剣ヶ峰(鹿俣沢) 2020m 


   昨年1月に川場スキー場から剣ヶ峰(途中まで)に上がり菜女沢を滑った。その際に剣ヶ峰から下る鹿俣沢も山スキーの好適地でないかと思われ一度は滑って見たいと考えていた。

   1月24日、25日は高気圧が近づいて好天が期待された。また、川場スキー場の積雪情報を見ると一週間近く250cmのままである。おそらくこの間に雪は比較的締まって雪崩の恐れは少なくなっていると思われる。そこで、25日の日曜日に剣ヶ峰直下から鹿俣沢を滑る計画を立てた。

   問題は鹿俣沢を滑り降りた後、川場スキー場までどのようにして戻るかである。可能性として以下の4つが考えられる。
1.鹿俣沢を県道まで滑り降りてから奈女沢を林道沿いに上がり高手山を経由してスキー場に戻る。
2.鹿俣沢を県道まで滑り降りた後、たんばらスキー場から沼田駅まで走っている路線バスに乗り、途中でバスを乗り換えて川場村行の路線バスに乗る。
3.鹿俣沢を滑り降りて谷筋1450m地点から右俣の沢筋を登り返して奈女沢源頭部に出て菜女沢を滑った後、スキー場に戻る。
4.途中で引き返す。

  2.の場合、川場村の道の駅田園プラザに車を駐車して無料のシャトルバスでスキー場に行く。川場村行の路線バスは田園プラザには行くがスキー場までは行かない。例え1、3,4のルートでスキー場に戻っても帰りは無料のシャトルバスが利用できるので、いずれにしても田園プラザに車を停めて置くのは都合が良い。おまけに雪道を走らなくて済む。

   今回は鹿俣沢の下部までどうなっているかが興味があったので、12時までに県道に降りられたら1.の案を取る。12時までに県道に降りられなかったあるいはラッセルがきつそうだったら2.の案を取ることにした。

   剣ヶ峰から県道までの鹿俣沢は標高差で1100m以上あり、上部の標高差600mは比較的急斜面で、粘着力があり雪崩の恐れが少ないやや重いパウダースノーの滑りを楽しめた。中間部の谷筋は緩斜面で気温が上がったせいもあるが雪が重く一部下りラッセルとなってしまった。下部は林道沿いの緩斜面でヒールフリーで滑り降りた。結局12時までに県道に到着しなかったので、県道上を歩いた後路線バスを利用して戻った。

   
  1月25日(日) 曇り後晴れ 風弱し

単独
登行高度:150 m、 滑降高度:1120 m 歩行下降高度:140m 

川場スキー場トップ(9:40)-剣ヶ峰直下2002m地点(10:20〜10:40)−県道885m地点(12:40〜12:50)-迦葉山バス停(13:50)

   朝6時に自宅を出て、川場田園プラザに7時25分に着いた。ここに車を停めて山スキーの準備をして、8時発の川場スキー場行のシャトルバスに乗った。シャトルバスは無料であるが、補助席も利用してほぼ満員であった。

   スキー場に到着後、チケット売り場で登山届を出してからリフト券2枚を購入した。スキーを付けてリフトを2機乗り継いでゲレンデトップに出た。周囲はガスっていて遠方は見えない。目の前にあるはずの剣ヶ峰もガスに覆われている。気象情報ではこれから天候は良くなる。

   リフトを下りた所では数名の登山者がスノーシューを付けていた。また先行の登山者も数名いるようでスノーシューのトレースが付いていた。しかし、山スキーは自分一人のようで、他にはいなかった。スキーにシールを張り、天候の回復を待ってゆっくりと出発。

  スノーシューのトレースに沿ってハイクアップを続けた。急斜面でシール歩行が難しくなった所でスキーを外してザックに付けて担いで上がった。この間にアイゼンを付けた登山者、スノーシューの登山者が追い越して行った。急斜面を上がり切った所で緩斜面の広い尾根筋になった。トレースが付いていてしかも雪が締まっていて歩き易かったのでそのまま歩行を続けて剣ヶ峰直下の平坦な2002m地点に出た。風がほとんど無く暖かい。

   急斜面の剣ヶ峰直下を上っている2人連れの登山者が見えた。また、ここで休んでいる登山者2,3名がいた。自分もハイクアップはここまでとして少し休憩。しばらく模様眺めしている間に少しづくガスが取れて来て見通しが良くなってきた。これから滑り降りる予定の鹿俣沢も見え出してて来た。最上部は緩斜面だがその下の方が急斜面のようで良く見えない。


       剣ヶ峰を上がる                                    鹿俣沢を上から見る
            

   シールを外して少し右側に進み雪の状態と鹿俣沢上部の状態を観察した。雪はやや重いパウダースノーが20cm程度で粘着力があり雪崩の恐れは無さそうである。右に行きすぎたので左に回った後、急斜面の谷筋を滑り降りた。上部は広い谷だがその中でも尾根状の箇所と谷状の箇所がある。

鹿俣沢上部を滑る
  

   無立木の尾根状の箇所をショートターンを繰り返して滑り降りた。霧氷の付いたダケカンバが陽に映えて美しい。パウダースノーの滑りは快適である。急斜面を滑り降りると傾斜は落ちて疎林帯になった。疎林帯の谷筋を滑り降りると雪はだんだん重くなってきた。

鹿俣沢上部の急斜面                   獅子ヶ鼻山                       鬼岳と菜女沢源頭部コル
  

   1400m付近から谷筋も狭くなり緩斜面で雪が重く下りラッセルが必要となった。谷の中央部は穴が開いている所もあり、沢の落とし穴にはまると危険なので沢の少し上の樹林の間を滑り降りた。時々右岸、左岸を乗り換えて安全そうで滑り易いルートを取りながら下った。

鹿俣沢上部末端                      鹿俣沢中間部                      鹿俣沢中間部
  


   緩斜面の沢筋の下りは殆ど歩きだったが、林道の橋に出た。林道は雪に覆われていたが、中間部の沢筋より雪が締まっていて滑り易い。スキーをヒールフリーにして歩きと滑りを交えながら林道を下った。

鹿俣沢中間部                       鹿俣沢下部                       鹿俣沢下部沿いの林道
  
   12時になった所で20分ほど休憩して昼食を取った。その後わずかな滑りで県道に到着。スキーを外して1m位の雪壁を下りて道路に出た。。たんばらスキー場から下ってくる車が何台も通り過ぎた。

   12時40分となっていたので、奈女沢を登り返す予定は取り止めにした。ここから携帯電話が通じるようなので、念のため関越交通沼田営業所に電話して、たんばらスキー場から下った正規のバス停で無い所で手を挙げて路線バスに乗せて貰えないか聞いてみた。担当者はその区間は自由乗降区間で無いので駄目です。規則ですから途中で乗せるわけにはいきませんとの返事であった。

   仕方ない、次のバス停の迦葉山まで歩くことにした。スキーをザックに付けて路肩の雪を拾いながら兼用靴で1時間ほど歩いて迦葉山のバス停に到着。10分ほどして2時のバスが来た。バスに乗り込んだが客は自分一人。沼田市内に入っても乗ってくる乗客は2,3名であった。

   途中の沼田高校入り口と言うバス停で降りた。200m程歩いて沼田高校前と言うバス停に着いた。ここで川場スキー場に電話して下山しましたと言う連絡をした。川場村行のバスは10分ほどで来た。バスは3時前に川場田園プラザに到着。下車して自分の車を回収。ここで、蕎麦を食べて帰宅に着いた。

   帰りの路線バスを乗り継いだ料金は約1400円。鹿俣沢を下りてから約2時間かかった。もし路線バスを途中で乗せてくれるなら1時間の歩きも無くなる。そうなると、登り、歩きが少ない素晴らしい山スキーコースになるのだがと思った。

 
GPSトラック(赤が上り、青が下り(滑り)、県道での歩きの部分は省略)