富良野岳 1912m (途中のホコ岩、1745mまで)


   北海道山スキー行の2日目は富良野岳。十勝岳連峰の南にあり、前日に三段山から見た富良野岳の上部は険しい山容で迫力があった。山スキーで上がれるのは途中のホコ岩1745mまでである。ホコ岩までジャイアント尾根と北尾根が下から長い裾を引いている。この両尾根の間のべべルイ沢はいかにも山スキー向きに見える。

   29日は晴天無風で絶好の山スキー日和であった。べべルイ沢上部の無立木の急斜面、さらには上部はダケカンバ下部は針葉樹の樹林帯の尾根筋と素晴らしい山スキールートであった。

 

  3月29日(火) 晴れ

2人

登行高度:750 m、 滑降高度:750 m   

十勝岳温泉手前のT字路分岐点駐車スペース(9:05)−1505m地点(10:40〜11:05)-ホコ岩1745m地点(12:20〜13:00)-分岐点駐車スペース(14:30)

   ホテルで朝食を取り白金温泉から車で十勝岳温泉手前の富良野岳登山口に向かう。吹上温泉と十勝岳温泉の分岐点にある道路際の駐車スペースに到着した時には10台以上の車が停まっておりほぼ満車状態。駐車スペースの端になんとか車を停めることが出来た。ちょうど、ボーダーの4人連れグループが出発する所であった。彼らもホコ岩まで行くとのことであった。

   山スキーの準備をして出発。まずは道路際を約150m歩いて下り、左側の雪壁を越えた。沢山のトレースが付いており迷う事は無さそうである。砂防ダムの手前でヌッカクシ富良野川をを渡った。ツアーグループらしいボーダーと山スキーのグループに続いて沢を渡った。水量の少ない沢には小さな板が渡してあった。

道路際から見たホコ岩、北尾根、べべルイ沢                        沢を渡る
  


   沢を越えた所でボーダーグループを追い越してやや急な斜面を上がり北尾根の末端に達した。周囲は針葉樹の樹林帯で雰囲気が良い。北尾根に沿って高度を上げてしばらく進んだ後、西側の斜面をトラバース気味に進んで雪に埋もれたべべルイ沢を越えてジャイアント尾根に取りついた。

針葉樹林帯の尾根筋を上がる              ダケカンバ疎林帯を上がる                     ダケカンバも少なくなった
    

   尾根沿いに高度を上げながら進むとダケカンバの疎林から無立木の斜面となった。やや急な斜面を上がり切ると平坦な1500m地点に達した。ここで行動食を取りしばらく休憩。先行のボーダー4人連れが目の前の急斜面を上がり切ってホコ岩に達っしていた。多くの人はそのここで登りを止めて滑降するようであった。

段山に至る尾根筋と前十勝岳、美瑛岳       十勝岳方面                           太陽に日輪が
    

   ここからの登りはだんだん急になり、しかも雪がだんだん固くなってきた。先行のボーダーのトレースに付いてシール歩行を続けたが、斜面が急で雪面がかたくなった所でシール歩行を止めてアイゼンを装着し、スキーをザックに付けた。佐藤さんはスキーにクトーを付けて上がっていた。

大雪山方面                          1500m地点から見るホコ岩              ホコ岩とべべルイ沢上部
    

   一部固い雪面で急な所は滑落の危険があったがアイゼンが良く効いて問題無く上がることが出来た。固い急斜面を上がり切ると長い台地状の緩斜面がホコ岩まで続いていた。ここでアイゼンを外してスキーを付けシール歩行を開始した。周囲は雪が飛ばされてシュカブラとなっていてハイ松が一部出ている。佐藤さんがなかなか上がって来ないのでしばらく様子を見ながら待った。
 
   ホコ岩手前のべべルイ沢へのエントリーポイントを見ると先行のボーダー4人連れのうちの2人は雪庇の間からエントリしている。上から見ると高度感抜群である。

     佐藤さんが上がって来た。固い急斜面でシール歩行を止めてアイゼンを装着しようとしている時に10m程滑落しかかったので時間がかかったとの事であった。固い急斜面はわずかでその下は軟らかい緩斜面となるので問題無いだろうと思っていたが、やはり固い急斜面は注意が必要である。


ホコ岩手前の台地状緩斜面               緩斜面のシュカブラ帯を上がる             三段山、十勝岳、美瑛岳
   

 
   ホコ岩の上は平坦で周囲の眺望が素晴らしい。風も殆ど無く陽がさしてやや暖かい。目の前の富良野岳は一旦広い尾根を下った後、やや狭くて急なナイフリッジ状の尾根が頂上まで続いていた。

  十勝岳                                               富良野岳                            
   

   昨日上がった三段山に上がる尾根、その先には前十勝岳、十勝岳、さらに美瑛岳などを見ながらホコ岩で長居をした。1時となったのでシールを外して滑降開始。
   少し台地上尾根筋の緩斜面を滑り降りた後、雪庇が無くなった所からべべルイ沢にエントリー。ここも高度感があり下まで広い沢の急斜面が続いていた。雪崩の恐れが無い粘着力がある雪でやや重いパウダースノーの快適な滑りを楽しんだ

べべルイ沢エントリーポイント              エントリーの準備                     滑り降りたべべルイ沢上部を見上げる
    

   べべルイ沢から右側にトラバース気味に滑り北尾根に入り針葉樹の樹林帯の中の尾根筋を滑り降りた。尾根の下部の樹林が濃くなった所で先行のトレースに従い右側の急斜面を三峰山沢に滑り降りた。

北尾根にトラバース                     北尾根の緩斜面を行く                北尾根から下る
    


   急斜面で樹林が濃く横滑りを交えて降りたが、スキーで降りるのが難しくなった。スキーを外してススキーとストックを下に落とした後、木に?まりながら2〜3mの崖状の斜面を下りた。

   再度スキーを付けて沢沿いを滑り降りた。沢沿いには沢山のトレースがが付いていた。北尾根のもう少し上部で沢沿いに滑り降りた方が良かったようである。

   緩斜面の沢沿いを滑り降りると往きに取った沢の渡渉点に達した。スキーはここで終了。沢を渡渉後道路沿いを歩いて駐車スペースまで戻った。来た時に沢山駐車していた車は殆どいなくなり2〜3台が駐車しているのみであった。

   ホコ岩まで上がったのは我々と先行のボーダー4人連れだけだったようである。大勢の山スキーヤーは途中から滑り降りたのであろう。道路際からホコ岩に至る尾根筋、沢筋を見ながら本日の素晴らしい山スキー行を振り返った。後は、車でホテルに戻るだけである。


GPSトラック(赤は登り、青は滑降)