海別岳岳 1414m 


   2日目以降は北海道東岸で発達した低気圧が居座り寒気も近づいてこの時期には珍しい大雪と強い風で2日間は全く山に入れなかった。3日目は未だ天候は良く無いものの降雪は無くなった。曇り空でやや風はあったものの午後から徐々に回復してくる気象情報であった。

   折角北海道に山スキーに来て4日間のうち初日の斜里岳だけでは残念である。そこで、最終日の5月1日に状況が悪ければ途中で引き返せばよいと考えて海別岳に上がることにした。

  上部はガスが濃くホワイトアウト状態であったが、登山口から一緒だったグループと海別岳まで頂上に上がった、しかし、下降途中に彼らを見失い焦って降りたため、ハイ松に引っ掛け転倒、スキー板の片方を紛失しスキー板をあきらめて歩いて下った。
  
  どうにか事故にならずに住んだが散々な山スキー行で反省点が多い。やはり悪天候での行動は止めるべきであった。

  5月1日(日) 曇り後晴れ、上部はガスがかかりホワイトアウト状態、風やや強し、3時過ぎからガスが取れて来た

単独

登行高度:1220 m、 滑降高度:347 m 歩行下降高度:876m
  朱丹東林道(6:00)−海別岳(11:40〜11:45)−1138m地点(12:00〜12:10)−1067m転倒地点(12:38)−1070m地点(13:48)ー堰堤(16:25)−朱丹東林道(17:40)


   宿泊した宇登呂の民宿を早朝出て6時前に海別岳登山口の朱丹東林道に到着。前日、前々日の大雪で周囲は雪に覆われていた。こちらに着いた日の夕方、偵察に訪れた時と全く雰囲気が違う。風はそれほど無かったが、曇り空で上の方は全く見えない。すでに先行のグループが車を停めて山スキーの準備をして出発する所だった。その後ろに車を停めさせてもらい山スキーの準備をして出発。

   前日、前々日に降雪があったので谷筋は雪崩の恐れも有り得るので尾根筋を辿ることにした。先行のトレースに従いしばらく林道を辿った後、樹林の中を右手の尾根筋に向かった。

林道を行く                         針葉樹林帯の尾根筋                    ダケカンバの尾根筋
    


   しばらく行くと先行のグループに追いついた。この後このグループと相前後して海別岳頂上まで上がった。尾根筋は初めは針葉樹の樹林帯、次いでダケカンバの樹林帯が続いた。雪を被ったダケカンバの樹林が美しい。樹林帯を過ぎると風が強くなり、ガスが濃くホワイトアウト状態が続き、GPSを頼りに進んだが、単独でなら途中で止めたであろう。尾根筋は急斜面は少なく登り易いはずだが先が見えないので不安感を感ずる。


樹林帯の緩斜面の尾根筋を行く             先行グループ                     ハイ松帯の尾根筋を行く先行グループの一人
    


   良く分からないまま、手前のピークを過ぎ、平坦な稜線沿いを少し行くと海別岳の頂上であった。GPSで頂上であることを確認。何も見えないので頂上にいたのはわずか5分。とりあえずシール歩行で手前のピークまで戻り。ここでシールを外して、先行のグループに付いて往路を戻った。所々ハイ松が出ていてそれを避けるのが難しい。

   そのうち、先行のグループを見失ってしまった。ホワイトアウト状態では足元も良く見えない。焦って彼らに追いつこうとしたが、GPSでしっかり確認しながら下りるべきであった。右寄りの尾根筋に進めるべきであったのにそのまま谷の方に進んでしまった。

  滑っている最中にハイ松に引っ掛けたようで転倒しスキーの片方が外れた。運が悪いことにその下は沢筋の急斜面で滑落した。滑落はしばらくして停まってくれ身体には問題無かったが、外れたスキー板を見失ってしまった。ストッパーが付いているのでそれほど流されていないはずだが、ホワイトアウト状態で全く分からない。

   結局一時間近く焦ってスキー板を探し回ったが見つからず、スキー板より命の方が大事と歩いて谷筋を下ることにした。幸い上部の急な斜面は雪が締まっていて雪崩れの恐れも無く歩き易かった。しかし、下部の緩斜面は前日、前々日の大雪で重い雪がすねから膝近くまであり下りの歩行はつらかった。


        谷筋中間部(14時半)                             堰堤(16時半、青空となっていた)           
              


   堰堤の上からはスノ―シューの足跡があり、スキーで滑った跡が見えた。堰堤の下からの林道の緩斜面もスキーで行けば楽ちんコースだが歩くのは大変である。それでも何とか明るいうちに車に戻ることが出来た。この下りで焦って歩いたため、膝をひねったようで、後から痛みが出て未だに治らない。

   午後3時頃から雲は取れ出して上部もガスが晴れて見通しが良くなったようである。もう1〜2時間ガスが取れるのが早かったらと言う気もするが、無事に降りた事だけで良しとしよう。

   後片付けをして斜里の町を宿まで行く途中でレンタカー会社の人から電話があった。登山口に自動車が止まったままなので遭難したかも知れないと言う電話が一般の人から斜里警察署にあり、自動車のナンバーからレンタカー会社に連絡があったので斜里警察署に連絡して欲しいとの事であった。直ぐに警察に電話し、トラブルがあったが無事に戻ってきており問題は有りませんと述べ、序でにスキー板片方の紛失の届けを出した。遭難騒ぎにならずに良かった。


GPSトラック(赤が登高、青が滑降、緑が歩行下降)