白馬乗鞍岳 2437m蓮華温泉

   今年は連休初日の18日から蓮華温泉が営業を始めた。栂池高原スキー場から天狗原を経由して山スキーで行ける。良い温泉だし、途中のコースが素晴らしいので、1970年代から毎年のように3月下旬から4月上旬にかけて訪れている。

   3月の連休の18,19日に谷川岳、白毛門方面に行く予定であったが、この地域は風が強く登山には不向きと言う直前の気象情報があり中止した。一方、、栂池高原、蓮華温泉方面は登山には向いているとの事で、急遽、蓮華温泉に行くことにした。

   2日目は蓮華温泉から白馬大池、船越の頭を経由して金山沢を滑り降りて猿倉を経て二股に至るコースを計画していた。大勢の宿泊客の中でこのルートを行く人は他に誰もいなかった。午前中は薄曇りであったが、前夜かなりの降雪があった上に次第に悪条件となり結局白馬大池までから白馬乗鞍岳を経由して栂池高原スキー場まで戻ったが、疲れた上に散々な山スキー行であった。

   10年前も白馬大池までの登りで大変な思いをしたが、今回も厳しかった。やはり山スキーは天候と雪の条件が良くないと厳しいと改めて感じた。


  
3月18日(土) 晴れ時々薄曇り、風弱し

   単独

登行高度:625 m、 滑降高度:975 m 

栂池ロープウェー終点(9:15)-天狗原(10:10〜10:20)-白馬乗鞍岳(11:15〜11:35)-振り子沢経由(途中、昼食20分−蓮華温泉(13:10)

   

  前夜遅く栂池高原に付き第2駐車場で車中泊。6時半に起き簡単な朝食を取り、7時過ぎに第一駐車場に車を移動させた。駐車場はすでにかなりの車が停まっていた。ロープウェーのチケット売り場、乗り場には大勢の客が並んで待っていた。登山届を出してチケットを買いゴンドラ、ロープウェーを乗り継いでロープウェー終点に到着。

  バックカントリーに出る注意事項の説明を聞いてからシールを付けてハイクアップを開始。すでに先行者がかなりいるようで、トレースに従って上がった。

  天気は快晴で正面の天狗原や白馬乗鞍岳、さらに、白馬岳、五竜岳などがくっきりと見渡せた。ここ数日で降雪があったようだが、気温が低いので軽い雪である。途中先行者を追い越して進み1時間たらずで天狗原に到着した。


 白馬岳                               白馬乗鞍岳                          天狗原の祠                       
    


  かなりの先行者が休んでおり、数名が正面の白馬乗鞍岳に上がっていた。しばらく休憩した後、先行者のトレースに従って上がった。先行者のグループは頂上手前で止めた様で、大きな3角形の石積みのある頂上には最初に到着。風はやや強く寒い中を後続のメンバーがやってきた。ここまで来る人は白馬大池経由で蓮華温泉に行く人が多いようである。

  しばらく周囲の山々を見ながら休憩。頂上付近の最初の緩斜面は固い雪面で岩やハイ松が出ている所が多いのでシール歩行で東面の急斜面の手前まで戻った。

白馬乗鞍岳の標識。向こうは船越の頭           雪倉岳、朝日岳                       五竜岳
    


  ここからシールを外して滑り出した。新雪の滑り易いパウダースノーだがやや重い。急斜面で一度転倒したが、深雪で直ぐに止まった。その後、天狗原北東方向に滑り降り、そのまま蓮華温泉い向かう振り子沢方面に進んだ。

   蓮華温泉方向には沢山のトレースが付いていたが、軽いパウダ―スノーの雪で滑り易い。ピンクの標識が所々に着いている上に沢山のトレースが有り迷うことは無い。

   途中で昼食を取りながら休憩。後はそのまま下り、乗鞍沢に架かる橋を越えて蓮華温泉に到着。宿の受付で「澤井さん今年もいらしたのですね」と言われた。いつまで行けるだろうか?

   後は温泉に入り、食堂でビールを飲んで休憩。続々と後続のスキーヤー、ボーダーがやって来た。。


 3月19日(日) 曇り後雪、上部は強風

単独

登行高度:975 m、 滑降高度:1615 m (ゲレンデ内を含む)

蓮華温泉(6:40)-天狗の庭(10:55)−白馬大池(13:05)-白馬乗鞍岳(13:40)-栂池ヒュッテ(16:15)−栂池高原スキー場下部(17:15)

  朝5時前にに起きて温泉に入った後、5時半時から朝食。朝は曇り空で、雪倉岳、朝日岳などは見えていた。しかし、昼から天候が悪くなりそうで、当初の予定通り船越の頭から金山沢を滑ることは難しそうだったが、とりあえず白馬大池まで上がりそこでどうするかを決めようかと宿を出た。

  昨夜からかなりの降雪があったようで、昨日のトレースは全く見えず、足首から膝くらいまでのラッセルとなった。宿泊者の大部分は木地屋に降りるか、雪倉岳に上る人で、このルートを上がる人は誰もいなかった。軽い雪ではあったが、やはり一人ラッセルはつらい。

蓮華温泉ロッジ                        朝は時おり青空も見えていたのだが            登り切った尾根筋から見る蓮華温泉
    


  おまけに急斜面では固くなった斜面の上に雪が載っていてシール歩行をしようとすると滑ってくる。仕方が無いのでスキーを担いで急な尾根を上がった。きつい登りだがすぐ眼の下には蓮華温泉が見える。このまま、シールを外して蓮華温泉まで滑り降りようかなどと考えながらもシール歩行、急斜面ではスキーを担いでの歩行を進めて上がって行った。

  上に上がるにつれて風が強くなり、ガスが出て来て見通しが悪くなってきた。GPSを頼りに見覚えのある斜面を上がり切りようやく白馬大池に到着。既に一時を過ぎていた。当然船越の頭に上がるのは中止。

   白馬乗鞍岳を目指して進んだが、ガスが濃くなり良く見えない。おまけに非常に風が強く雪が舞っていた。GPSを頼りに進みガスの切れ間に大きな三角形の頂上標識を見てほっとした。さすがに誰もいないし、トレースも見えない。風が強くそのままシール歩行を進めて急斜面になる手前で止まり、シールを外した。

   強い風と吹き込む雪でたちまちメガネは雪に覆われた。メガネの雪を取り除きゴーグルをしたが、雪とゴーグルの曇り、さらにホワイトアウト状態で雪面も良く見えない。恐々と進み、ターンしようとしたところいきなり急斜面となり転倒して一回転。深雪でメガネとゴーグルが外れて見失ってしまった。おまけにストックの片方も見当たらない。

   メガネが無いのは致命的だが、急斜面の深い雪の所で探すのは諦めた。外れたスキーを付けて一本のストックを頼りにして階段下降、横滑り、斜滑降、ボーゲンをしながらゆっくりと滑り降りた。とても滑りを楽しむ余裕などない。下るにつれて風は弱くなり、見通しは良くなったが、メガネが無いので雪面、遠方はぼんやりと見えるだけである。

   4時となりロープウェーの終了をアナウンスする音が聞こえた。白馬乗鞍岳から天狗原を経由して下りるのでは無く南東斜面を栂池ヒュッテの方向に降りたようである。栂池ヒュッテの建物が見えてほっとした。後は整備された緩斜面のコースを一本ストックを頼りにゆっくりと降りてスキー場に達した。

  もうリフトも停まっていたが、ゴンドラは動いていた。誰もいないスキー場の上部を滑り降りていると、スキー場のパトロールの人が下りてきた。ストック一本で疲れた様子で滑っているのを見て不審に思ったのであろう。

  途中までストック一本を貸してくれた。最後の緩斜面の手前でストックを返してお礼を言ってから、駐車場までゆっくりと滑り降りた。散々な山スキーであったが、無事に戻れただけで良しとしよう。やはり山スキーは天候が第一であると再確認した。慣れた楽なコースと言っても安心できない。

GPSトラック(赤が上り、青が下り)