一ノ倉岳 1974m

   谷川岳方面は武尊山に次いで自宅から近い山スキーの好適地でたびたび出かけている。標高は2000mに満たないが岩と雪のアルペン的な風景、特に、一ノ倉岳から滑り降りる芝倉沢は高度差1000m以上あり、両側の雪と岩の景観が素晴らしい。上部はやや斜度が強く固い雪面の時は緊張する。

   好天気で気温が上がると期待された29日に谷川岳に上がった。土曜日なので大勢の登山者、山スキーヤーが谷川岳に上がっていた。

   谷川岳から一ノ倉岳までは稜線をアイゼンを付けて歩くのが一般的だが、雪が比較的多くブッシュの間を滑られそうであったので稜線直下の万太郎谷上部をトラバース気味に一ノ倉岳方面に向かって滑り降りてから、ハイクアップして一ノ倉岳に上がることとした。

   天神平スキー場の一週間の積雪情報を見ると、ここ数日間降雪は無く積雪量は減っているので落ちる雪は落ちていて事故になるような雪崩は無いだろうと予想した。気温が高くなるとは言えまだ大きな底雪崩は起きないだろう。

   芝倉沢の上部の急斜面は固い雪面であることが多いが、気温が高かったためやや柔らかくなっていてターンがし易かった。雪崩が多いノドの付近はデブリが何か所も見られた。中には新しいデブリもあったがデブリを避けて滑り下りることが出来た。今日も天候に恵まれ満足の山スキー行であった。


  
3月29日(日)快晴、風弱
   単独

登行高度:920 m、 滑降高度:1540 m 

天神平スキー場(8:00)-谷川岳(10:00〜10:15)-ノゾキ沢上部1710m地点(10:40〜11:00)-一の倉岳(12:30〜13:10)-紅芝寮(14:00〜14:15)-土合橋国道(15:10)

   

  朝5時半過ぎに自宅を出て谷川岳の駐車場ビルに7時半前に到着。山スキーの用意を登山届を出して天神平に上がるロープウェーに乗った。天神平には10名以上の登山者、山スキーヤーがおり、先行者もかなりいるようであった。

  天気は快晴で気温は高い。雪は締まっており、大勢の登山者のトレースが付いていて雪が潜ることは無い。急斜面でシール歩行が面倒な事もあり、スキーをザックに付けてを担いで歩いて上がった。

  スキー場右側の斜面を上がり切ると尾根筋はわずかだが下りになる。ここでスキーを付けて滑り降りて先行の登山者のグループを追い越した。登りになる所で再びスキーをザックに付けて歩き出した。

  いつも苦労する急に下る崖も雪でほとんど埋まっており、ステップが付いていて問題無く通れた。しばらく行くと熊穴沢の避難小屋に達した。小屋は完全に雪で埋まっていた。目の前の谷川岳の眺望が素晴らしい。ここで休んでいた登山者もいたが、休まずに先を行った。

           熊穴沢避難小屋よりみる谷川岳
          


   天神尾根の急斜面を先行者のトレースに従い壺足で上がった。尾根筋になるとやや風が出て来て寒くなった。岩のある天狗の留まり場を上がり切った所で、スキーにシールを付けてシール歩行に切り替えた。これから先はやや斜度が緩くなりシール歩行が楽になる。使う筋肉が歩く場合と異なる。おまけにこのような斜面だと壺足で歩くより早い。

   途中で何人かの登山者を追い越して、2時間で谷川岳トマノ耳頂上に到着。雪質、先行者のトレースのお蔭もあるが良いペースで上がれた。素晴らしい周囲の山々の眺望を楽しみながら小休止。この間も次々と登山者が上がってきた。

  
谷川岳頂上。向こうは白毛門、笠ヶ岳        谷川岳。オキノ耳、手前はマチガ沢         トラバースした谷川岳から一の倉岳方面
  

  スキーを担いでオキノ耳に至る鞍部まで下った。左側の稜線直下の万太郎谷側はブッシュはあるが雪が多く、ブッシュの合間を滑り降りながら一ノ倉岳方面に行けそうである。そこで、スキーのシールを外してスキーを付けてブッシュを避けながら一ノ倉岳手前の鞍部の下までトラバース気味に滑り降りて行った。

  当初はブッシュが多かったが、途中からブッシュも無くなり滑り易い斜面となった。時間は未だ充分ある。ほどほどの斜面で滑り易い。せっかくなので標高差120m程滑り降りてノゾキ沢上部に達した所で休憩。行動食を取り水を飲む。谷筋は風も無く暑い。アウターを脱いでシャツだけになった。


  万太郎谷上部ノゾキ沢源頭部を滑る                          ノゾキ沢上部を仰ぎ見てハイクアップ
        


  休んだ後はスキーにシールを付けてハイクアップ開始。一ノ倉岳手前の鞍部まで上がった所、先行者のスノーシューのトレースが付いていた。一ノ倉岳頂上を目指してシール歩行で上がった。風が出てきたのでアウターを着た。斜面が急になった所でスキーを担いで壺足で上がったが、雪が緩んでいて一歩ごとにすね付近まで潜ってしまう。大した距離で無いが疲れる上に時間がかかる。

  一ノ倉岳頂上近くになって傾斜が緩くなった所で再びシール歩行に切り替えた。ようやく一ノ倉岳頂上に到着。先行のスノーシューの登山者が休んでいた。頂上付近は風が強いのでさらに進んで鞍部で昼食を取り、周囲の眺望を楽しみながら大休止。休んでいる間に後続の山スキーヤーも来たようである。


  一ノ倉岳から見る仙の倉山              一ノ倉岳から見る谷川岳                一ノ倉岳から見る武尊山
  


一ノ倉岳から見る苗場山、神楽峰            一ノ倉岳から見る平ヶ岳             一の倉岳から見る茂倉岳と芝倉沢上部
  


  一時を過ぎたのでシールを外してスキー滑降開始。本日の一番のり。固い雪面が気温が上昇したのと陽が差したため表面だけが緩んで滑り易い。ターンするごとに表面の雪が削れて落ちて行く。真ん中近くの急斜面をショートターンで滑り降りた。急斜面を滑り降りると傾斜は緩くなる。ここで大回りターン、小回りターンを繰り返しながら広い芝倉沢を滑り降りると、両側が狭くなるノドになる。

芝倉沢上部を滑る                     芝倉沢中間部を滑る                  芝倉沢中間部、バックは朝日岳
  


  初めは左側からデブリが落ちてており、右側の斜面を滑り降りた。しばらく行くと今度は右側からデブリが落ちているので左側に移って滑り降りた。中には新しいデブリもあったがデブリを避けながらS字状の沢を滑り降りた。後は緩斜面となり雪も緩んで重くなった。


芝倉沢下部を滑る                     デブリが一杯のノドの部分              両側が狭いノドの部分
  


  樹林帯で平坦になる紅芝寮の近くで休憩。水を飲み最後の行動食を取った。本日、紅芝寮で泊まると言うグループがスキーで下から上がって来た。さらに、後続の2人ずれの山スキーヤーが滑り降りてきた。


               通り抜けてきたノドの部分を振り返る
              

  後は、後続の2人ずれと前後しながら樹林帯を下った。下から上がって来たグループのトレースのお蔭で比較的滑り易くなっていた。マチガ沢出会いの沢はすでに雪が切れていてスキーを担いで沢を渡渉。スキー靴に水が入ってきた。

  後続の2人にわずかに遅れて土合橋に到着。スキーとザックを置いて、谷川岳駐車場ビルに戻り車を回収。日帰り温泉い浸かり帰途に付いた。

 GPSトラックは電池切れで取れなった。