白馬岳  2932 m、  旭岳 2867 m

  白馬岳は山スキーで10回以上行っているが、最近数年は行っていなかった。久しぶりに白馬岳に上がって見ようかと気象情報で好天の5月12,13日に2日がかりで行くことにし、12日は白馬山荘に泊まることにした。13日は月曜日で人が少なく静かな山スキー行が期待出来る。
 
 ルートは猿倉から大雪渓を上がり白馬岳、次いで旭岳に上がり旭岳北面を滑り、柳又谷から三国境を経て白馬沢右俣を滑り降り大雪渓に合流して猿倉に戻る周回コース。このルートは14年前には日帰りで余裕をもって行けたが、今の自分の体力ではとても日帰りは無理である。

 やはり、筋肉痛が出て疲れて時間がかかったが、当初の予定通り旭岳北面や白馬沢右俣の急斜面の滑りを楽しむことが出来て幸いであった。高齢になったので白馬沢右俣もこれで最後かもしれない。

  5月 12日(日) 晴れ所により薄曇り、風弱し

  単独
登行高度:1610 m、 滑降高度:0 m 

 猿倉(8:45)-白馬尻(10:10)―大雪渓2150m地点(11:45〜12:00)ー大雪渓上部2500m地点(13:50〜14:05)―白馬山荘(15:20)

 
 前日は夕方まで用があったので、12日に朝早く起きて自宅を4時50分に出た。北関東自動車道、上信越道で長野ICを出て白馬村を経由して猿倉の駐車場に8時20分に着いた。約3時間半の行程。やはり群馬、上越の山と比べて遠い。5月中旬になると山スキーが出来るサイトは限られる。

  広い駐車場にはかなり沢山の車が停まっていた。山スキーの準備をして出発。今年は雪が多いようで、駐車場付近もかなりの雪が残っていた。スキーをもって少し行った所で、シール歩行に切り替えた。以後、林道上は雪がずっと繋がっており、スキーを外すこと無くシール歩行が可能であった。

  ほぼ同時に出発した登山者、山スキーヤーがかなり大勢いたが、ほとんどが小日向山か槍温泉まで行く人であった。白馬岳に上る人は既に出発したようで、林道を上がって行くのは一人だけになってしまった。


林道をシール歩行で進む                金山沢合流部は完全に雪が切れている       林道が終わり、目指す白馬岳が見えてきた
   


  
  林道上の長走沢通過地点ははすでに雪が融けていて水が勢いよく流れていた。しかし、その少し上はスノーブリッジが残っていたので、そのスノーブリッジを越えてから林道に戻って進んだ。

 白馬尻に達すると、大雪渓末端はものすごく大量のデブリに覆われていた。大規模な雪崩が起こったのだろう。そのデブリを避けて登山ルートは右岸寄りに取られている。先行のトレースに付いて進んだが時間がかかる。

白馬沢合流部は雪が繋がっている          大雪渓末端は大量のデブリで覆われていた     デブリを避けて右岸沿いを進む
    


 早くもスキーで降りて来た人がいたので、尋ねると今朝早朝に出たが、時間切れで引き返したとの事。その後、続々と登山者、山スキーヤーが下りてきた。ほとん
どの人が昨日上がり白馬山荘に泊まった人であった。

 ゆっくりペースで休まずにシール歩行を続けた。大雪渓のはるか先を上がっている人が4,5名見えた。大雪渓が急斜面になる手前の2150m地点で休み、昼食の一部をを取り水を飲んだ。

大雪渓中間部から見上げると、 はるか先に4人が先行している          大雪渓中間部から見る杓子岳
  


 スキーをザックに付け、アイゼンを装着し先行ののトレースに付いて急斜面を上がった。今朝早く出発したであろう山スキーヤー、登山者が続々と下りて行った。いつもの事ながらこの登りはつらかった。

斜面を先行のトレースに付いてアイゼン歩行    急斜面の途中で見る杓子岳              急斜面から大雪渓の下部を見下ろす
    


  急斜面を上がり切った2500m地点で、アイゼンを外し再びスキーでシール歩行を始めた。すぐ目の前 には2人連れの登山者が、さらにその先にはにはスキーを担いだ2人連れが上がっているのが見えた。

急斜面を上がり切った所でシール歩行         先行の登山者がすぐ目の前に             小雪渓も雪が繋がっている
    


  最後の登りもつらかったが休む事無くゆっくりペースで上がり、2人連れの登山者を追い越した。白馬山荘にはスキーを担いだ2人連れにわずかの遅れで3時20分に到着。猿倉から6時間半かかって到着したが、疲れた上に筋肉痛が出てきた。。


白馬山荘が目の前に                   白馬山荘から見る杓子岳と白馬鑓ヶ岳        旭岳に夕日が沈む
    


  白馬山荘に宿泊のお願いをして、ベンチで周囲の景色を見ながら缶ビールを飲んで至福の時を過ごした。風も無く暖かい。

  明日は月曜日なので、本日の宿泊客は6人だけ。一人一室でゆっくりくつろげた。

  
 5月 13日(月) 晴れ所により薄曇り、風弱し

  単独
登行高度:525 m、 滑降高度:2000 m、 歩行下降高度:120 m 

 白馬山荘(6:35)-白馬岳(6:50〜7:15))―白馬山荘(7:30〜8:00)ー旭岳との鞍部(8:20〜8:25)―旭岳(9:30〜9:45)―旭岳北面エントリーポイント(10:00)―柳又谷2400m地点(10:25〜10:55)―尾根筋白馬沢右俣エントリーポイント(12:20〜13:05)-大雪渓合流部(14:10)−猿倉(15:10)

  朝5時半から朝食。朝食を終えたら、ザックに荷物を詰めて山スキーの準備をした。ザックを玄関に置いてカメラだけを持って白馬岳山頂に向かった。白馬山荘から山頂までの登山道はほとんど雪が融けていたが、残っていた雪は早朝で固い。慎重に歩を進め山頂に向かった。

  まず山頂手前の2号雪渓を上から眺めた。昨日か一昨日であろうが、2号雪渓を滑り降りた人がいたようで、トレースが残っていた。エントリーポイントは非常に急でここを下りるのは技術と度胸がいる。一段上のエントリーポイントは上からのギャップが有りすぎて下るのは無理。2号雪渓の上で雷鳥が見えたが、直ぐ隠れてしまった。

2号雪渓エントリー部                  昨日か一昨日に2号雪渓を下りた人がいる       白馬岳岳頂上標識
    


  次いで、すぐ上の山頂に向かった。同宿者4人もやって来てしばらく周囲の山々の眺望を楽しんだ。眼の前に旭岳、その向こうに剣岳と立山、、その右横が毛勝三山、左側の目の前には杓子岳と白馬鑓ヶ岳、その奥は針の木岳だろうか。

頂上で                             白馬岳より見る毛勝三山                杓子岳と白馬鑓ヶ岳
    


反対側には小蓮華、雪倉岳から朝日岳。東南側には鹿島槍ヶ岳、槍ヶ岳などが見えるはずだが霞んでいて良く見えない。

小蓮華山の向こうに雪倉岳と朝日岳          目の前に旭岳                      遠くにやや霞んで見える剣岳
    


  白馬岳山頂の眺望を十分堪能した後、白馬山荘に戻った。ザックを担ぎスキーを持って、清水谷を滑ってから白馬鑓ヶ岳に上がり鑓温泉を楽しむと言う2人連れとほぼ同時に白馬山荘を出た。

  少し下った雪が繋がっている所でスキーを履き鞍部まで滑り降りた。2人連れはそのまま清水谷に下って行った。鞍部でスキーをザックに付けて、アイゼンを装着してスキーを担いで旭岳を目指して上がって行った。

  前日のトレースを辿りながら進んだが、雪が未だ固かったので慎重に歩を進めた。頂上手前で、写真を撮ろうとカメラを出そうとしたら、いつも置いてあるザックのベルトのカメラケースに無い。白馬山荘に忘れたのかとあわてて引き返した。しばらくしてズボンのポケットにカメラを入れてあることに気付いた。

  白馬山頂に上がった時、ズボンのポケットに入れてそのままにしてあったのだった。引き返してまた登り返す往復で無駄な労力を使い20〜30分のロス。

  結局、旭岳には鞍部から1時間以上掛かって到着。横に広い旭岳でしばらく周囲の景色を眺めながら休憩。ここにも雷鳥のつがいが見られた。旭岳東面を上から眺めた。結構な急斜面で10年以上前に一度滑り降りたことがあるが、もう行こうと言う気が起こらない。


旭岳から見る白馬岳                      旭岳からみる白馬鑓ヶ岳               旭岳から霞んで見える剣岳と立山
    


  昨日か一昨日のものと思われるトレースが旭岳岳北面に向かって着いていた。北面エントリーポイントは雪が切れていた。北面で雪が未だ固い状態であったので、アイゼンの取り外しやスキーの装着が安全に出来る所まで、アイゼン歩行で少し下った。

  アイゼンを外しスキーを装着し、スキー滑降開始。雪は未だ固くガリガリ音を立てる。エッジを少し立て横滑り気味の斜滑降で滑り、慎重にターンしてから横滑り気味の斜滑降を何度か繰り返して上部のやや急で硬い雪面を滑り降りた。


旭岳北面上部を滑る                   滑って来た旭岳北面(右側の斜面)を振り返る     旭岳北面を下りて長いトラバース
    


  少し下ると雪は緩んできた上に斜度も落ちてきた。適当にターンしながらこの斜面を快適に滑り降りた。前日か前々日のトレースはさらに下の谷筋まで付いていたが、登り返すのがつらいので出来るだけ斜度を落とさないようにトラバース気味にスキーを進めた。

  柳又谷の谷筋の上の2400m地点でスキー滑降は終了し、行動食を取り水を飲んだ。ここで、スキーにシールを付けてシール歩行を開始。殆ど平行移動で歩を進めた後、三国境と雪倉岳の間の稜線を目指して緩斜面を上がった。

  稜線付近は雪が融けていてハイ松と岩が混じっていた。スキーを担いで砂礫の間を歩き出した所、再び雷鳥のつがいに遭遇。この雷鳥はハイ松の松かさを食べるのに夢中ですぐ近くでカメラを向けているのに全く気にしない。立ち止ってこのなれなれしい雷鳥をしばらく見ていた。

雷鳥(メス)                           ハイ松の松かさをついばむ雷鳥(オス)         つがいの雷鳥
    


  ずれやすい砂礫地をわずかに上がると稜線上の登山道に出た。登山道を歩いていると雪が出て来た。雪面上のトレースに従いトラバース気味に三国境の北東側に出た。ここから雪が消えた稜線上をわずかに進むと右側に広い白馬沢右俣のエントリーポイントに出た。

  最上部は広くて平らだが直ぐに広くて長い急斜面となる。ここで、昼食を取りながら長い休憩を取った。休憩の後はシールを外し滑降開始。始めは慎重に斜滑降気味にエントリーした後、2,3度ターンをして様子を見た。

エントリーポイントで休憩。向こうは小蓮華山   白馬沢エントリーポイントから見る白馬三山     白馬沢右俣上部で滑って来た斜面を見上げる
    


  上部雪面は平坦でザラメ雪が緩んでいて滑り易い。ショートターンを繰り返しながら急斜面を滑り降りた。続けてターンしていると大腿部の筋肉が痛くなるので途中何度か休んで上部の広い快適な急斜面を滑り降りた。


白馬沢右俣上部から見る。結構急斜面         滑り降りた白馬沢右俣上部を見上げる      白馬沢右俣上部から下部を見おろす
    


  上部の広い斜面を下りると、やや幅が狭いノド状の急斜面となる、ここはデブリ、小さな岩、土砂が散乱している上。、クラックが入っている所もあり、てスキーでの通過に苦労した。狭い個所でのショートターンや短い斜滑降とキックターンを交えて何とかここを切り抜けて降りた。


馬沢右俣の中間部                 白馬沢右俣の中間部はデブリで一杯         滑り降りた白馬沢を見上げる。馬の形が見える
    



  下部になると広くて長い緩斜面となった。雪面は波打っていたが雪が緩んでいるので問題無い。小回りターン、大回りターンを繰り返しながら滑り降りた。旭岳から白馬沢右俣滑降に至るまで誰にも合わなかったが、どういう訳か、本日のものと思われるトレースまで見られた。

  大雪渓合流部で、そのまま谷筋を下れるかどうか心配だったので、早めに大雪渓に入ろうと白馬沢右岸から縦溝の激しい個所を滑り降りた所、川沿いの崖でブッシュが生えていて雪も付いてない。

大雪渓末端部で合流                     トレースの付いた林道を滑り降りる          滑って来た白馬岳を振り返る
    


  仕方が無いのでスキーをもって少し登り返した。疲れた身体にはこの登り返しはつらかった。ようやく雪が繋がっている箇所に出たが、大量のデブリで前をふさがれている。

  デブリの間の行けそうな所を選んで滑り、ようやく往きに取った登山ルートに出た。ここから先は下りのトレースがしっかり付いており、何人かの山スキーヤー、登山者が下っていた。

  そのトレース沿いに進み林道に出た。後ろから来た山スキーヤーに先を譲り滑り降りた。昨日の朝より雪解けが進んだが、スキーを外さずに滑り降りることが出来た。

  長走沢は昨日よりさらに上流側のスノーブリッジを越えて進んだが、スキーを外して沢を渡った方が良かったかも知れない。沢を越えてしばらく行った所で沢山のフキノトウを見つけた。スキーを外して小さなポリ袋一杯のフキノトウを取った。その間に2人の山スキーヤーが通り過ぎて行った。

  その後、スキーを滑らせて先ほどの2人に追い着いた。昨日の朝は繋がっていた雪が切れた所でスキーを外して越えもう一度スキーを付けて最後の滑走。駐車場の少し手前でスキーは終了。

  後片付けをして、途中のおびなたの湯で2日間の汗を流した後、帰途に着いた。

GPSトラック(登りが赤、下りの滑降が青)