蓮華岳  2799 m

  5月も中旬になると山スキーが出来る場所は北アルプスや中央アルプスの山、富士山、あるいは東北や北海道の一部の山に限られる。北アルプスにある蓮華岳もそのような山の一つである。

  歳を取って来ると体力は落ちて以前なら問題無く行けた山も行けなくなってくる。かっては一日で針の木岳と蓮華岳の両方に登り山スキーで滑ったのだが、今は蓮華岳でも大変である。気象情報では一部雲が出るが天候は良いと言う19日にこれが最後になるかなと、扇沢から針の木峠を経由して蓮華岳に上がり蓮華大沢右俣を滑ることにした。

  このルートは6年前にも辿っているが、その時よりも登りで約一時間、下りで約30分余計にかかっている上にきつかった。

  5月19日(日) 晴れ時々曇り、風弱し
  単独
登行高度:1410 m、 滑降高度:1210 m 歩行下降高度:200 m

 扇沢(5:00)-最終堰堤(6:30〜6:40)―マヤクボ沢出合(8:10〜8:30)ー針ノ木峠(9:30〜9:35)―蓮華岳(11:20〜11:50)―蓮華大沢右俣エントリポイント(11:55〜12:05)―スキー終了地点(13:05〜13:15)-扇沢(13:45)

  
朝早く出るために前日の夕方に扇沢の市営駐車場に往き車を停めて車中泊した。駐車場には室堂、立山方面に泊まりがけで行った人の沢山の車が停まっていた。
   
  朝4時過ぎに起きて、簡単な朝食を取り山スキーの準備をして5時に出発した。既に明るく、先行して針の木方面に向かう登山者、山スキーヤーがいた。スキーを担いで雪の消えた登山道を上がって行った。

 黒4ダムに向かうトロリーバス専用の舗装道路から外れて林道に向かい橋を渡ると雪が出て来た。スキーを担いだままトレースに従い壺足でそのまま進んだ。左側の蓮華大沢に向かう広い沢筋には雪山訓練のためであろうか登山者のグループが見られた。

 最終堰堤の手前で雪が切れている箇所がありシール歩行で先行していた山スキーヤーのグループがスキーを外している間に追い越した。彼らは針の木峠まで上がって滑り降りると言っていた。最終堰堤を過ぎた所で一休み。その間に先ほどの山スキーヤーのグループが先行した。

  スキーにシールを着けてシール歩行を開始。針の木雪渓下部は大規模な雪崩があり大量のデブリが覆っていた。そのデブリの横を進んだが、雪は緩んでいるとは言え、凸凹があり歩きづらい。


堰堤を越える                        針の木雪渓をシール歩行                マヤクボ沢出合から見る針の木岳
    



  先行の山スキーヤーのグループは初心者とベテランの混成グループのようで途中で追い越した。疲れるのでゆっくりペースで上がりようやくマヤクボ沢出合に到達し、ここで休んで行動食と水を取った。

  マヤクボ沢を上がるグループは針の木岳に向かうのだろう。一方先ほどの山スキーヤーのグループはそのままシール歩行を続けていた。

  針ノ木峠に上がる斜面はかなり急である。登山者のトレースがしっかり付いていて歩き易そうだったので、ここでシール歩行を止めてスキーをザックに付けてアイゼンをを付けてアイゼン歩行でトレースに従い急斜面を上がった。


針ノ木峠を目指して上がる               針の木峠に上がる途中から下部を見る        針ノ木峠に上がる途中から見る針の木岳
    


  相前後して上がっていた山スキーヤーのグループが急斜面でのシール歩行に苦労している間に追い越して針ノ木峠に到着。一休みして左側の雪が付いた急斜面を上がって行った。

針ノ木峠から見る針の木岳とスバリ岳                          針ノ木峠から見る薬師岳方面
   



  その急斜面を上がり切る直前に10人以上の登山者が下って来た。もう蓮華岳まで行ってきたのですか?と尋ねると、剣岳が見える最初のピークまで上がり、戻って来たとの事であった。

  その雪の斜面を上がり切ると雪が解けた尾根筋の登山道が続く。アイゼンを外して緩斜面のアップダウンが続く登山道を進んだ。途中で雪が残っている箇所もあるが傾斜は緩く、壺足のトレースが付いているのでそれに従い進んだ。以前ならのんびりと休みながら進めた所もやや緊張する。


針ノ木峠小屋                        蓮華岳と蓮華大沢右俣源頭部            蓮華岳手前のピークの社
    


  蓮華大沢右俣のエントリポイントに達すると下から上がってくる山スキーヤー2人連れがいた、さらに針の木峠からの後続の山スキーヤーが一人が見えた。最後の一登りで社が立っている蓮華岳の手前のピークに達した。4人連れの山スキーヤーが下りて行く所であった。

  ここで周囲の景色を見ながら長い休憩を取った。陽が射して風も弱い。遠くの山は雲に隠れて見えない。時々雲が途切れて剣岳、薬師岳などが見えた。近くの針の木岳やスバリ岳は良く見えていたが、下から湧いてくるガスで時々見えなくなった。

 その間に先ほどの山スキーヤー3人もやって来て、すぐ目の前にある蓮華岳本峰に向かって行った。自分も折角なのでザックなどを置いて本邦に向かった。戻って昼食を取り、シールを外して白馬沢右俣エントリーポイントに向かった。


こちらが蓮華岳本峰                   滑って来た蓮華大沢右俣上部             蓮華大沢右俣上部から下部を見る   
    


 先ほどの一人がここで昼食を取りながら休んでいた。その横でスキーを履き、お先にと言って広い蓮華大沢右俣上部をトラバース気味に左手に進んだ。最初降りようと思っていた急斜面の谷筋を登山者2人が上がってくるのが見えた。そこでさらに左にトラバースして登山者がいない斜面に出た。

  広いが急斜面が下まで続いている。ここには先行して滑り降りたトレースが残っていた。ザラメ雪がやや緩んでいて滑り易い。適当にターンしながら滑り降りた。

   トレースが付いていない急斜面を2,3度ターンした時に油断していたためエッジングが甘くてずり落ちた。ウイペットを雪面に突き刺して制動を掛けたたので数メートルずり落ちた所で止まった。下に行けば斜度も緩んで来るので止まるだろうが、怪我をするかも知れないので肝を冷やした。


蓮華大沢右俣中間部から上を見る           蓮華大沢右俣中間部から下部を見る        蓮華大沢右俣下部
    


   以後は慎重にターンを繰り返して急斜面を滑り降りた。斜度も緩んできて快適な滑りとなったが、下がるにつれて大量のデブリが出て来た。おまけに所々小さな石や木片が散乱している。デブリは緩んできているとは言え滑りづらい。

   出来るだけデブリや石を避けて滑り降りたが時々ガリと言う音がする。最後の波打合った緩斜面をすべり下りて針の木雪渓最下部に達した。間違えて沢が流れているスノーブリッジを渡りまた元に戻った。

針の木雪渓最下部の合流点              右岸沿いを滑り降りる                   スキーは終了
    


   後は往きに取ったルートをトレースに従い戻るだけ。林道の橋の手前でスキーは終了。スキーを担いで林道、舗装道路、登山道を歩き扇沢まで戻った。

   扇沢周辺で、10人以上の高級カメラを持っている人が集まっていた。お目当ては高山蝶のクモマツマキチョウの撮影。自分もここで花に止まっているクモマツマキチョウの写真を撮ったが、コンパクトデジカメでは良い写真は取れない。

   後は大町温泉郷で日帰り温泉に入り帰途に着いた。

途中でで見た花と蝶
ヤマエンゴサク?                       イチリンソウ                        フキノトウに止まるクモマツマキチョウ
    


GPSトラック(登りが赤、下りの滑降が青)