三岩岳  2065m

  南会津の桧枝岐から登れる山はいろいろ良い山があるが、群馬の自宅から距離的に近いが途中は山間部の道路が長く時間がかかり運転に疲れる」ので余り行けない。

   4月13日は好天だと言う気象情報で、久しぶりに桧枝岐の山に行って見ようかと、これまで行っていなかった三岩岳に行くことにした。前日に、昨年夏にお世話になった桧枝岐の民宿に泊まり朝早く出発した。

   数日前にかなりの降雪があったが、下部の大戸沢沿いは雪解けが進んでおり、雪が切れていて3回渡渉をした。当日は気温が上がったため、上部は波打ったシュカブラの雪が緩んで良かったが、中間部はぐちゃぐちゃの重い雪で足に応えて疲れ。2,3回転倒した。

   この日下大戸沢から三岩岳に上がったのはただ一人、快晴無風の中静かな山スキーを楽しむ事が出来た。 しかし、帰りの車の運転は4時間以上かかり疲れた。

  4月 13日(土) 快晴、無風

  単独
登行高度:1220 m、 滑降高度:1220 m、 

下大戸沢スノーシェッド(5:15)-三つ岩沢下部(7:20)-尾根筋−三つ岩(10:15)ー三岩岳(10:30〜11:20ー尾根筋ー三つ岩沢下部(12:15)―下大戸沢スノーシェッド(13:15)

   
桧枝岐の民宿で朝4時過ぎに起床。簡単な朝食を取り準備して下大戸沢スノーシェッドの横の駐車スペースに向かった。さすがに車は一台も停まっていない。山スキーの準備をして、道路脇よりシール歩行を開始した。


国道沿いから入山                      下大戸沢沿いを進む                 進んで来た沢沿いを振り返る
    


   前日のトレースがしっかりと付いており、それに従って沢沿いの緩斜面を進んだ。早朝で気温が低いので雪面は固くなっており歩き易い。しばらく行くと左岸から右岸に渡る渡渉点に達した。水がやや多い。スキーをザックに付けてストックでバランスを取りながら出来るだけ水深が浅い所を選びながら渡渉した。幸い、水がスキー靴の中に入らないですんだ。

   渡り終わって再度シール歩行を続けた。しばらく行くと、右手の山からの小さな沢が雪解けで雪が繋がっていない。ここで再びスキーを外してこの小沢を越えてからシール歩行を続行。

   トレースに付いて進むと、急なギャップがありそのギャップをスキーを外して越えていた。自分もスキーを外してトレースに付いた足跡をたどりギャップを越えた。昨日のトレースに付いて進むと、トレースは下大戸沢右岸から左側の方に向かっている。どうやら大戸沢岳方面に行ったようだ。

   ここでトレースから外れて右側に向かった。登りは沢沿いからブナや灌木の樹林がやや濃い尾根を上がるべきだったが、そのまま三つ岩沢沿いを進んでしまった。三つ岩沢が全貌出来る地点で上を見上げると、下部は新しいデブリが一杯であった。

下大戸沢から中ノ沢を仰ぎ見る            三つ岩沢、下部はデブリが一杯              尾根筋に上がる
    


   今日は気温が上がるので、雪崩れの恐れが有り三つ岩沢を滑るのは危険だと思われた。ましてここを登って行くのは非常に危険である。そこで、右手のやや急斜面の尾根の樹林帯ををトラバース気味に上がることにした。雪面はやや硬く滑り落ちる可能性がある。ここで持参のスキーアイゼンを装着。暑くなってきてアウタージャケットを脱いだ。

   スキーアイゼンが良く効くようにクライミングサポートを最上段にしないで、出来るだけ勾配を取らないようにして進み、ようやく尾根筋の上に出た。この尾根は上部はブナの疎林帯が続く広い尾根であるがやや急である。


がって来た尾根を見下ろす               疎林の尾根筋、やや急                三つ岩が見えてきた
    


  雪面はまだやや硬く適当にジグを切りながら上がって行った。勾配が緩くなると直登し急になるとジグを切りながら進んでハイクアップを続けた。陽が射して雪が緩んできた。シールに雪玉が大量に付き出して来た。途中でスキーを外して雪玉を取りスキー用のワックスを塗って見たが、しばらく進むとまた雪玉が着いて上りにやや苦労した。

   やや平らになった1700m地点で一休みし、行動食と水を取った。次の急斜面を上がり切ると、右側に飯豊連峰や会津の山々が一望できる尾根筋に出た。
最後の急斜面を上がり切ると三個の大きな岩が出ている三つ岩に達した。ここから、本日のものと思われる新しいスキーのトレースが付いていた。このトレースは、小豆温泉から上がって来たもののようであった。

三つ岩沢上部                          窓明山                         三岩岳山頂の小樹氷
    


   そのトレースに付いてわずかな登りで三岩岳頂上に到着。ここから滑り降りたトレースが一本付いていた。頂上から平坦で広い尾根筋をさらに進み、西側の小ピークの手前で三つ岩沢を上部から眺めて見た。上部は急だが、雪の条件さえ良ければ行けそうだが今日は雪崩の恐れが有るので取り止め。

   三岩岳に戻って周囲の景色を見ながらゆっくり休み、昼食を取り水を飲んだ。風も無く暖かい。長い休憩の後はシールを外して滑降開始。基本的には行きに取ったブナの疎林帯の尾根ルートをそのまま戻ることにした。雪面は薄皮の最中雪状だが気温が上がったので雪が緩んでやや重いが滑り易い。適当にターンしながら下って行った。

飯豊連峰                          会津の山々                        高畑スキー場、向うは台鞍スキー場
    

    
  雪面が波打っているシュカブラ状態の所も雪が緩んできたが足に応える。新雪が飛ばされてザラメ雪状になった所はターンしやすいし疲れないで滑り下りることが出来た。下るにつれてグサグサの重い雪となった。ターンするのに疲れるし、油断するとスキー先端が重い雪に引っかかって転倒する。

三つ岩横を滑り降りる                     雪が重い尾根筋を滑り降りる            ブナの疎林帯を滑り降りる
    


   そのまま尾根筋を下るとさらに雪が重くなるし樹林がやや濃くなるので、急斜面だが樹林が薄い三つ岩沢側の方に滑り降りた。ここでも滑るごとに表面の雪が大きな雪玉となって落ちて行った。雪玉が落ち切ったのを見定めて下って行ったが、三つ岩沢の沢床まで降りるのは止めて、途中から樹林帯をトラバース気味に尾根を下った。

    尾根筋はそのまま進むとはやや樹林帯が濃くなるので1200m地点から沢筋に下りて沢沿いの緩斜面を滑り降りた。沢の雪が切れて通過不能な所があり滑られるルートが限られて来た。往きにもスキーを外して越えたギャップの所で、スキーを外して乗り越えた後、スキーを滑らせた。

尾根筋から三つ岩沢側へ下る                広い下大戸沢を下る                  最後の滑り
    

    対岸には単独行のボーダーが滑っており、残っているスノーブリッジを利用して右岸から左岸に渡ったようである。しばらくスキーを滑らせると雪が切れている小さな沢に達した。再びスキーを外して越えると、先ほどのボーダーがいた。この方は大戸沢岳まで行ってきたと言って先に滑り下りて行った。

   暑くなり、頂上で着たアウタージャケットを脱いでさらにスキーを滑らせて右岸に渡る渡渉地点に出た。もう後わずかで靴の中に水が入っても構わない思ってじゃぶじゃぶ渡ったが幸い濡れずに済んだ。後は最後のヒ一滑りで国道沿いに戻った。

  広く無い駐車スペースには他に一台が停まっているだけであった。後片付けをして日帰り温泉の窓明の湯に立ち寄り汗を流した後帰途に着いた。

GPSトラック(登りが赤、下りの滑降が青、 下りの歩行は緑)