平標山 1983 m

   平標山は上越県境にある山で2000mをわずかに欠けるが山スキーの好適地で沢沿いの素晴らしい滑りのルートがいくつかある。リフトなど無く下から上がればならないが比較的登りやすいのでこれまで何度も訪れたことがある。昨年は行っていなかったので、好天気が予想された4月1日の月曜日に行って見た。

   登りはいつものように平標山登山口の火打ち峠からヤカイ沢の右手の尾根から上がり、下りはこれまで滑ったことが無かったセンノ沢を降りて二居まで行き、二居からバスで平標登山口に戻る計画を立てた。
平日なので天気が良いにもかかわらず上がったのは一人だけであった。

   前日の気温が低かったためか朝方は一度溶けた雪が凍った雪で締まっていて歩き易かったのでシール歩行をせずスキーを担いで上がった。しかし、尾根筋の急な上りではアイゼンを持ってこなかったので滑らないように苦労したが、土曜日に上がったと思われるトレースを利用させてもらって何とか上がることが出来た。

   先週の谷川岳もそうであったが、三月に高温の日が多かったため平標山も雪解けが早く進んでいた。ヤカイ沢の上部はたくさんのクラックが見え、中間部は雪崩れた後、下部は大量のデブリで覆われていた。尾根筋も雪解けが進みブッシュが出ており一部登山道が出ていた。頂上一帯は完全に雪が解けていた。平標山の山スキーの賞味期限も残りわずかである。

  
4月1日(月)晴れ、風弱し

   単独

登行高度:1010 m、 滑降高度:850 m、 下降歩行高度:310 m

火打ち峠(7:45)-平標山(11:10〜11:30)-センノ沢源頭部1720m地点(12:20〜12:35)-除雪終了地点(13:20)-二居(13:30)
   
 
   朝5時半に自宅を出て、火打ち峠の駐車スペースに着いたのが7時20分、距離にして97km。先行者がいることを期待したが車は一台も止まっていなかった。周囲は雪が少なく大丈夫かなと若干不安になる。

   あたりを眺めながらゆっくり準備して、スキーを担いで7時45分に出発。天気は晴れていて風も無い。別荘地の道路は完全に除雪されている。両側の杉林の中の雪も少ない。

  道路の終点から雪はあり、土曜日のものと思われるトレースがかなり沢山付いていた。気温がやや低めで雪は締まっており固いので壺足のままスキーを担いで歩を進めた。結局今日は最後まで壺足で歩き、シール歩行をやることは無かった。

  林道を進んでいつも入るヤカイ沢のルートに入らずやや進んで鉄塔の手前でヤカイ沢のルートに入った。林の中に2m位の切り通しがあり、ブッシュが出かかっているので歩き易い。

  1時間歩いて少し休憩。行動食と水を取った。暑くなってきたのでシャツ一枚となった。平標山とヤカイ沢はすぐ目の前に見える。ヤカイ沢の下部は大量のデブリで埋め尽くされていた。中間部は雪崩れた後、上部はクラックが何か所か見えた。         

  頂上からのヤカイ沢を滑るのは危険だし快適で無さそうである。ヤカイ沢の左手の沢は一部クラックが入っておりデブリが出ているもののルートを選べば滑りは出来そうである。

    ヤカイ沢下部                   デブリの横を上がる
       

  
 デブリの横を通り過ぎてヤカイ沢の右手の沢を上がり尾根に向かって歩を進めた。土曜日のトレースが一つうっすらと付いていたのでそれに従い尾根を上がって行った。雪面は固くなって来てアイゼンがあると安心だが今日は持参しなかった。急な斜面を滑り落ちないように緊張しながら、トレースを辿ってゆっくりと上がって行った。傾斜が緩くなった所で一休み。

   さらにブッシュの中を頂上に続いている尾根筋まで上がり緊張が解けた。クラックが入った所から大きな氷塊が崩れ落ちて、藪が完全に出ていた。全層雪崩れ、ブロック雪崩が起きている。クラックを避けて尾根筋のブッシュが生えている近くを上がった。所々登山道が出ている。

クラックが崩壊                          ブロック雪崩が起こっている                平標山頂きまで後わずか
   

   雪は緩んできて歩き易くなった。最後の一登りで頂上に到着。今回は3時間半足らずで登った。急斜面の尾根筋で硬い雪があったしブッシュを避けたりしたのでまあまあのペースである。頂上付近は雪が完全に溶けていて標識が下まで見えた。周囲も例年より雪が少なくブッシュが出ている。

   天気は快晴無風で暖かい。周囲の山々を見ながら行動食を取り休憩。

雪が解けた山頂                       仙の倉山方面                        苗場山と神楽峰
  

   ブッシュが多くスキーにならないので、スキーを担いで松手山方面に至る尾根筋を歩いて下った。土曜日のものと思われる2人の登山者のトレースがついていたのでそれに従って下りた。登山道がほとんど出ていて歩き易い。鞍部から少し登った後から、スキーで滑ろうかと思ったが尾根筋はブッシュが多いのでそのままスキーを担いで雪の消えた登山道を下り、右側のセンノ沢源頭部で雪が出だした1720m地点でスキーを付けた。

尾根筋の雪が解けた登山道を下る           センノ沢源頭部でスキーを付ける           広いセンノ沢上部の疎林の間を滑る
  


   センノ沢は北面にあるので雪は締まっており滑りは快適である。上部は広い沢筋のブナの疎林で斜度もほどほどで滑り易い。下るに連れて林が密になり谷も狭くなってきた。緩んだ雪の中を適当に木を避けながら滑り下りる。下部の傾斜が緩くなってきて、堰堤に達した。堰堤の有る端を通り抜けると林道に出た。

   緩斜面の林道を滑りと歩きを交えて下り地王堂川にかかる橋を渡ってしばらく行くと除雪終了地点に至った。あとはスキーを担いで10分ほど歩いて二居に達した。二居に着くと目の前を予定のバスが通り過ぎて行った。一瞬遅かった。頂上からの尾根歩きが雪解けで長くかかったのが誤算であった。

  次のバスは1時間20分後である。二居にある日帰り温泉、宿場の湯に入りのんびりとした。その後、バスで平標山登山口まで戻った。駐車スペースに止まっていたのは自分の車だけであった。たぶん今日上がったのは一人だけであったのだろう。

    
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