大烏帽子山 1820m

   2年前に土合から白毛門、朝日岳を経てナルミズ沢左俣を滑ったが、その時に見た大烏帽子山からの右俣も素晴らしく一度は行って見たかったところである。その時にお目にかかった熊谷の宮田さんは大烏帽子山と朝日岳をワンデーでこなしていた。

   体力的にとても両方をこなすことは出来ないが、天候などの条件が良い日には朝早く出れば大烏帽子山には行けるだろうと考えて、好天が期待された2日に大烏帽子山への山スキー行に出掛けた。朝早く出るため車中泊も考えたが、登山口近くの上の原の民宿に泊まり早朝出発することにした。

   今年は雪が多く、登山口の宝川温泉の駐車場から雪があり、途中で土砂や雪が切れている箇所で2,3度スキーを外すことは有ったが、ほとんどスキーで行くことが出来た。

   早朝出たのは一人だけであったが、途中で2年前にお会いした宮田さんにまたお目にかかることになった。宮田さんは朝日岳に行くとの事で先に進んだ。この日は布引山まで行った2人連れらしいトレースがあった。好天の日曜日にもかかわらず、この山域に入ったのは全部で4人だけのようで、素晴らしいロケーションの中、静かな山スキーを楽しむことが出来た。
  
   しかし、ロングルートで標高差もあり、最後は疲れて踏ん張りが利かなくなり何度か転んだが、どうにか無事に行けて良かった。

  
4月2日(日) 快晴、風弱し
   単独

登行高度:1705 m、 滑降高度:1705 m 

宝川温泉(5:30)-林道終点(7:25)-布引尾根1605m地点(10:10〜10:25)-ナルミズ沢1325m地点(10:45〜10:55)−大烏帽子山(12:40〜13:05)―ナルミズ沢1320m地点(13:25〜13:35)―布引尾根1618m地点(14:45〜15:00)−林道終点(15:50)−宝川温泉(16:50)
   

  朝、4時半に起床。簡単な朝食を取り準備して民宿を5時に出て、宝川温泉の登山者駐車場に向かった。さすがに車は一台も停まっていない。山スキーの準備をして5時半に出発。雪は駐車場からあったが、しばらく行くと土砂に覆われた所雪が切れている所があり、スキーを外して歩いたが、それ以後は雪がずっと繋がっていた。早朝で雪は固く前日のトレースの上を順調に進んだ。

  途中のトンネルの所でスキーを外して歩いて越えた。トンネル内には大きな氷柱が立っていた。雪に覆われた観測所の建物を通り過ぎて進んだ。スキーとビンディングを新しい物にしたので、その調子がよく分からず時々ビンディングが外れて時間を取られた。

トンネルを通過                         平坦な林道を行く                      雪を被った観測施設
    


  2時間弱かかって林道終点に達した。ここから、やや急斜面の尾根筋にかかる。前日のものと思われるトレースが付いていた。急斜面になるとビンディングがちょいちょい外れるようになった。持参のテーピングテープをビンディングの周りに巻いてみたがやはりはずれてしまう。おまけにシールの底に雪が付着してきた。ここで結構時間がかかった。

  TLTのビンディングは登りで先端の締め具をロックすべきであったことを思い出して、強引に力を加えてあげて見るとロックがかかり、以後は締め具が外れることは無くなったが、シールに着いた雪玉はなかなか取れない。時々雪を取りながら進んだが、上に上がると雪温が下がったせいか雪玉が付かなくなった。

布引尾根を行く                        遠方に布引山                       途中でお目にかかった
    


  尾根筋で後ろから人がやってくる気配を感じて振り返ると澤井さんという声がした。2年前にもナルミズ沢、布引尾根でお目にかかった宮田さんであった。少し話をしてから先に行ってもらった。

布引尾根の上から見る大烏帽子山             谷川岳                              朝日岳
    


  布引尾根1605m地点で宮田さんはシールを外していた。自分もここでシールを外してナルミズ沢を目指して滑り降りた。雪面はやや硬いものの滑り易い。出来るだけトラバース気味に滑り降り、最後は谷筋を下りてナルミズ沢1320m地点で滑降は終了。

ナルミズ沢を目指して尾根より滑り降りる           
    


  宮田さんがシールを付けて朝日岳を目指して上がって行った。自分もシールを付けてハイクアップを開始。広いナルミズ沢は斜度も緩く延々と続いていた。朝日岳に行く左俣と烏帽子岳に行く右俣の合流点付近はデブリが一杯だった。デブリを避けて右岸沿いを烏帽子岳に向かって進んだ。しばらく進むとデブリは無くなり広いナルミズ沢左岸が烏帽子岳まで広がっていた。目の前の朝日岳、烏帽子岳の眺望が素晴らしい。

ナルミズ沢を上がる                      ナルミズ沢                         正面に大烏帽子山
    


  ナルミズ沢は左に曲がり大烏帽子山手前の鞍部に達した。ここで、右側の方に向かうべき所で左側のピークを進んでしまった。直ぐに間違いに気付いて右側に進んだが約15分のロス。疲れたが最後の登りで大烏帽子山に到着。

大烏帽子山頂から見る朝日岳                巻機山方面                       遠くに武尊山
    

  周囲の山々の眺望が素晴らしい。目の前に朝日岳、反対側には柄沢山から巻機山。さらに尾瀬の山々、武尊山など。風も殆ど無く陽がさして暖かい。ゆっくりと昼食を取りながら休憩。

大源太山                          ナルミズ沢、布引尾根、遠くに赤城山          尾瀬の山々(至仏山)
    

 シールを外して滑降開始。初めは雪面がや固い上に、波打っていたので慎重に滑り降りた。下るにつれて雪が軟らかくなり滑り易くなった。斜度もそれほど無く、広いナルミズ沢は滑り易い。適当にターンを繰り返して、デブリを避けて滑り降りてわずかな時間でナルミズ沢1320m地点に達した。

ナルミズ沢右俣上部をすぅべる              ナルミズ沢上部よりみる                 ナルミズ沢から大烏帽子山を振り返る
    


  シールを付けてハイクアップを開始。広い尾根筋を上がって行ったが、この登りもきつかった。ようやく、布引尾根上にある小ピーク1618m地点に到着。ここでシールを外し、登った大烏帽子山、目の前の朝日岳を眺めてから滑降開始。

登り返した布引尾根から見る朝日岳           滑り降りた大烏帽子山                  布引尾根にあった雪庇
    

  広い緩斜面を滑り降りると、朝お目にかかった宮田さんがシールを外している所だった。朝日岳から直下の谷筋、大石沢を滑り降りてナルミズ沢に達した後、登り返して来たとの事であった。

  どうせあとで追い越されるでしょうが、お先にと言って滑り降りた。初めの快適な疎林帯も下るにつれてやや林が密になって来た。おまけに雪が固く重くなって来ており、最中雪状態の部分も出て来た。先行者のトレースも固くなってきて滑りづらくなってきた。緩斜面であるが、疲れて来て踏ん張りも効かなくなってきて何度か転んでしまった。そのうちに宮田さんが追い越して行った。

この日、2度目にお目にかかる              布引尾根上部の疎林帯を滑る              下部になると林が密になる
    

  林道に入ってからは固くなった先行者のトレースに従って滑り降りたが緩斜面もスピードが出る。林道上でも疲れて何度か転んでしまった。トンネルを越えてからはスピードは出なくなり、最後の土砂や雪が切れた所を歩いて宝川温泉の登山者用駐車場に到着。後は途中で日帰り温泉に入り帰宅した。

GPSトラック(赤は登り、青は下りの滑降)