天狗原山 (2197 m)金山 (2245 m)

   天狗原山、金山は頸城山塊の火打山、焼山の西側にあり、大海川を挟んで雨飾山の向かいにある。標高は2000mを超えているが、雨飾山ほど知られていない。これまで一度も訪れたたことが無かったので一度は山スキーで行って見たいと思っていた所である。

   
インタ―ネットの記録やガイドブックを見るといくつかのルートが考えられるが、今年は下部の雪解けが早いので。4月のこの時期に谷筋を通過するのは問題がある。そこで、ブナタテ尾根を経由して天狗原山、金山を往復することにした。

   前日の13日の蓮華温泉の後、好天気が期待された14日に行くことにして夕方小谷温泉に行くと、道路は鍵の掛ったチェーンでブロックしてありその先に進めない。そこで、小谷温泉の山田旅館に泊まり朝早く出ることにした。

   上部は2日前に降った雪が残って下り快適な滑りを楽しめたが、下部は雪が少なく林(ブッシュ)の中を横滑り、ショートターン、キックターンを交えて何とかスキーを外さず林道まで滑り降りることが出来たが、滑りを楽しむには程遠かった。下部の林道はデブリや土砂で覆われた所が何か所もあった。

    11時間かかったロングコースで非常に疲れたが、頂上からの景色は素晴らしくそれなりに満足感の残る山スキー行であった。もっと雪の量が多く雪質の良い時に訪れたい山であるが、自分の年齢、体力を考えるともう2度と行くことは無いだろう。

  なお、ガイドブックやインターネットの記録を見ると、林道分岐点には栃の樹亭と言う旅館があり冬季も営業をしていて、そこまでは冬季でも車が入れて駐車可能であるという記載がある。しかし、栃の樹亭は5年前に廃業して今は村営(第3セクター)の雨飾荘が旅館をやっているが、冬季営業をやらずGW前からの営業になるとのことであった。そのため道路も小谷温泉の山田旅館までしか入れない。この時期は雨飾山へ行くにも舗装道路を歩く必要がある。

  
4月14日(日)晴れ、風弱し

   単独

登行高度:1400 m、 滑降高度:1200 m、 下降歩行高度:200 m

小谷温泉(5:00)-林道分岐点(5:35〜5:45)-林道1070m地点(6:30))-尾根上(7:20)-ブナタテ尾根1790m地点(9:30)−天狗原山(11:05〜11:15)-鞍部(11:25〜30)−金山(11:50〜1215)−天狗原山(12:45〜12:55)−尾根筋1430m地点(14:30)-林道(15:05〜15:10)-林道分岐点(15:50〜16:00)-小谷温泉(16:25)


   朝4時半に起きて簡単な朝食を取り、準備して5時に宿を出た。スキーをザックに着け兼用靴を担ぎジョキングシューズで舗装道路を30分以上歩いて、林道分岐点のある雨飾荘の前に到着。駐車場には10台以上の車が止まっており他県のナンバーの車もある。

  ここで、兼用靴に履き替えジョキングシューズは置いてスキーをザックにつけて林道を歩きだした。まだ朝早いのと気温が比較的低かったので雪面は固く歩き易い。林道は所々デブリや土砂で覆われていた。そのまま壺足でかなり上まで歩いて上がったが、適当な所でシール歩行にした方が良かったであろう。

  林道の1070m地点で林道を離れ、うっすらと残っていた前日のトレースに従って尾根筋に上がって行った。1時間弱でブナタテ尾根の上に出た。そのまま、尾根筋を歩いて1760m地点に出ると前日のトレースがはっきりと付いていた。後続のシール歩行の2人連れがやってきて追い越して、急斜面でスキーを担いで上がって行った。自分もスキーを担いで上がり1790m地点に出た。

  2日前に降った雪が陽射しを受けて軟らかくなっており、斜面も急で無くなってきたのでシール歩行に切り替えた。所々、木陰で新雪が無く陽射しも無い固い斜面は手こずったが、クトーなしでそのままシール歩行を続けた。
   
               尾根筋をハイクアップ
              

  途中休憩していた2人連れ追い越してそのままシール歩行を続けて天狗原山に到着。少し休んで水と行動食を取り、シールを外して金山との鞍部に向けてスキー滑降。わずかな距離だが2日前の雪が軟らかくなっていて滑り易い。前日滑ったトレースが沢山付いていた。

  鞍部を降りた所で再びシールを付けて緩斜面を金山に上がった。7時間かかってようやく金山到着。頂上は広い台地上となっていた。少し風があるものの陽射しが差していて暖かい。周囲の景色が素晴らしい。昼食を取ながら山々を見渡した。目の前に焼山、火打山。三田原山の上に妙高山が頭の上だけ見える。

 焼山と火打山                                          三田原山の向こうに妙高山が頭だけ見える
   

   その横に特徴的な黒姫山。2月にはあの頂に上がったことを思い起こした。さらに、10年前に上がった乙妻山、高妻山。

黒姫山                              乙妻山と高妻山                       戸隠山
      

その横は通ってきた天狗原山。反対側には雨飾山が真下に見える。その向こうには北アルプスの山々。苦労して来た甲斐があった。

    天狗原山                                      雨飾山が下に見える。遠くに見えるのは北アルプス
       

   もっと長居をしたいところだが、シールを外して無立木の緩斜面を鞍部まで滑る。快適である。鞍部で再びシールを付けてわずかな距離だが天狗原山の上までハイクアップ。

    金山から鞍部を目指して緩斜面を滑る                 尾根筋を滑り降りる
       

  先ほどの2人連れは天狗原山から降りたようでそのトレースがはっきりと付いている。少し周囲の景色を見納めで眺めた後、シールを外して滑降開始。基本的には登りのルートをそのまま辿ったが、先行の2人連れのトレースも参考にして下った。上部は2日前の雪がザラメ雪一歩手前になっている。それ以外はザラメ雪が少し軟らかくなっていて滑り易い。ブナ林の尾根筋を適当にターンしながら滑り降りた。下るにつれて雪解けが進んでおり林(ブッシュ)の間を横滑りと、ショートターン、キックターンを交えながら何とか滑り降りた。

  しかし、急斜面で横滑りをしている時重い雪のせいでスキー板の片側が外れて転倒。そのまま10m位滑落してしまった。滑落中に木にぶつかり背骨を打撲。ザックをしょっていたのでクッション代わりになったはずだが、打撲した背骨周辺の痛みが取れない。スキーの解放値を弱くしてあったのが間違いであった。


  夢中であったのでその時は痛みはそれほど感じず滑りを続けた。尾根筋から林道への下りは登りに取った尾根筋を行くとスキーを外さなければならない個所が出てくる。そこで、先行のトレースに従い登りに取った尾根の手前から下り最後は谷筋に降りることにした。

  谷筋の下部の雪解けが進んでいて雪がつながっていないと厳しいことになるが、何とか行けそうである。大部分横滑りとキックターン更にショートターンを繰り返しながら谷筋を降りた。下部の一部で沢が割れていた所もあったが、問題無く滑り降りて林道に達した。林道にはトレースが沢山付いていた。林道の雪はしまっていて緩斜面も滑り易い。

 林道に出て一安心                               雨飾荘のある林道分岐点、後は舗装道路上の歩き
     

  林道を進むとデブリや土砂で覆い尽くされている箇所が何か所も出てきた。もう滑りにはならない。スキーを担いで歩いて雨飾荘のある林道分岐点に出た。

  ここでジョキングシューズを回収して兼用靴を履き替えた。後はスキーをザックに着け兼用靴を担いで舗装道路を歩いて小谷温泉の山田旅館に戻った。旅館に帰着したことを告げ温泉で汗を流した後、帰宅に着いた。

  疲れたし背骨の痛みは引かなかったが充実感のある山スキー行であった。

  

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