鳥海山 2236m
      鳥海山は35年前の夏に妻と一緒に湯の台から上がり滝の小屋に泊まり、翌日頂上に上がり吹浦口に降りた記憶がある。また、山スキーでは祓川から上がっただけである。南面の湯の台からは一度上がろうとしたが悪天候であきらめた事がある。今回昨日の月山に続いて鳥海山に湯の台口から上がることにした。
   湯の台から車で行けるところまで行き、瀧の小屋、河原宿小屋を経て伏拝岳に上がり外輪山を辿った後、新山に上がり頂上から千蛇谷を滑り降りて七五三掛に上がり外輪山を経て伏拝岳に戻り、伏拝岳の直下から滑り降りて戻ると言う欲張った計画を立てた。
   単独行なので自分のペースで行けるし、無理なら途中で引き返せば良い。残念ながら曇り空であったが、高曇りで見通しは良く日本海まで見渡すことが出来た。風は弱く、暑からず寒からずの気温で快調に上がり滑ることが出来、欲張った計画を余裕を持って遂行出来、満足の山スキー行であった。


5月25日(金) 曇り後小雨風弱し(気温は比較的高く、見通しは良好であった)
単独
登行高度:2000-2100 m、 滑降高度:1600 m 下降歩行高度:400-500 m 

大台野からの車道上の駐車地点(860m)(4:55)−滝の小屋下駐車場(6:25-6:30)-伏拝岳(9:30-9:45)-行者岳(9:55)−七高山手前鞍部(10:15)-新山(10:35-11:00)-千蛇谷(11:08)-七五三掛(11:25)-文殊岳(12:05)−伏拝岳(12:35-12:45)−滝の小屋下駐車場(13:00)-スキー終了地点(13:45-13:55)-路上駐車地点(14:05)


  前日の月山の山スキーを終えた後、高速道路で酒田まで行き、入浴、夕食、コンビニでの食糧の買出しを終えて湯の台に向かった。大台野の鳥海公園青沢線の道路を進んで行った。この道路を辿ると夏季には滝の小屋近くまで行ける。しかし、除雪を全くせず自然に解けるのを待つので、5月下旬では最上部には行けない。道路上に雪が出てきた860m地点で車を停めて車中泊とした。

  朝明るくなった4時20分に起床。簡単な朝食をとり山スキーの準備をして、5時前にスキーを担いで出発。登山者の車が一台上がって来た。

  暑からず寒からずの気温。陽が出ていないので歩いていて暑くならず疲れない。雪に覆われた道路を少し行くと雪が消えている舗装道路となっていた。しばらくは道路上を歩いたが、上がるにつれて雪も増えてきたので適当に車道をショートカットして上がり滝の小屋の下の駐車場に到着した。

雪に覆われた車道から見る鳥海山          滝の小屋下の駐車場付近               滝の小屋
    

  ここから上はシール歩行が可能であったが、ザラメの雪でほどほどに締まっていて歩きやすかったので、そのままスキーを担いで上がった。その後も、持参したアイゼン、シール、クトーを一切使わず、スキーを担いで坪足で歩き通すことになった。

  始めは滝の小屋まで行き八丁坂、河原宿、湯の台道を経る夏道を辿る予定であったが、滝の小屋が見えなかったのとそのまま上に上がったほうが近そうであったので、滝の小屋、八丁坂、河原宿を経る事無く湯の台道の下部に達し雪渓の左側を上がった。左側の雪渓の最上部で雪が切れた所から夏道の登山道を上がり伏拝岳に到着。ゆっくり歩いたので一度も休まずに上がった。

湯の台道の雪渓を上がる               伏拝岳から見る(日本海もうっすらと見えた)   伏拝岳から見る新山
    

  伏拝岳直下の右隣の雪渓の方が歩く距離が少なく滑り降りるのに都合が良さそうであったので、荷物を置いて少し下って様子を見た。本来の登山道で無いが登山者あるいは山スキーヤーが上り下りした跡が付いていた。植生保護の観点からすると良くないがここを降りていけば雪渓最上部に行けそうだと確認して伏拝岳に戻った。

  その直ぐ後に単独行の山スキーヤーがそこを空身で上がって来た。挨拶をしてその雪渓に付いて尋ねると、最上部は急だがざら目雪で滑るのには問題ないし、伏拝岳からわずかな距離で行けるとの事であった。その方は雪渓最上部にスキーと荷物をデポしていて戻られるとの事で直ぐに降りて行った。

  反対側には新山と千蛇谷が見え登行意欲を誘われる。未だ時間は早い。スキーを担いで外輪山沿いの雪の消えている夏道を辿り行者岳を経て七高山手前の鞍部に達した。ここから岩がごろごろしている急斜面を慎重に下り千蛇谷源頭部に到着。反対側の雪に覆われたやや急な斜面を上りきると新山の頂上に着いた。少し早いが昼食の大休止とした。たった一人の新山頂上をゆっくりと楽しんでいると、2人連れの登山者が上がって来たが彼らは直ぐに引き返してしまった。

伏拝岳から見る千蛇谷下部             新山山頂(ここから滑り降りる)          滑降終了地点から千蛇谷を見る
    

  雲が少し厚くなり小雨が降ってきた。幸いなことに雲は高い位置にあり周囲の見通しは良い。急いでスキーの用意をして千蛇谷を一気に滑り降りた。ざら目雪がほどほどに緩んでいて非常に滑りやすい。先ほどの2人連れの登山者を直ぐに追い越してしまった。下るにつれて緩斜面となり雪面に大量の石が落ちていたがそれを避けて滑り降りてわずか8分でスキーは終了。

  再度スキーを担いで夏道沿いに七五三掛まで上がった。急な斜面で最後のハシゴを上がると尾根に達した。後は夏道の外輪山を辿り、文殊岳を経て伏拝岳に戻った。途中、小雨やあられがパラパラ降ってきたが直ぐに止んで少し濡れた程度で済んだ。
 
         外輪山から見る新山と千蛇谷
         

  何時雨足が強くなってもおかしくない雰囲気だったので先を急いだ。伏拝岳から午前中に確認した所を辿りわずかな下りで直下の雪渓最上部に達した。ショウジョウバカマ数株がが雪渓の最上部の雪が消えた所で濃いピンクの花を付けていた。

  上から見ると頂上直下の雪渓の右下部のブッシュの間から右隣の雪渓に渡ればスキーをはずす事無く下まで降りられることが分かった。スキーをつけて滑降開始。最上部は急斜面だがザラメ雪がほどほどに緩んだ状態で滑りやすい。最初は小回りで降りたが、斜度が緩んでからは思う存分にターンを楽しんだ。ブッシュの間の狭い所を小回りターンで右側の雪渓に出た。

  ここから緩斜面を大回りで滑り降りた。下るにつれ細かい縦溝が、うねりが出てきて滑りづらくなってきた。先行のトレースが3,4本見えた。滝の小屋の下の駐車場を経て車道を適当にショートカットして滑り降りた。

  滝の小屋下の駐車場から伏拝岳まで登りで3時間かかったが,下りのスキーでの滑りは約15分。やはり、スキーを使うと迅速に行動出来ることを実感した。

  道路上の雪が消えてショートカットも難しくなって来た所でブナ林の中を無理に滑り降りたのが間違いであった。落ちている枝にひっかかたり、ぶなの木の根元の穴に落ちかけて転んだりした。また、ショートカットした積りがとんでもない方に降りてしまいわずかだが上り返しをした。それでも車道を歩いている先行の山スキーヤーに追い付いた。

  最後はスキーを担いで車道を歩き、道路際にあるフキノトウを取りながら駐車している車に戻った。自分の車の他、3台の車が停まっていて山スキーの後片付けをして下って行った。途中のトレースからすると上まで行かずに引き返したようであった。

  今回の鳥海山は行動時間が9時間ちょっとで、登行高度差が2000m以上で滑降高度差が1600m近くあり近来に無い充実した山スキーであった。途中で小雨が降ることがあったがたいしたことは無く、駐車していた車に戻った2時過ぎからやや雨足が強くなって来たのも幸いであった。

GPSトラック