笠ヶ岳(尾瀬)  2057 m

 今年のGW前半は久しぶりに北アルプス方面に出掛けようかと考えていたが、28日の日曜日は好天気だが、その前後は天候が良くないとの気象情報であった。そこで、遠方に泊まりがけで行くのは止めて近場で日帰り出来てこれまで行っていなかった尾瀬の笠ヶ岳に行くことを考えた。

 先日至仏山に上がった時に見えた笠ヶ岳が残雪豊富で山容が良かった。また、沢筋が雪に埋もれていたので笠ヶ岳方面も沢筋が雪で埋もれているだろう。笠ヶ岳方面に何度か行っていてルートに付いて御存知のKさんにメールして同行することになった。、Kさんは同じ桐生市の住人で10日前に雁が峰、霧の塔の山スキー行にご一緒した

 問題は出発口の津奈木橋の周辺に駐車出来るかどうかだが橋周辺は広く問題無く車を停めることが出来た。当日は気象情報通り快晴無風で絶好の山スキー日和であった。

 隣の至仏山は非常に大勢の登山者、山スキーヤーで混雑していたようだが、笠ヶ岳に上がった山スキーヤーは我々2人だけ。登山者も鳩待峠から悪沢岳を経て上がって来た4,5人だけであった。

  笠ヶ岳は周囲の眺望が素晴らしい。頂上直下は無立木の急斜面、中腹はシラビソとダケカンバの疎林帯が続くほどほどの斜面の広い尾根筋、下部は谷筋となり、変化に富んだ山スキーの好適地であることが分かった。今回取ったルート以外にも面白そうなコースがあり、沢筋が通過出来る時にもう一度行きたいと思った。

  4月 28日(日) 晴、無風

  2人
登行高度:745 m、 滑降高度:745 m 

 津奈木橋(7:45)-笠根橋(8:30))―スリハナ沢出会い(10:20)ー稜線(12:00)―笠ヶ岳(13:00〜13:55)―スリハナ沢(14:55)―笠根橋(15:50〜16:00)―津奈木橋(16:45)

  
朝5時前に自宅を出て、大間々、赤城東面道路、片品を経て尾瀬戸倉の鳩待峠に至るゲートに7時前に到着。その後すぐにKさんもやって来た。鳩待峠に向かうタクシー、マイクロバスが何台か通り過ぎて行った。

   そのまま、津奈木橋に向かった。橋周辺は広い空き地がありここに車を停めた。ここから鳩待峠に行く道路が続いている。一方、水上方面に向かう道路はゲートが設けられていて除雪を行っている最中である。

   山スキーの準備をして始めはスキーを担いで歩いた。昨日からの雪が10cm位積もっていた。少し歩いた後、シール歩行に切り替えて除雪された道路脇で新雪が積もっている所を進んだ。

新雪が積もった道路上をシール歩行           笠ヶ岳が見える                      除雪終了地点で上がる
    


   壺足で歩いたトレースが2,3残っていたが、途中から沢沿いに下っていた。どうやら渓流釣りの人らしい。道路上を進んで45分で笠根橋に到着。ここまで除雪が進んでおり、除雪車が停まっていた。スキーを外して除雪した壁を乗り越えた。

   沢沿いの右岸のブナや落葉松の疎林帯の広い緩斜面をKさんに続いて上がった。新雪が10cm位載っており、その下はザラメ雪で歩き易い。沢は一部割れておりそのまま進むのは危険である。

下部の緩斜面を行く                   沢は割れている箇所があり進むのは危険      下部緩斜面から見る笠ヶ岳
    
 

   タル沢の合流点から沢の右岸の急斜面をトラバース気味に進んだ。新雪が乗っていて下の雪も緩んでいて滑落することは無いだろうが、下部の沢は所々雪が融けて口をあけておりは緊張しながら通り過ぎた。暑くなってきてアウタージャケットを脱いだ。

   しばらく沢の右岸を進んだ後、スノーブリッジを利用して左岸に渡り、スリバナ沢を越えて、目の前のシラビソとダケカンバの疎林帯の尾根に上がって行った。当初は広い緩斜面であったが、だんだん斜面は急になって来た。


谷筋を進む                           尾根筋に上がる末端のシラビソ林           ダケカンバとシラビソの混交林
    


   途中でカモシカらしい新しい足跡が付いていた。やや急斜面をジグを切りながら上がると緩斜面となった。陽が射してきて暖かい。昨日積もった新雪がシールに付いて団子状態になった。スキーを外して付着した雪を除きワックスを塗った。以後、ほおtン度雪が付着しなくなった。

   広い尾根筋は樹林の合間から下部の谷筋までの斜面、遠くには日光白根山が見えている。右手には悪沢岳、その横には上だけ見えている燧ヶ岳が遠望できた。


右側に悪沢岳                      上がって来た尾根筋を見る。遠くに日光白根山      アヤメ平
      

   シラビソの疎林帯の広い尾根筋は途中やや急になったり、緩斜面となったりが続いている。やや急斜面を上がり切った所で少し休憩。行動食と水を取った。休んだ後少し上がると、悪沢岳から笠ヶ岳に至る稜線に出た。悪沢岳方面から来たとみられる登山者のスノーシューと壺足のトレースが付いていた。


燧ヶ岳山頂が見えてきた                 これから上がる笠ヶ岳                 至仏山を背に最後の登り
    


   稜線上をしばらく行くと頂上直下の急斜面となっ た。シールだけで上がるのは難しい。ここでスキーをザックに付けて登山者のトレースに付いて壺足で上がった。Kさんはスキーアイゼンを付けてスキーで上がっていた。

   急斜面を上がり切ると岩が出ている笠ヶ岳頂上であった。先行の登山者2人が休んでいた。Kさんはスキーで上がり切った。天気は快晴無風で暖かい。ここで昼食を取りながら長い休憩。


笠ヶ岳山頂                          巻機山                           一ノ倉岳、武能岳、芝倉沢
    


   周囲の山々の眺望が素晴らしい。目の前に日光白根山、右横には赤城山と、武尊山。さらには谷川岳から白毛門、笠ヶ岳、朝日岳の稜線。手前の尾根筋は先日上がった布引山、雨ヶ立山。巻機山、平ヶ岳、直ぐ近くには至仏山、小至仏山。その向こうには燧ヶ岳からアヤメ平。

至仏山、小至仏山                    武尊山、遠くに赤城山                  朝日岳、手前は布引山、雨ヶ立山
    


   休んでいる間に先行の登山者2人が下りて行った。さらに2人連れの登山者が上がって来て休んでいたが、彼らもおりて行った。

   長い休憩の後はシールを外して滑降開始。頂上から少し往路を戻って雪庇が無い所を確認して無立木の急斜面を小回りのターンで滑り降りた。10cm位の新雪が緩んで重くなっていたが滑りは快適である。その後、急斜面をトラバース気味に往路に戻った。

頂上直下の急斜面をショートターーンで滑り降りる   急斜面をトラバース                    雪庇が出ている
    



  Kさんは安全策を取り往路をゆっくりと下っていた。後はシラビソやダケカンバの疎林帯の広い尾根筋を適当にターンしながら滑り降りた。だんだん雪は重くなり足に応えて来たが、滑りは快適である。


頂上からの稜線上を滑るKさん            日光白根山を見ながら疎林帯の根筋を滑る      樹林帯を滑るKさん
    


  やや疲れて遅れだしたKさんを時々待ってから滑り降りた。下るにつれてダケカンバ、ブナ、落葉松の混交林となったが、樹間は充分にあり滑りには問題無い。沢沿いに降りて、往路をそのまま辿り、スリハナ沢を渡った。


    


  急斜面を下って笠科沢を右岸に渡った所でスキーにシールを付けて眼の前の小尾根をシール歩行で越えた。Kさんの話では沢が完全に雪に埋まっていれば沢床をそのまま楽にスキーで通過出来るとの事であった。

沢沿いを下る                        急斜面を慎重に下り、笠科川を越える        笠根橋、道路は完全に雪が融けていた
    


  小尾根を越えてしばらく行った所でシールを外して疎林帯の緩斜面を最後の滑走。わずかな滑りで 笠根橋の除雪終了地点に出た。スキーを外して、本日のスキーは終了。朝は新雪が残っていてシール歩行が出来たが、道路上の雪はすべて解けていた。

  スキーをザックに付けて除雪された道路をのんびり歩いて津奈木橋に戻った。後片付けをして帰途に着いた。


GPSトラック(登りが赤、下りの滑降が青)