仙の倉山 2026m

   平標山への山スキーはほぼ毎年のように行ってっているが、隣の仙の倉山には8〜12年前に3度ほど行きシッケイ沢を滑り土樽方面に抜けた事があるだけである。久しぶりの仙の倉山への山スキー。

   12年前に初めて行った時は仙の倉山山頂からシッケイ沢を滑ろうとしたが、尾根上はブッシュが多かったのでブッシュが少ない西側を滑ってから右側に回り込んで東側のシッケイ沢に行けばと思いながら東ゼンを滑り降りてしまったことがある。このときは東ゼンの下部に大滝がある事を知らずそのまま滑り降りてしまった。スキーを担いで滝を下ろうとしたがとても無理で危険なことが分かり、引き返して三の字沢を尾根上まで上がった。そこからトレースのあったシッケイ沢、毛渡沢を滑って暗くなる直前にようやく毛渡橋に着いた。無理をして大滝を下ったのなら最悪の事態を招いたかもしれないと思うと、あまり良い気がしないが鮮明な思い出である。

   このルートをもう一度辿り、下りはシッケイ沢で無くイイ沢を滑り降りて見ようかと考えて、好天が期待された3月24日の月曜日に出掛けることにした。連休の直後なので入山している人は少ないだろう。しかし、下部の仙の倉谷沿いは連休中に平標山から西ゼン、あるいは平標沢を滑ったトレースがあるので緩斜面でも滑るだろうと期待した。

  また、苗場スキー場の積雪情報を見ると一週間近く積雪がほとんだ無いようなので、この辺の山々は雪が落ち着いていて締まっており雪崩の恐れは無いだろうと予想した。

  このコースの問題点はロングルートで土樽側の下山口から車の回収のため元橋の平標山登山口までどのようにして戻るかである。タクシーを使えば約1万円近くする。そこで、タクシーを頼むのは下山口の毛渡橋から湯沢駅までとし、湯沢駅からはバスを使い平標山登山口まで戻ることにした。バスはほぼ一時間に一本出ている。

  もう一つ問題の点は12年前と比べて体力が落ちている上単独行である。時間が余計かかることを想定して出来るだけ朝早く出発するために登山口で車中泊をした。

   天気は非常に良かったが気温が上がり日が照って下部の雪は軟らかくなり、シールが濡れて雪が団子状について登りで苦労した。下部の緩斜面では雪が腐って滑らず予想以上の時間がかかってしまった。しかし、無事に予定通りのコースを行けたし、イイ沢やダイコンオロシ沢が素晴らしい山スキーサイトであることを確認出来て満足の山スキー行であった。


  
3月24日(月)快晴、風弱
   単独

登行高度:1450 m、 滑降高度:1850 m 

火打峠、平標山登山口(6:15)-尾根筋(9:30)-仙の倉山(10:40〜11:05)−東ゼン1440m地点(11:40〜12:10)-北尾根筋1810m地点(14:10〜14:25)-ダイコンおろし沢下部(15:28)-仙の倉谷出会い(15:33)-群馬大仙の倉山荘(16:10)-毛渡橋(17:35)

   

  前夜二居の駐車場で車中泊をして5時半に起床。簡単な朝食を取り6時前に平標登山口の駐車スペースに移動した。既に一台の車が止まっており二人のボーダーがスノーシューを持って出発するところであった。

  山スキーの用意をしてスキーをザックに付けて出発。周囲の雪は固く、別荘地に通ずる道路はすべて除雪されていた。別荘地を過ぎると雪になる。昨日までのトレースが付いているが、雪目は固くまったく潜らないのでそのまま歩いて行った。

  ヤカイ沢方面に進んだがここでも雪面固いのでそのまま壺足で進んだ。前日までのトレース、あるいは先行のボーダーのトレースに従いヤカイ沢から右手の尾根筋に上がったが、下部の緩斜面ではシール歩行の方が楽で早かったかも知れない。樹林帯の急斜面もそのままトレースを辿って上がり尾根筋に出たが、雪が固い所、固い雪の上に吹きだまったわずかな雪が乗っていて滑りやすい所などがあり、ここでの登りにやや苦労した。

ヤカイ沢から右手尾根筋を上がる            尾根筋から見る平標山の家              平標山の右手をトラバース
   


  尾根筋に出ると風が強くなってきた。雪面も固かったが緩斜面となるのでシール歩行に切り替えた。平標山の手前で右側を撒いてトラバースし、平標山から仙の倉山に至る登山道に出た。一部木道が出ている所もあるが登山道はほぼ雪で覆われていた。雪面は固く歩き易いがスリップもしやすい。

  二つの小ピークを上がり下がりした後、やや急斜面になった所でスキーを担いで壺足で上がった。わずかな登りで仙の倉山に到着。頂上の標識は大きなエビのしっぽで隠れていた。エビのしっぽを落とすと仙の倉山の字と標高が見えた。今年は雪が多い様で頂上周辺のブッシュの多くは雪に覆われている。北側の尾根筋を滑るのも問題無さそうである。


仙の倉山                          仙の倉山山頂標識                   山頂から見る万太郎山
  

  天気は快晴で周囲の山々の眺望は素晴らしい。気温はそれほど低く無いが風が強く寒く感じる。大きな雪塊の横のやや風があたらない所で休憩し周囲の山々を見ながら行動食を取った。

山頂から見る平標山、後ろは苗場山           神楽峰から中尾根                    東ゼンを上から見る
   

  まだ11時前である。当初の予定通り東ゼンの沢を滑り降りることにして様子をうかがいシールを外した。まず、北側の尾根を三の字沢の頭との鞍部まで
わずかな距離を滑り降りおりてから左側の東ゼン源頭部東ゼン源頭部に滑り降りた。上部は雪面は固く緊張したが、エッジは効くのでターンするごとにガリガリ音を立てながら滑り降りた。

  しばらく下るとパックされた新雪が波打った状態になって来た。出来るだけ波打っている状態が少ない所を選んで滑り降りたが固い斜面より緊張感が無く、やや急な斜面の滑りを楽しめるようになる。

東ゼン中間部                        東ゼン中間部から下部を見る               東ゼン下部の快適斜面を滑る
  

   下るにつれパックされた雪も緩み、波打った状態も無くなりやや重いがパウダースノーの滑りとなった。足首程度の雪面がづっと続き、斜度もほどほどで沢筋も広く快適な斜面である。両サイドがやや狭くなり急斜面となるがここの滑りも快適である。

   三の字沢の合流点に達した所で滑降は終了。ここで昼食の大休止を取った。風は無く陽射しが強く休んでいても暑い。シャツだけになった。

   休止後はシールを付けて三の字沢をハイクアップ開始。初めは傾斜は緩いが後半は傾斜がきつくなる。初めからスキーアイゼンを付けた。中ほどまでは順調に進んだが、暑いでのシャツだけでも汗が出てくる。やや傾斜がきつくなるころからシールに大量の雪が付き出した。

   何度もシールの雪を落としてもすぐに雪が着く。シールが完全に濡れているのですぐに新雪が着く事が分かった。シール用ワックスを塗ったが濡れてしまった後では全く効き目がない。仕方が無いのでスキーをザックに付けて壺足で登ることにした。パックされた新雪でもすね付近まで潜り急斜面での登りはつらい。

   クラストした雪が陽射しを受けて軟らかくなっている所に出た。シールに雪が付かなくなるので再びシール歩行に切り替えた。しばらく上がるまたパックされた新雪に出た。おまけに固い雪の上にうっすらと新雪が乗っているので雪が再びシールに付き出して急斜面で滑り易くなった。

   仕方なく再度スキーをザックに付けた。固い斜面、新雪がうっすらと乗っている斜面が続いていたので滑落すると、危険なので靴にアイゼンを付けて三の字沢上部を上がりようやく仙の倉山からシッケイ沢の頭に至る北尾根筋に出た。


     三の字沢を下から見る                               尾根筋から見る仙の倉山               
          


   400mも無い登りであったが、予想以上に疲れ時間がかかった。しばらく休んだ後シールを外して滑降開始。三の字沢の頭からのクラストしたやや急な尾根筋の斜面を少し下ると平坦になる。左手に広い沢筋が下まで続いていた。これが滑り降りる予定のイイ沢であったが、下まで降りた先の谷筋に大滝があるのではと勘違いしてもう一つ先の尾根から左手の沢に入ろうと左斜面をトラバースを続けた。

   結局、シッケイ沢の頭の下をトラバースして急斜面の上部に出た。クラストしており急斜面で滑落したら下まで落ちてしまう。おまけに下の方の谷は狭い。周囲の様子を見て、U−ターンして左手の尾根の北斜面を滑ってから谷筋に下りることにした。

     
    左手がイイ沢、遠方は巻機山                            シッケイ沢の頭の直下から見るダイコンオロシ沢    

           


   上部はクラストしていてやや硬く、ブッシュが所々出ていたが問題無く滑り降りた。雪はパックされた新雪となった。途中クラックが入っている所がありそれを避けて滑り降りたが、端の方で新雪で隠れていたクレバスにはまり込んでしまった。片方のスキーは外れてクレバスの中に落ちてしまったが、幸い、クレバスの深さは1m半くらいで大したことは無い。おまけにクレバスの谷側は開いていた。

   急斜面なのでスキーを装着する場所を作りスキーを履いた。TLTの締め具はこういう時に苦労する。後は滑る方向に注意しながら滑り降りた。北斜面jの林の間のルンゼ状の斜面はやや重いパウダースノーが続くほどほどの急斜面で滑りを楽しむことが出来た。この斜面を降り切ると谷筋に出た。

ダイコンオロシ沢の上部右俣斜面を滑る                  樹林の間のルンゼ状快適斜面
   


   この谷筋の上部を眺めると広い斜面が上まで続いていた。これがダイコンオロシ沢であった。結局、ダイコンオロシ沢の右俣を降りたことになる。ダイコンオロシ沢の下部の重い雪の緩斜面を滑って行くと仙の倉谷に合流した。

ダイコンオロシ沢を下部から見上げる         仙の倉谷合流部                     群馬大仙の倉山荘
   


   昨日西ゼンあるいは平標沢を滑ってきたと思われるトレースが着いていたが、気温が高いためぐちゃぐちゃの雪で期待していたようには滑らない。それでも無いよりはましでこのトレースに従い下って行った。途中からヒールフリーにして滑らせた。

   群馬大仙の倉山荘近くで4時過ぎとなった。これから先はスキーのトレースの上に壺足あるいはワカンで歩いた跡が着いており、スキーがさらに滑りにくくなった。

   5時半過ぎににようやく毛渡橋の平標山登山口に到着。登山口の駐車スペースには3台の車が停まっていた。さらにもう一台の駐車スペースを確保すべく単独行の人がスコップで雪をかき分けていた。この方はこれから上に上がるとの事であった。

   登山口より少し手前でタクシーを呼んでいたので10分ほどでタクシーが来た。湯沢駅までタクシーに乗り(タクシー代は湯沢駅まで2980円)、運転手に聞いた湯沢駅前の温泉(400円)に入って汗を流した。

   温泉に入った後、6時40分発のバスに乗り元橋の平標山登山口に戻った(バス代はスキー持ち込み料込みで680円)。すでに真っ暗である。車を回収して帰途に付いた。

    

GPS トラック