燧ヶ岳(柴安グラ) 2356

   前日の至仏山に続いて、見晴から燧ヶ岳に上がり、ナデックボを経て尾瀬沼に下り、尾瀬沼をつっ来てから三平峠を経て大清水まで下る。このルートは25年以上前に2度ほど辿ったことがあるが、燧ヶ岳(柴安グラ)の急斜面をスキーで下るのが怖くてスキーを担いで恐る恐る下ったことがあった。

   4年前にKさんと同行して御池から燧ヶ岳に上がった時に、俎グラの序でに柴安グラまで上がりここの急斜面を滑り降りた。やはり慣れは恐ろしいもので、前もやったからと考えて慎重さを欠いていたので、ターンの時のエッジングが甘くて転倒滑落した。急斜面は短いので傾斜が緩くなった所で停止したが、転げ落ちている時にスキーの縦方向のひねりで右足のふくらはぎの肉離れを起こしたようで痛みが出てきた。

   痛いのを我慢して大清水まで下ったが、だんだん痛みが増してきて時間もかかった。それでも何とか戻り車を回収して予定通り帰宅出来て幸いであった。残念ながらこの肉離れは治るまで1か月以上かかりそうで、今シーズンの山スキーはこれで終わりになりそうである。

   
  4月 30日(日) 快晴 無風

 単独
登行高度:1040 m、 滑降高度:1420 m 

見晴(5:15)-燧ヶ岳「柴安グラ」(9:35〜10:10)−沼尻(11:05)-尾瀬沼山荘(12:05〜12:15)―三平峠横(12:55〜13:00)-一の瀬(14:20)―大清水(14:55)

   朝4時半に起きて、前夜用意をして貰った朝食のおにぎり、おかずを食べてお茶を飲んだ。部屋を片付け用意をして山小屋を出たのは5時過ぎ。丁度、景鶴山に上がるAさんのグループも出発する所だった。景鶴山方面に行く登山者はかなりいるようだったが、燧ヶ岳方面に行くのは一人のようであった。初めは平坦だが雪が凸凹になった夏道登山道沿いに樹林他の中をシール歩行で進んだ。朝で雪は未だ固く締まっていて歩き易い。

   傾斜がやや急になる所で谷筋となった。谷筋をしばらく上がった後、夏道の登山道通り右手の尾根筋に上がった。樹林帯の中の尾根筋は初めは傾斜が緩くシール歩行は楽だったが、上がるにつれて傾斜はきつくなってきた。おまけに雪面が凸凹して登りづらい上に樹林帯の中で陽がささないために雪が固い。


見晴から平坦な樹林帯を行く             谷筋を上がる                       頂上まで後わずか、雪が解けた登山道を行く
    


   傾斜がきつくなった所でクトーをつけたが、急斜面ではクトーも効きづらい。仕方が無いので最後はスキーを担いで2本のウィペットを使いながら壺足で登った。クトーよりアイゼンを持ってくるべきだった。

  谷筋を上がっている人の声が聞こえた。最後は恐る恐る急斜面をトラバースして谷筋からのルートと合流した。既に、2人の登山者が燧ヶ岳の上に上がっていた。さらに単独行の登山者がいた。結局、この方と相前後しながら上まで燧ヶ岳頂上まで上がった。これら燧ヶ岳に上がった登山者は別の山小屋に宿泊した方たちで自分より遅く出発して谷筋を上がって来たのだった。上で谷筋から上がるルートと合流するので、そのまま谷筋を上がるべきだった。

  上の方はかなり雪が解けていて夏道の登山道が出ているので楽に上がれる。ようやく、燧ヶ岳の最高峰である柴安グラに到着。


頂上で                             景鶴山から平ヶ岳                       武尊山
    


  陽が射していて風も無く暖かい。周囲の山々を見ながら行動食を取り長い休憩。


尾瀬ヶ原、至仏山                                      尾瀬沼、遠くに日光白根山
  



  シールを外して滑降開始。一緒に上がった単独行の人が先に下りだして戻ってきた。どうしたのですか?と尋ねると急斜面で危険なのでここを下るのは止めると言われた。この方はアイゼンピッケルを持っているので降りやすい所を探して降りたようであった。

  滑り出して下部を見るとびくつくような急斜面。25年以上前には怖くてスキーを担いで恐る恐る下りた個所である。しかし、4年前にはここを滑り降りている。前と同じようにやれば良いかなと、少し安易に考えて今回もザラメ雪の中、柴安グラからの急斜面を滑り降りようとしたが、慎重さが足りずターンした時のエッジングが甘かったようで転倒し滑落してしまった。

  幸い急斜面の距離は短いので傾斜が緩くなった所で停止したが、途中で転げ落ちた時のスキーの縦方向のひねりで右端のふくらはぎの筋肉が肉離れを起こして痛みが出た。

   痛いのを我慢して休みながらナデックボの滑降を続けた。普通なら楽しい滑降も痛みが出ないように下るだけであまり楽しく無い。ナデックボを上がってくる山スキーヤーが数名いた。彼らは大清水を朝出ていた。

り降りたナデックボを見上げる              ナデックボから尾瀬沼を見下ろす           凍った尾瀬沼から見る燧ヶ岳
    


  尾瀬沼に着いてヒールフリーの歩きで尾瀬沼を横断。今年は雪が多いようでまだまだ全面結氷した沼横断が可能なようであった。

   対岸の尾瀬沼山荘の所でしばらく休憩。シールを張って三平峠を上がったが、足が痛いのでペースは上がらず。登山者に次々と追い越された。

   三平峠から一の瀬への下りは冬道沢を通る。やや密な樹林帯ではあるが傾斜はきつく無いので足の痛みさえなければショートターンを繰り返して短時間に滑り降りることが出来るのだが、今回はターンすると傷みが出て来るので横滑りを中心に下りた。足を踏ん張ると痛いので転びやすい。徐々に痛みも増して来て、次々に登山者に追い越されていった・最後はスキーを担いで歩いてようやく一の瀬に到着。

  一の瀬から大清水への道路は全く除雪がなされておらず、幸い最後までスキーで滑り降りることが出来て3時前に大清水に到着。3時のバスで戸倉まで戻り、ジャンボタクシーで鳩待峠まで行き車を回収し帰宅することが出来た。
  
GPSトレース(赤が上り、青が下り。前日の至仏山のトレースは電池切れで途中が消えている)