火打山 2461 m (笹ヶ峰―火打山―笹倉温泉) 

   火打山には20年くらい前のGWに2年続けて笹ヶ峰から山スキーで上がり、一度は登路をそのまま戻り、もう一回は鍋倉谷を滑り下りたことがある。久しぶりに火打山に行って見ようかと思い、これまでまで行っていなかった笹ヶ峰から火打山を越えて焼山北面台地を通り笹倉温泉に至るコースを計画した。
   

   26日、27日は好天が期待されたので、一昨年、昨年に槍ヶ岳、穂高岳に同行したSさんに声をかけたが都合がつかず、結局単独で行くことにした。単独で行く場合、登山口の笹が峰と下山口の笹倉温泉が非常に離れているので、笹ヶ峰に停めて置いた車の回収が問題となる。

   調べてみた所、笹倉温泉から北陸線の梶屋敷駅経由の糸魚川駅行きのバスがあり、北陸線で梶屋敷から直江津まで行き直江津で信越線に乗り換えて妙高高原駅で下車し、その後タクシーを利用して笹ヶ峰まで行くことが出来る事が分かった。

   笹倉温泉発のバスの本数は少ないが3時半発のバスがあり、このバスに接続する列車の待ち時間は北陸線、信越線ともそれほど長く無いため、どうにか日帰り可能である。

   このようなロングコースの周回ルートを単独でやるのも一興かなと思い、車の回収のための時間とお金がかかるのを覚悟の上で出かけた。好天にも恵まれて非常に満足の山スキー行であった。

  
4月26日(土) 快晴無風、気温高い

   単独

登行高度:1150 m、 滑降高度:1935 m 歩行下降高度:70m

笹ヶ峰(5:20)-黒沢橋の上1680m地点(6:30)-富士見平上部2100m地点(8:05)-高谷池ヒュッテ(8:30〜8:50)-火打山(10:20〜10:50)−谷の乗り換え2010m地点(11:20)−谷筋1760m地点(11:30〜11:45)−賽の河原(12:10〜12:15)-アマナ平(12:50)-火打山川の橋(13:40)-笹倉温泉(14:05)

   

  前夜、除雪されている笹ヶ峰の駐車場に到着。笹ヶ峰周辺は雪が未だ一杯で、駐車している車も十台近くあった。満天の星を見てから車中泊。

  朝4時半起床、簡単な朝食を取り、山スキーの準備をして出発。天気は快晴で風も無い。すでに出発した登山者、山スキーヤーもいた。また準備をしている人もいて本日の入山者はかなりいそうである。

  朝早いため雪面はやや硬い。スキーのトレース、登山靴のトレースが沢山付いており間違うことは無い。ブナの疎林の緩斜面を順調に上がりった。一時間ちょっとで黒沢に架かっている橋の上に出た。登山道はこの橋を渡り対岸の急な尾根を上がっている。この橋を渡っている登山者、山スキーヤーが見えた。

ブナの疎林の緩斜面を行く                              登山道は橋を渡り対岸の急斜面を上がる         
   

  黒沢の上部を見ると雪は繋がっているようにも見える。黒沢沿いに上がって行こうか、夏道の登山道を上がろうかと考えて沢の上部を見ていると、後続の単独行の山スキーヤーがやって来た。彼と話をして沢沿いに上がって見ましょうと黒沢沿いに上がった。

一部雪が割れている黒沢沿いを上がる       黒沢沿いを上がる                   黒沢沿い上部の広い谷筋を上がる
  

  沢筋は一部雪が割れていたものの問題無く通過出来、沢沿いに上がったのは正解であった。富士見平東南方向の沢筋1900m地点から富士見平上部に上がった。正面にこれから行く火打山、高谷池ヒュッテ、焼山などが一望できた。ここから黒沢だけの西斜面をトラバース気味に進んだ。3時間ちょっとのシール歩行で高谷池ヒュッテに到着。

富士見平上部からトラバース気味に進む      富士見平上部から見る火打山、焼山        高谷池ヒュッテに到着
  

  ほぼ同時に上がった単独山スキーヤーはそのまま進んだが、自分は高谷池ヒュッテの前で少し休憩。ついでにビールを買った。ビールは550円だが昨年の売れ残りなので300円にするとの事であったっが、トイレ使用カンパ代も含めて500円を渡した。

                  

  目の前の雪を被った火打山、焼山が雄大である。充分休んで火打山へのハイクアップを開始。直ぐ目の前に見えるのに頂上まで1時間半かかりやや疲れた。結局、笹ヶ峰から5時間で山頂に到着。スキーとスキー靴を担いで登山靴で上がった人とほぼ同時に頂上に上がった。

                   目の前に見える火打山を目指してハイクアップ
                  

  途中でしばらく一緒だった単独山スキーヤーは南西方向に滑り降りて行った。頂上は陽が差して風も無く暖かい。周囲の山々を眺めながらしばらく休憩。これから滑り降りる方向の谷筋、焼山北面台地などを観察した。

火打山山頂にて                      火打山から見る金山、天狗原山            火打山から見る妙高山
   

  シールを外して滑降の準備を終えた時、テレマーカーが上がって来た。どちらに下るのか尋ねると笹倉温泉方面で、車をデポしていて笹ヶ峰まで戻るとの事であったが、後から3人来るので同乗は無理との事。

影火打北面の滑降ルートを観察。正面に焼山                   滑降ルートの谷筋、焼山北面台地を見る
 

  それではお先にと言って、まず影火打との鞍部まで滑り降りた。そこから、正面に焼山を見ながら影火打の北側をトラバース気味に滑り広い谷筋の源頭部に出た。西北西に進む谷筋はほどほどの斜面が続き雪は緩み過ぎでやや重いが滑りは快適。

影火打北面のトラバース地点から火打山を振り返る               右側の小さな尾根を乗り越え右手の谷筋に乗り換える
  
 
  下から上がってくる単独行の人に会いしばらく立ち止まってスキーの道具のことなどの話をした。さらにこれから行くルートの注意点を伺った。トレースが付いているから大丈夫でしょうが、少し下に見える右手の木の所から尾根を乗り越えて隣の谷に乗り換えること。賽の河原は1375m近くで渡るのが良いなどのコメントを貰った。

乗り換えた急斜面の谷筋を滑り降りる                         急斜面の谷を滑り降りた上を見上げる
 

  問題の谷を乗り越えると急斜面が待っていた。雪が緩んでいるので全く不安感は無い。急斜面の滑りを楽しんで斜度が緩んできたところで昼食を取りながら休憩。高谷池ヒュッテで買ってきたビールを冷やして飲んだ。昨年の売れ残りだと言っていたがうまかった。

谷筋の緩斜面となった所で昼食。下部を見る                     谷筋の緩斜面となった所で昼食。滑り降りて来た上部を見る
  

  広い谷筋を滑り最初の溝の最上部をトレースに従い左手側の斜面をトラバース気味に越えた。2番目の溝は1460m付近を問題無く通過。最後の賽の河原の通過ははやや苦労した。1375m地点の深い溝に入り易い傾斜の緩い個所から入った、左側の焼山北面台地に上がる側は切り立っていて上がるのが大変。一番上がり易そうで距離も短そうな所をスキーをザックに付けて担ぎ、急な雪面にスキー靴を先端から蹴りこんで足場を確保して四つんばいになりながら上がった。上がった所で一呼吸おいてから雄大な焼山北面台地の緩斜面を滑り降りた。

最初の溝の上部をトラバースして通過                        賽の河原の1375〜1360m地点で渡る
  

  途中で上がってくるテント泊らしいグループ、すでにテントを張って休んでいるグループがいくつかあり、トレースははっきり付いていた。腐った雪になっていたが、トレースの上を快適に滑り降りた。時々休んで通って来た火打山あるいは焼山、高松山を眺めた。

焼山北面台地から見る火打山              焼山北面台地から見る焼山           高松山を後ろに見て登山道沿いに滑り降りる
  

  アマナ平で少し立ち止まり、テント泊をしていた人と話をして休憩。後はトレースに従い夏道登山道沿いに滑り笹倉温泉を下に見下ろせる上に出た。九十九折れの登山道沿いを適当にショートカットして滑り降りて火打山川に架かる橋の手前の除雪終了地点でスキーは終了。途中一度もスキーを外さず滑り降りることが出来た。

  火打山川に架かる橋の手前でスキーは終了                     笹倉温泉では桜が満開であった
    


  スキーをザックに付けて橋を渡っていると、大きな捕虫網を持っている2人に出会った。自分も中学、高校時代に蝶を集めていた事があったので、聞いてみるとクモマツマキチョウを取りに来たとの事。クモマツマキチョウは高山蝶の一種で、図鑑や標本以外に野外で飛んでいるのを見たのは、かなり前の7月に後立山を縦走していた時だけだったので、こんな所にいるのかとびっくりした。ここでは比較的沢山生息しているそうで、採集禁止になっていないとの事であった。

  後は、舗装道路を歩いて笹倉温泉に到着。バスの時間まで1時間半近くあるので、日帰り入浴で汗を流しゆっくり休んだ。

  糸魚川行のバスは3時半発。北陸線の梶屋敷駅で下車。梶屋敷駅で約25分待って列車に乗り終点の直江津で約10分の待ち時間で信越線の列車に乗り継いだ。妙高高原駅に6時前に到着。駅前の食堂で夕食を食べてからタクシーに乗り笹ヶ峰まで向かった。

  笹ヶ峰に着いたのは暗くなる直前の7時前。バス代、列車代、タクシー代合わせて約8300円、3時間以上かかって笹ヶ峰まで戻った。

  後片付けをしていると、朝黒沢で一緒になった単独行の人がやってきて少し話をした。彼は火打山から惣兵衛谷を下りてきて、明日は天狗原山に上がるとの事であった。

  これから、車を運転して戻るのは疲れるので、このままここで車中泊をして当初の予定通り明日は天狗原を目指す事にして、つまみを食べビールを飲んでから早めに就寝。


 
GPSトラック 
火打山―笹倉温泉(アマナ平から下部は省略)



笹ヶ峰-高谷池ヒュッテ(下部は省略)