蝶ヶ岳 2677m (蝶槍沢を滑る) 

   蝶ヶ岳は無雪期に2度訪れたことがあるが、積雪期に山スキーで行ったことは無かった。山スキーではあまりなじみが無い蝶ヶ岳であるが、RSSA(スキーアルピニズム研究会)が出している会報の特集、山スキー100山にはリストアップされている。その会報の記録を見て登山口の三股まで道路が開通した4月25日に出掛けた。
   好天気に恵まれたが、気温が高く夏のような陽気であった。また、今年は3月中旬以降暑い日が続いたので雪解けが早く積雪量は少なかった。それでも蝶槍沢の急斜面の滑降を楽しむことが出来た。
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  4月25日(土) 晴、風弱し

単独  

登行高度:1560 m、 滑降高度:1300 m、 下降歩行高度:260m

三股(5:25)-蝶ヶ岳(10:45)−蝶槍(11:55〜12:20)-蝶沢出会い(12:50)-尾根上1980m地点(14:00〜14:10)-登山道1530m地点(15:00〜15:20)-三股(16:00)

   
  前夜のうちに三股の登山者用駐車場に着いて車中泊をした。既に5,6台の車が駐車していた。朝4時半に起床して簡単な朝食を取り山スキーの準備をした。その間に車が次々と来て登山者が出発して行った。

  スキーをザックに付け、兼用靴を担いでトレッキングシューズで歩き始めた。周囲は全く雪が無い。道路沿いを進み、常念岳方面に上がる分岐点を過ぎて登山道となる。この辺から雪がちらほら見えてきた。気温が高く歩くうちに暑くなってきたので上着を脱いだ。沢を2,3度渡り登山道に雪が多くなってきた1450m付近でトレッキングシューズから兼用靴に履き替えた。

   樹林帯の中の雪に追われた登山道を上がった。雪は緩んでいるが、先行の登山者に踏み固まれてトレースがしっかり付いていて歩き易い。アイゼンを持参したが結局アイゼンもシールも使わずスキーを担いで上がった。トレースに従って稜線まで上がると蝶ヶ岳ヒュッテはすぐであった。

樹林帯の中を上がる                     稜線上は夏山の雰囲気                蝶ヶ岳ヒュッテ
    


   稜線沿いはすっかり雪が消えていて夏山のような雰囲気であった。目の前に見える槍ヶ岳、穂高岳方面は完全に雪に覆われている。

                     穂高連峰
                 


以前滑った槍沢、大バミ岳、中岳から南岳、北穂高岳、ザイテングラード、奥穂高岳直登ルンゼ、前穂高岳が一望のもとに見渡せる。しばらく立ち止まって眺めた。

     目の前に常念岳                                      槍ヶ岳、槍沢、大バミ岳      


   蝶ヶ岳ヒュッテは今日から営業を開始するとのことであった。ヒュッテの前を通り過ぎて雪の消えた登山道を進み蝶槍に向かった。

  奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳            乗鞍岳                           蝶槍に向かって進む
    

   蝶槍直下の雪の上に降りて、昼食を取りながら休憩。蝶槍沢を上から眺めた。急斜面で途中が見えないが、下まで雪が繋がっており滑降は可能のようである。スキーを付けて滑降開始した。雪は緩んでいて滑落の危険は無い。少し縦溝が付いていたが緩んでいるのでターンは問題無くできる。

槍沢を上から見る                     滑った蝶槍沢上部を見上げる             蝶槍沢上部
     

   蝶槍沢上部の急斜面をショートターンを繰り返しながら滑り降りた。斜度が緩くなってきた下部はダケカンバなどの樹林帯が出て来て雪面は木片などが散らばって汚れていた。

蝶槍沢下部を滑る                        蝶槍沢下部、右側に進む                  蝶沢
    

   1900m付近から右側のシラビソの樹林帯を通り抜けわずかに急斜面を下って蝶沢に出た。ここからスキーをザックに付けて担いで壺足で谷筋を上がった。この谷筋が蝶沢と思って上がったが蝶沢右俣であった。途中で気が付いて左側に進んだが、かなり時間と距離をロスしてしまった。

   蝶沢のわずかな登りに一時間以上掛かって登りに取った尾根筋の1980m地点に到達。トレースが一杯ついていた。ここで再びスキーを付けてシラビソの樹林帯の緩斜面の中をトレースを見失しないようにして滑降。わずかな登りで1916mのピークに到着。トレースは左手の尾根筋の登山道沿いに進んでいたが、その通りに行くとスキーを担いでいかねばならない。

             歩いている途中で見たショウジョウバカマ
            

   そこで、そのまま樹林帯の谷筋を滑り降りた。樹林がやや密で雪が少なくブッシュも出ていたがショートターン、横滑りを交えて何とか滑り降りて雪を拾いながら沢の水音がする地点に出た。

   下部は雪が切れていて熊笹が出ている。GPSを見ると登りに取った登山道は左側にある。仕方が無いのでスキーをザックに付けて熊笹を薮コギしながら少し進むと登山道に出た。

   ここでゆっくりと休憩。休んでいる間に登山者2人が下りてきた。後はスキーを担いで下った。しばらく兼用靴で進んだが、雪が消えた所でトレッキングシューズに履き替えて登山道を進み三股に戻った。

   後片付けをして車で戻り、日帰り温泉の四季の郷に入り、夕食を食べた。コンビニで翌日のための買い物をしてから常念岳の登山口の一ノ沢に向かった。

 
GPSトラック (登りは赤、下りの滑りは青。登りの一部にGPSの間違いがある)