道路開通前に歩いて行くのは今回初めてである。やはり道路上の歩きが往復で4時簡以上あるのでつらい。今年は異常に小雪なので道路開通後に山スキーが出来るだろうかと思って行ってみた。標高の低い所や谷筋は確かに雪が少ない。しかし、標高の高い所は雪があるので,GWでも鳩待峠から至仏山往復なら山スキーは可能であるように思えた。

4月7日(火) 晴れ

単独 
登行高度:705 m、滑降高度:740 m 歩行上り高度:345m 歩行下降高度:315m 

尾瀬戸倉(5:35)―津奈木橋(7:55〜8:10)ー鳩待峠に向かう道路際、シール歩行開始地点(8:20)−鳩待峠からの稜線沿い1850m地点(10:35)ー悪沢岳(1145〜12:20)―稜線沿い1800m地点(12:55)−県道沿い(13:45)−津奈木橋(13:50〜14:15)−尾P戸倉(16:10)

   
   朝5時前に起きて、簡単な朝食を取り山スキーの準備をして出発。明け方は寒くてインナージャケットを着た。スキーと兼用靴をザックにつけて担いで軽登山靴で歩き出した。閉ざされたゲートの横を通り抜けで雪が全くない道路上を歩いて進んだ。

   しばらく行くと,道路上に雪が現れだした。雪が無い所は凍っていて滑りやすいので注意しながら進んだ。だんだん雪が深くなってきて雪の上を軽登山靴で進んだ。この雪は前々日から前日にかけて積もった雪であった。2,3人の先行者の足跡が着いていた。さらに,至仏山まで行くと言う単独行の山スキーヤーが追越して行った。


雪が無い道路上を進む               しばらく行くと道路上に雪が一杯           津奈木橋手前の道路
    

   2時間以上かかってようやく津奈木橋に到着。暑くなり,インナージャケットを脱いだ。道路除雪作業の人が車でやって来て除雪車を動かし始めた。

   初めは津奈木沢左岸の尾根筋を上がる予定であったが,20cmくらいの重い新雪があるのでラッセルがきつそうで却下。次に昨年も上がった津奈木橋から県道を少し行った所から尾根筋を上がるルートだが,此処もラッセルがきつそうで却下。

   遠回りになるがラッセルが無い県道沿いを辿り鳩待峠まで行くことにした。先行の2,3人連れのトレースについてしばらく行くと,県道の左手に上がってから、尾根筋をシール歩行で進んている様子である。ここから尾根筋に上がれば昨年も上がった尾根筋に合して鳩待峠からの稜線上に出る。

   このトレースを有り難く使わせて頂いてラッセルをせずに上がることが出来た。尾根筋の最初はブッシュが多くて滑りにやや苦労しそうだななどと考えながら進んだ。だんだん尾根筋は急になって来たが,やや広いブナの樹林帯となりブッシュも少なくなった。快適な斜面である。

ブナの巨木がある尾根筋を上がる          ブッシュがややうるさい               シラビソの樹林帯を行く
    


  急斜面を上がりきると背の低いシラビソの樹林帯となる。緩斜面のシラビソ樹林帯を通り抜けると鳩待峠からの稜線沿いに合した。暑くなり,薄手のアウタージャケットも脱いだ。

   この頃からシールに雪玉が着きだした。落としても落としても着いてくる。仕方が無いのでスキーを外して雪玉をすべて落として、濡れたシールを陽に当てて少し乾かした。その後、ワックスを塗ってからスキーを履いてシール歩行を開始した。


尾根筋を上がる                      目の前に悪沢岳が見える                稜線から見る傘が岳
    


  この処理を施してしばらくは良かったが,また、雪玉が着きだした。新雪が気温が上がり陽に当たって粘着力のある雪になった上にシールが濡れたのでどうしようも無い。時々雪玉を落としながら進んだ。

  稜線上からは至仏山、燧ヶ岳、会津駒ヶ岳、尾瀬ヶ原、反対側には笠が岳が見えてきた。悪沢岳が正面に見える。最後のつらい登りを続けた。


稜線上から見る燧ヶ岳、会津駒ヶ岳、尾瀬ヶ原                  稜線上から見る至仏山、小至仏山
  


   至仏山に向かうトレースと離れ左手の悪沢岳目指して重い新雪をかき分けて最後の一登りで頂上到着。疲れた上に時間がかかった。山頂は陽が差して暖かい。周囲の山々を見ながらゆっくりと昼食の休憩を取った。
  

山頂より見る傘が岳                   山頂より見る日光白根山               山頂より見る上州武尊山
    

  
  長い休憩の後はシールを外して滑降開始。初めは頂上直下の低いシラビソ樹林帯の間を抜けた後、やや急斜面の広い無立木の斜面を適当にターンしながら滑り降りた。重い新雪で足に応えるが面白い。


尾瀬ヶ原、燧ヶ岳を見ながら滑り降りる       シラビソの樹林帯を滑り降りる            無立木の広い斜面を滑り降りる
    


  次いで左に取り,緩斜面を登りのトレースに合してそのまま進んだ。1866mのピークは左に巻いて進んだが重い新雪で歩行が大変。1866mのピークを越えた所で。このまま鳩待峠まで下ろうかと思ったが,鳩待峠から津奈木橋までの下りがどうなるか分らなかったし時間がかかりそうだったので,登りで取った尾根筋を辿って戻ることにした。

  初めなシラビソの樹林帯、次いでブナ樹林帯はブッシュが比較的少なく重い新雪で会ったが快適に滑ることが出来た。途中で尾根が二つに分岐する。登りに取った尾根筋は下部はブッシュが多くて滑りに苦労しそうだったので,右側の尾根筋を辿ることにした。このルートは昨年辿ったが、下部はやはりブッシュが多かったが,本日登に取ったルートよりましであった。

  下るにつれてブナの大きな木は減りブッシュのような灌木が増えてきた。ブッシュの間をスピードを落としながら斜滑降、ショートターン,キックターンを適当に交えて通り抜けた。重い新雪はやや締まっていて滑りやすくなっていた。


ブッシュの間をショートターンで滑り降りる    除雪された津奈木橋周辺              朝道路上にあった雪が完全に消えていた
    


  緩斜面となったブッシュの間を通り抜けると県道に出た。ここからわずかにスキーを滑らせると津奈木橋であった。朝,道路上に沢山あった雪が除雪のせいか、気温上昇で溶けたせいか全く消えていた。

  ここにデポしてあった軽登山靴に履き替えて,行動食を取りながらしばらく休憩した。休憩している間に3人連れがスキーと靴を担いで降りてきた。彼らは朝先行していたグループで至仏山まで行き尾根筋を鳩待峠まで戻ろうとしたが除雪が進んでいるので途中で降りてきたとのことであった。

  上りでトレースを使わせてもらったお礼を言い分かれた。ゆっくり休んだ後、スキーをザックにつけスキー靴を担いで軽登山靴で歩き出した。朝あれほどあった雪が全くない。

  スキーをつけたザックとスキー靴が肩に食い込んで来て、尾瀬戸倉までの歩きがこの日最もつらかった。途中の西栗沢出会いの橋でザックを下ろしてしばらく休憩。西栗沢はほとんど雪が無く水がとうとうと流れていた。7,8年前に、西山から西栗沢をここまで滑り降りたことを思い起こした。

  ザックを担いでしばらく行くとスノーシェッドの工事をしている重機と10名以上の作業員がいた。作業員のお一人と話をすると、雪崩予防のスノーシェッドやフェンスの補修作業をやっており,24日の道路開通までに工事を終了するとのことであった

  ようやく戸倉のゲートに到着し、横を通り車に戻った。後片付けをして帰途についた。

GPSトラック(赤が上り、青が下りの滑降、戸倉−津奈木橋間の道路上の歩きは大部分省略)