白馬鑓温泉  2017 m (2125 mまで上がる)

  先週の乗鞍で今シーズンの山スキーは終了と考えていたが、5月21,22日はウィークデーで気温が高く好天だとの気象情報であった。そこで、急遽白馬の鑓温泉に行って山中の温泉にのんびりと浸かろうかと考えた。

  鑓温泉は白馬槍ヶ岳の中腹にある温泉で、5月は雪に囲まれた露天風呂に浸かりながら周囲の山々を見渡せる。5月の土、日は大勢の山スキーヤー、ボーダー、登山者でにぎあう人気のスポットである。

  白馬鑓温泉にはこれまでに4回くらい行っているだろうか。始めて行った15年以上前には、帰りに道に迷い長走り沢と中山沢と間違えて下りかけ途中で引き返したが日が暮れて結局ビバークせざるを得なくなった思い出の所でもある。

  当日は予想通り好天で風も無かったが、温泉でお目にかかった人は全部で2人で静かな山行を楽しむことが出来た。雪解けが早く下部の歩きが長く、また、縦溝の雪が多く滑りにはやや苦労し疲れたが、今シーズン最後の山スキーを楽しむことが出来た。

  5月 22日(火) 晴れ、微風

 単独

登行高度:1315 m、 滑降高度:1005 m 歩行下降高度:310 m  

猿倉(5:20)-小日向のコル(8:10〜8:25)−杓子沢下部(8:45〜8:50)―鑓温泉上部2125m地点(10:40〜10:50)−鑓温泉(11:00〜12:30)―杓子沢下部(12:45〜12:50)−小日向のコル(13:55〜14:05)-猿倉台地1555m地点(14:15〜14:20)-猿倉(15:55)


  
 前夜暗くなる直前に猿倉の駐車場に到着。10台くらいの車が停まっていた。おそらく多くは白馬岳頂上山荘に泊まっている人の車であろう。ここで車中泊した。、夜のうちに数台の車がやって来たが、火曜日なので数は少ない。

   明るくなり出した4時過ぎに起床。簡単な朝食を食べて山スキーの準備をしている時に、単独行の山ボーダーが出かける所だった。どこに行くのですかと尋ねると鑓温泉までとの事、それでは私と同じですねと返答した。

   周囲は全く雪が無い。スキーをザックに付け兼用靴を担いだ。ローカットの軽登山靴を履いて猿倉山荘で登山届を出して出発。登山道を少し上がると大雪渓に向かうに出た。林道を少し歩くと鑓温泉方向の標識が出ており、そちらに向か。登山道は岩がごろごろしているので軽登山靴の方が歩き易い。

   しばらく進むと雪が出だして来たが、軽登山靴でそのまま進んで雪が繋がりだした所で、軽登山靴から兼用靴に履き替えた。夏道の登山道沿いに進んだが、雪に覆われているので分りづらい。雪面は波打っていてデコボコしていてシール歩行が出来る状態では無い。

   先行者の靴跡などに付いて行ったが、担いだスキーの先端が木にひっかかたりしてやや時間がかかった。猿倉台地を進んだ1550m地点で雪も充分にあったので、シール歩行に切り替えた。やはりスキーは担ぐよりシール歩行の方が楽である。目の前には白馬岳が見える。


新緑が芽生えている猿倉台地を行く          白馬岳。白馬沢、2号雪渓が見える         小蓮華山と金山沢、右端が白馬乗鞍岳
    


   左前方に見える小日向のコルを目指して上がって行った。雪は縦溝が付いていたが、ほどほどに締まっており歩き易い。初めは緩斜面であったが、徐々に急斜面となっていた。適当にジグを切りながら最後の急斜面を上がり切るとほぼ平らな斜面となる、見覚えのあるダケカンバが生えていた。


小日向のコルを目指して上がる             ダケカンバの疎林がある小日向のコル       コルから見る杓子岳。左が杓子沢
    


   上がり切った所でしばらく小休止。水を飲み行動食を取った。目の前に杓子岳、白馬槍ヶ岳、さらにはこれから行く鑓温泉への谷筋が良く煮える。


コルから見る白馬槍ヶ岳。右の沢が杓子沢                      コルから見る鑓温泉に向かう谷筋と上部の大谷原
  


  シールを外して湯入沢上部を目指して滑降開始、雪面は縦溝が波打っていて足に応えるが下りは早い。下部は雪解けが進んでいる。ブッシュの間のかろうじて雪が繋がっている細い急斜面スキーで通過した。滑り降りた所でスキーに再びシールを付けて上がりだした。先行のボーダーが上がっているのが見えたが、アイゼン歩行でやや苦労している様子で右方向に向かって行った。

かろうじて繋がっている雪の間を滑り降りる      鑓温泉を目指して谷筋をハイクアップ          鑓温泉の上から見る小日向山とコル
     



   ここも雪が縦溝で波打っていたが気温が上がり雪が緩んでいたのでシール歩行でそのまま進んだ。先行のボーダーは鑓温泉で登りを辞めた。鑓温泉の横で上を見るとやや急斜面に前日のもと思われるトレースが付いていた。まだ時間も早いし、この斜面をが上がってから滑って鑓温泉に行こうと約100mをさらにハイクアップ。

   急斜面を上がり切って緩斜面となった所でハイクアップを辞めた。上には3角形の特徴ある烏帽子岩が見えた。ここからしばらく白馬槍ヶ岳や小日向山、鑓沢の眺望を楽しんだ後、シールを外して鑓温泉に滑り込んだ。


鑓温泉の上部から鑓温泉に滑り降りる        丁度良い湯加減の鑓温泉(露天風呂の湯船)       鑓温泉と白馬槍ヶ岳
    


   先行のボーダーが鑓温泉に浸かっていた。自分もここで温泉に入った。湯加減はちょうど良い。温泉に入りながらのんびりと周囲の山々の眺望を楽しんだ。

   結局、一時間以上温泉にいた。そのうち、先行のボーダーが下りて行った。一人でゆっくりとした後服を着て靴を履いてスキーを付けようとした時に、山スキーヤーが上から降りてきた。この方は昨晩ここでツエルト、寝袋で過ごした後、稜線まで上がった後滑り下りて来たとの事だった。

  少し話をした後、お先にと言って滑り降りた。上部は快適斜面であったが、下部になるにつれ縦溝が出て来て足に応えた。それでも滑りは快適で、行きに通ったやや急斜面の狭い通路に出た。


滑り降りた谷筋を見上げる                小日向のコルを目指してハイクアップ          コルから猿倉台地に滑り降りる
     


   ここでスキーをザックに付けて担いで狭い急斜面を壺足で上がった。上がり切った所でスキーにシールを付けて小日向のコルまでハイクアップ。雪解けが早くブッシュや沢筋が割れている所がある。

   最後の登りでやや疲れて時間がかかったが、ようやく小日向のコルに到着。しばらく休んだ後、シールを外して滑降開始、縦溝が出来ているやや急斜面を左寄りに滑り降りた。

   猿倉台地の末端に出た。雪解けが早く木が出ていて、ブッシュがスキーに引っかかるようになった。雪面は縦溝、デコボコが激しくとてもスキーが出来る状態で無い。1550m地点でスキーは終了。スキーをザックに付けて担いで歩いた。

   途中雪に覆われた登山道を見失いかけたが、GPSと先行の靴跡などを見ながら歩いて下った。そのうち登山道がはっきり見えるようになった。登山道沿いに進み、完全に雪が無くなった所で、兼用靴から軽登山靴に履き替えて歩きづらい登山道を下り林道に出た。

   林道をわずかに下った所で駐車場に出た。後片づけをして、途中、日帰り温泉のおびなたの湯に入り汗を流した後、帰途に着いた。

   結局、今シーズンもいろいろの所に行くことが出来たが、来シーズンはどうなるだろうか?



GPSトラック(赤は登り、青は下りの滑降、緑は下降の歩行)