針の木岳、スバリ岳南峰 2821m

   6月にはいると山スキーが出来るサイトは北アルプス、中央アルプスの高山、富士山あるいは東北の一部の山に限られてくる。おまけに入梅が間近で天候は安定しない。今シーズン最後の山スキーに天候が良い8日に針の木岳方面に行くことにした。

  
6月8日(金) 晴れ時々曇り(気温は高い)

単独
登行高度:1550 m、 滑降高度:1100 m 下降歩行高度:450 m 

扇沢(5:00)−マヤクボ沢出合(8:10)-マヤクボのコル(10:05)-スバリ岳南峰(10:35-11:00)−マヤクボ沢2610m地点(11:06-11:10)-マヤクボのコル(11:25)-針の木岳(12:00-12:25)-スキー終了1800m地点(13:20-13:30)-扇沢(15:10)


  前日の午後に自宅を出て暗くなる頃扇沢に付き車中泊。 朝明るくなった4時20分に起床。簡単な朝食をとり山スキーの準備をして、5時にスキーを担いで出発。

  針の木岳登山口で登山届けを出して兼用靴で登山道を歩き出した。舗装道路から左に入った林道を経て針の木沢に掛かる橋を越えて右岸に出た。いつもの此の時期にはある雪はまったく見られない。雪が溶けて藪が出ている沢の右岸は歩きづらい。随所についている赤布は先日の日曜日に行なわれた慎太郎祭のためであろうか?少し目障りくらいについている。

  途中の堰堤にも雪が無くハシゴが掛かっていた。河岸も雪が無く石がごろごろしている所を歩いて通った。最終の堰堤を越えても雪がちらほらとある程度で歩きづらい。見通しが良くなり登山者3名が先行しているのが見えた。

  蓮華大沢は雪が付いていたが下部は滑りにくそうであった。蓮華大沢出合からしばらく行った1750m付近からようやく雪が繋がり出したが、雪面は汚れていて石が多い。おまけに波打っている。

  1900m付近でシールをつけている間に単独行の登山者に追い越された。シール歩行に切り替えたら少しペースが速くなりこの登山者を追い越した。登山者は針ノ木峠に上がって行った。自分はマヤクボ沢出合を経てマヤクボ沢が急斜面になる所で、シール歩行を止めアイゼンをつけてスキーを担いで上がった。気温が高いせいでざら目雪が緩んでいた。

  いつもよリ少し遅いペースで、マヤクボのコルに上がった。アイゼンを外し右側の雪が消えた尾根通しの登山道を上がりスバリ岳南峰の頂上に達した。ここで、行動食を取りながら周囲の景色を見ながら休憩。下からガスが湧き上がってきた。

  頂上よりわずかに下った地点の雪渓の最上部に下りてスキーをつけて滑降開始。中央の岩の間は針の木沢まで行けそうだが途中で雪が切れている恐れがあるので今回は止めて,右側のマヤクボ沢に滑り降りた。

        スバリ岳南峰(滑った斜面を見る)                針の木岳(マヤクボ沢から)
            

  ほどほどの急斜面でざら目雪が緩んでいて滑りを楽しめた。しかし、数日前に降ったらしい雪がわずかだが湿雪雪崩となってターンするごとに落ちて行った。時々止まってこの雪崩れていく雪をやり過ごして滑りクラックを避けてマヤクボ沢に入った。

  それ以上、滑り降りるのを止め再度スキーを担いでの前回のトレースを辿ってマヤクボのコルまで上がった後、岩がごろごろしている登山道を針の木岳頂上まで上がった。

  頂上には反対側の針ノ木峠から上がって来た単独行の登山者が一人いた。頂上で周囲の景色を見ながらしばらく休憩。東側はガスが上がって来てあまり見通しが良くないが、西側は晴れていて眼下に黒部湖。その上には雪を被った剣、立山、五色が原、薬師岳、黒部五郎岳が一望された。東側のガスも時々取れて目の前の蓮華岳、爺ヶ岳の他、槍の穂先がちらと見えた。

      黒部湖、立山、剣岳(針の木岳頂上から)                針の木大雪渓(下部には雪が殆んど無い)
           

  ガスが濃くなる前にと、頂上から少し行った所でスキーをつけて頂上直下の岩の間の急斜面を滑り降りた。ここもざら目雪が緩んだ状態で滑りやすい。しかし、スバリ岳南峰を滑ったときと同じようにターンするごとにわずかだが湿雪雪崩が起きた。しかし、極少量で足をすくわれて転ぶほどのことも無い。時々止まってやり過ごして滑り降りた。そのまま下ると雪が溶けたハイマツ帯になるので、大きく右に迂回して滑り降りてマヤクボ沢に入った。

  マヤクボ沢のすべりは快適であったが、針の木沢に入ると雪面は汚れてきて波打ってくるようになった。それでも標高2000m付近までは何とかスキーが出来た。さらに、1800m付近まで無理してスキーで降りたが、随所に散在している石でスキーをかなり傷つけてしまった。

  後はスキーを担いで歩いて下った。途中で赤布のある所を辿って左岸を行ったが、赤布は堰堤の下で右岸に渡るようになっていた。しかし、スノーブリッジが切れていて沢を渡れない。濡れても良いから対岸まで渡渉しようかた思ったが、梓川でずぶぬれになったことを思い出して堰堤の上の雪が繋がっている所まで引き返して右岸沿いを下った。最後に橋を渡って林道に出て舗装道路を経て扇沢に戻った。

  いつもだと、橋の所まで雪が付いていてスキーで滑って降りて来れるのに今年は雪が少ない。最後の歩きに結構時間がかかってしまった。さすがに6月上旬の平日で途中で会った登山者は1人、山スキーは自分一人だけであった。上部は快適な滑りを楽しめ心置きなく今シーズンの山スキーを終えることが出来た。
  
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