剣岳 (2998 m) 長次郎谷のコル(2882 m)まで上がり長次郎雪渓を滑る
長次郎谷のコルはこれまで2,3度上がろうとしたが天候や雪質が悪く行けず今回が初めてである。上部は急斜面であるが天候は良く気温が上がるので雪は緩んでいて危険は無いと予想された。むしろ雪が緩み過ぎて滑りが面白くないかも知れないと思ったが、予想以上に滑りを楽しむことが出来た。
下部は前々日に降った雪が両側から雪崩れてデブリとなっていたが、上部は雪が緩んでいたが雪崩が起きる状態で無く、滑った時に発生する雪玉もほとんど落ちることが無かった。
5月24日(土) 快晴無風
単独
登行高度:1825 m、 下降高度:2210 m
剣御前小屋(6:40)-剣沢の長次郎谷出会い(7:05〜7:15)-長次郎谷のコル(10:45〜11:35)-剣沢出会い(12:05〜12:25)-剣御前小屋(15:05〜15:35)−雷鳥沢下部(15:55〜16:05)-みくりが池温泉(17:05)
朝食後、剣御前小屋を7時前に出た。剣沢の雪は未だ固くターンするごとにガリガリ音を立ててスキーがふらついた。このため一度転倒。以後慎重に滑り降りたが下りは早い。
早朝の剣岳
剣沢小屋の下部で剣沢小屋に宿泊されたグループと一緒になった。彼らも長次郎谷をハイクアップするとの事であった。長次郎谷出会いまでゆっくり滑っても30分かからない。やはり下りは楽で早い。
シールを付けてこのグループと前後しながらハイクアップした。長次郎谷下部は新しいデブリで覆われていた。2,3日前に積もった雪が雪崩れたようである。
デブリを避けながら、またデブリの間を通り過ぎてハイクアップを続けた。
長次郎谷出会い 長次郎谷を上がる先行者 長次郎谷右俣を上がる先行グループ
目の前には熊の岩が見える。はるか上の右俣を上がっている10人くらいのグループは池の谷乗越に上がり池の谷ガリーを滑るのだろうか?また、左俣を上がっている単独行の人が見えた。
両側に見える源次郎尾根と八つ峰が迫力があり、ヨーロッパアルプスの雰囲気である。
八つ峰 源次郎尾根
熊の岩の手前で、相前後して登って来たグループは今日はここで止めるとの事で休んでいた。自分は休まず長次郎谷のコルを目指して左俣を進んだ。
次第に斜度が増してきてシール歩行が難しくなってきたところで、スキーをザックに付けてアイゼンを装着して急斜面を上がった。雪が緩んでいて軟らかく危険は感じられないが、先行者のトレースを有難く使わさせて頂いた。最後のの急斜面を上がり切って長次郎のコルに到着。
長次郎隊のコルより下部を見る 後ろ立山連峰、白馬岳 鹿島槍ヶ岳
休んでいた先行者にトレースを使ったお礼を言い話をした。目の前には鹿島槍ヶ岳や白馬岳などの後立山連峰が見える。コルの反対側は急に落ち込んでおり、遠くには富山湾など海岸線が遠望できた。
コルの反対側、海岸線が見える。 コルから見る剣岳山頂方面
すぐ左側は剣岳山頂に至る稜線で、雪の条件さえ良ければ簡単に上がれそうに見えるが実際はどうであろうか?ピークハントが目的で無いので見るだけ。
風も無く居心地が良いので長居をした。下から2人が上がって来ていた。今日の雪の状態では滑り下りても雪崩の恐れは無さそうだが、雪玉くらいは落ちる可能性がある。そこで、2人が上まで上がるのを待ってからコル直下の広い急斜面を適当にターンしながら滑り降りた。雪はやや緩み過ぎの感じだが快適な急斜面であった。登りで先行された単独行の方も続いて滑り降りられた。
長次郎谷源頭部を振り返る. 長次郎谷源頭部から下部を見る
熊の岩を過ぎると傾斜は緩んで快適な滑りが続いた。下部になるとデブリが出てくるので出来るだけデブリを避けて滑り降りて剣沢出会いに出た。朝方相前後して上がったグループが休んでいた。
長次郎谷中間部からコルを仰ぎ見る 長次郎谷中間部から見る後立山連峰 長次郎谷中間部から下部を見る
このグループの方と少し話をしている間に単独行の方も降りて来られた。この単独行の方は昨晩はツエルトで過ごされ寒かったとのことであった。
長次郎谷下部。両側からデブリが落ちている 長次郎谷出会い
シールを付けて剣沢をハイクアップ。下りのトレース、登りのトレースが沢山付いていた。登りのトレースに沿って上がったので昨日より少しばかり楽だったが、やはり剣沢小屋を過ぎたあたりから疲れた。3時間かからずに剣御前小屋に到着。預けて置いた荷物を回収してビールを買って飲んだ。うまい!
剣沢をハイクアップ
もっとゆっくりしたいところだが、みくりが池温泉に5時頃までに行かねばならない。シールを外して雷鳥沢を滑り降りた。ここもほどほどの急斜面で快適な滑りを楽しめた。雷鳥沢下部でシールを付けてみくりが池温泉を目指して最後のハイクアップ。疲れた身体にこの登りはつらくて一時間かかった。
剣御前小屋 剣御前小屋から室堂方面を見る 雷鳥沢を滑り降りる
5時を少し過ぎたがみくりが池温泉に到着。予約していた5時半からの夕食に間に合った。今日もビールを飲んで一人で乾杯。後は温泉に入り疲れを癒した。やはり温泉は良い。
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