別山 (2880 m)  別山沢を滑る

  別山から真砂沢を滑り降りたのは2回あるが、別山沢は一度も滑ったことが無かった。昨年のGWに行く予定であったが天候が悪くて行けなかったので、今回は是非とも滑って見たいと前夜はみくりが池温泉に宿泊した。

  低気圧が通り過ぎて高気圧が近づいて好天気になると思ったが、寒気が近づいていて21日から22日にかけて10cm位の降雪があり23日も午前中はガスが立ち込めておりホワイトアウト状態の中を雷鳥沢を上がり剣御前小屋を経て別山に上がった。

  幸い別山に上がったころから天候は急に良くなりガスが晴れて見通しが良くなった。急斜面の別山沢は出だしでややびくついたが、やや締まった新雪の滑りは快適で上から剣沢の出会いまでほどほどの急斜面の連続で満足の山スキーであった。
    
  
5月23日(金) 午前中は濃霧でホワイトアウト状態。昼過ぎから晴れて見通しが良くなる

   単独

登行高度:1515 m、 下降高度:1130 m

みくりが池温泉(7:20)-雷鳥沢下部(8:00〜8:10)-剣御前小屋(10:40〜11:25)-別山(12:40〜12:50)-別山沢の剣沢出会い(13:20〜13:35)−剣御前小屋(16:40)

  

   みくりが池温泉で朝食後、スキーを履いて雷鳥沢の上部に出た。濃霧が立ち込めていてあまり見通しが良く無い。おまけに昨日降った雪がぐちゃぐちゃで滑りも楽しめない。ガスの合間を見て雷鳥沢の下部に滑り降りた。今年は雪が多い様で沢はほぼ完全に雪で埋まっていた。

   新雪が10cm位積もっておりトレースが全くない。本日雷鳥沢を上がるのは最初で後続者も見えなかった。少し上がるとガスが濃くなり完全にホワイトアウト状態となってしまった。地図と磁石とGPSを頼りに上がったが、すぐそばに雪の絶壁があるように思えて不安感が募る。

   そのうち、ピンクの旗の付いた標識がある所に出た。標識は上まで続いているが、ガスで次の標識が良く見えない。しばらく標識のある所で待っているとガスがやや薄くなり次の標識が見えてくる。そこで次の標識の方向に上がる。そんなことを繰り返しながら標識ごとに休んで次の標識を確認して上がりようやく剣御前小屋に到着。こういう時にしっかりとしたトレースがあると楽だと痛感した。

   剣御前小屋で宿泊をお願いして、しばらく休んでから余分の荷物を置いて取り敢えず別山まで上がった。ややガスが薄くなってきたが、ガスの状態、雪の状態を見ながらそのまま戻るか、予定通り別山沢を滑るかを決めることにした。

   別山の頂上に到着する頃、急にガスが取れて天候が回復し、目の前に剣岳が見えてきた。別山の頂上には、これ以上前は危険で行くなと言う標識が立っていた。恐る恐るその標識を通り過ぎて別山沢の源頭部に出た。出だしは急斜面だが何とか行けそうである。北東に面しているせいか積もった新雪が適当に締まっており雪崩の恐れも無いようである。


  別山沢源頭部を上から見る                           ガスがようやく取れてきた剣岳を見る
    


   意を決してドロップインした。やや重いが新雪が薄く乗っている滑り安い雪で適当にターンを繰り返しながら急斜面を滑り降りた。少し下るとノド状の急斜面に出た。雪の下に岩があるのか、凍っている氷なのかターンするとガリと嫌な音がする。

   ノド状の急斜面を滑り降りる                             右俣は広くて斜度は緩い
      


  この狭い急斜面をクリアーすると谷は広くなり斜度は緩んできた。左俣を滑り降りてきたことになる。右俣はこれより広く斜度は緩いようであった。


    別山沢中間部から下部を見る                          別山沢中間部を滑る                            
     

  後はほどほどの斜度でやや緩んだ雪の斜面が続いて適当にターンを繰り返して剣沢に到着。

下部でわずかだがデブリが出ている          別山沢下部の滑り                   別山沢の剣沢出会い直前
  


  しばらく休んでからシールを付けてハイクアップを開始。わずかだが新雪は緩んでいてやや歩きづらい。ノートラックの剣沢を未だか未だかと思いながら上がって行った。

剣沢をハイクアップ                    剣沢                             剣沢
  

 
  剣沢小屋近くになるとトレースが沢山出て来た。剣沢小屋は今日から一部営業を開始した。数日前に宿泊をお願いしたが宿泊人数に限りがあり予約で超満員との事で断られた。剣御前から歓声を上げて滑り降りているグループを見ながらつらいハイクアップを続けた。剣沢小屋から剣御前小屋までのハイクアップが特につらかった。別山沢出会いから剣御前小屋まで3時間ちょっとで到着。
    
    やはり、ノートラックで初めてのコースは不安感もあるがそれ以上に達成感が大きいことを実感。 
 

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