前武尊山 2040 m  

  2週間以上、体調が良くなかったので山スキーには出かけられなかった。体調も回復したので好天が期待される22日に近場の西山に行くことにした。その前日の21日はあまり天気は良く無さそうだったが、ついでにこれまで何度も行って慣れている前武尊山に行くことにした。前武尊山から荒砥沢を滑るのは今年で2回目。
  
  ところが、天候は雪交じりの冷たい強風が吹いている。おまけにガスっていて見通しが良くなかった。それでも、慣れている所だと考えて行ったのが大きな間違いだった。前武尊山の下りでよく確認せず急いで降りたので十二沢と間違えて一つ南側の沢を下ってしまった。気づいた時は既に遅く、川場の方へ降りてしまいスキー場に戻った時間が大幅に遅れてパトロール、スキー場関係者などに心配をおかけしてしまった。晴れていて見通しが良い時はなんでも無い所でも見通しが良くない悪天候の時に単独で行動するのは禁物であると痛感。反省の多い山スキー行であった。

  
   
  
3月21日(水)) 雪混じりの強風、見通し悪し

単独
登行高度:790 m、 滑降高度(下り歩行も含む):1380m、 

スキー場上部(10:30)-前武尊山(11:30-11:45)-荒砥沢右俣上部(12:00-12:20)−荒砥沢1740m地点(12:30〜12:50)−前武尊山(14:00-14:15)-川場野営場1220m地点(16:10)-上り返し1320m地点(16:40)-川場野営場(16:55)-国道1090m地点(17:07)


  朝7時前に自宅を車で出た。途中、赤城山東面に入るころから曇り空となり小雪がちらついてい。道路も雪が積もっていたのでゆっくり走った。9時前にオグナホダカスキー場の駐車場に着いた時は雪交じりの強風が吹いていた。平日のせいもあるが駐車している車も未だ少ない。すこし模様眺めをした後、ゆっくりと山スキーの準備をした。

  天気が良くないので上に行こうかゲレンデスキーにしようかと思いながらリフト一日券を買った。とりあえず、前武尊、荒砥沢を往復する予定の登山届けを出した。長いリフトに乗った後次のリフトに乗り継いだが、最後の第四リフトは運休中。上のゲレンデには誰もいないし、圧雪、整地などはしていない。ここで、シールをつけてハイクアップを開始。約100m上がった所で、スキー場関係者が上から滑り降りてきて安全が確認されたので運転を始めるとの事。シールをはずして下まで滑り降りてから第四リフトに乗った。

  上で再度シールをつけてハイクアップを開始した。山ボードの2人連れが後に続いた。相変わらず雪混じりの強風で見通しは良くない。ラッセルは足首から脛程度だが、気温が低く20cmくらいの軽い新雪が固い雪の上に乗っていて比較的歩きやすい。上の新雪と下の固い層との結合もそれ程悪くない。

   一時間ほどで前武尊の頂上に到着。屋根の下のヤマトタケルノ像は雪に覆われていて見えない。相変わらず雪交じりの風が強い。見通しも良くない。どうしようかと思っている内、ボーダーの2人も上がってきた。彼らは荒砥沢を滑ると言う。自分も予定通り荒砥沢を滑ることにして彼らの後に付いて剣が峰の下をこわごわと通過。

   荒砥沢の上部でシールをはずして、ボーダーに続いて滑り降りた。ボーダー達は派手に雪煙を立てて滑り降りていった。20-30cmのやや重いパウダースノー。しかし、ターンしようと力を入れると下の固い層にぶつかり引っかかってうまくターンできず転んでしまう。こんな状況ならセミファットのスキー板を持って来るべきだった。スキー技術のヘタさを痛感しながら急斜面のパウダースノーを滑り降りた。何度も転んでも下りは早い。傾斜が緩くなった1740m地点で滑降は終了。

   シールをつけて再度ハイクアップを開始。ボーダー達はもう一度滑り降りると言う。自分はそのまま登り返して前武尊山に戻った。

   ヤマトタケル像の屋根の所で風雪をよけながらシールをはずして急いで滑り出した。雪交じりの強風で見通しが良くなかったが、良く知っている所と安易に考えてよく確認せず十二沢と勘違いして一つ南側の沢を降りてしまった。
見通しが良い時なら目の前にスキー場のゲレンデが見えるし間違えることは無いのだが、かなり滑り降りてから様子がおかしいとGPSをチェックしたらやはり間違えている。途中でスキー場のほうに戻ろうとスキーをはずして上り返したりしたが、雪が深い急斜面を上り返すのは難しい。GPSの地図を見ると下に下れば道路に出ることが分かり、そのまま沢を降りることにした。

   途中で沢は急斜面で狭い箇所が出てきた。始め横滑りと滑り落ちて下ったが、さらにデブリも出てきたのでスキーをザックにつけて歩いてクライムダウンし、狭い沢を通過した。急な沢を通過すると林間の緩斜面となった。しばらく行くと雪に覆われた林道に出て、川場野営場と川場野営場避難小屋が見えた。ここの標識を見ると上に行く登山道がオグナホダカに通じている。

   それではこの登山道を行けばオグナホダカに戻れると2度目の勘違いをしてしまった。確かにオグナホダカに登山道は通じているが、時間はかなり掛かり明るいうちにいける距離ではない。それでもザックにスキーをつけてやや締まった雪の登山道を登り返した。30分以上歩いて冷静になって考えたらこのまま登山道を行っても明るいうちにオグナホダカに着くことは有り得ない。

   林道をそのまま下って国道に出た方がよほどマシである。スキーをつけて林道の緩斜面を滑り降りて5時すこし過ぎに国道沿いに出た。問題はここからオグナホダカスキー場まで戻ることである。通りかかったボーダー二人が乗っている車に手を上げて事情を話してオグナホダカスキー場まで乗せていって貰えませんかとお願いした所、親切に逆方向にかかわらず行ってくれた。その時、ザックとスキー板はここに置いて後から取りに来ることにしのだが、あせっていたため車のキーをザックのポケットに入れたままにしてあるのを忘れていた。

   やっとのことでオグナホダカスキー場の駐車場に到着。この時既に5時半になっていた。もちろんスキー場の営業時間は過ぎている。送ってくれたボーダー2人に謝礼を出しお礼を言って分かれた。駐車場ではスキー場の関係者が待っていた。登山届けを出して下山届けが出ていないし駐車場に一台車が止まっているので遭難したのでは無いかと心配されていた。途中の山中では携帯電話が通じないため連絡が取れなかった。

   パトロールの詰め所に行き下山の報告が送れたことのお詫びと心配していただいた事のお礼を言い、スキー場の係員の女性に車でスキーとザックの置いてある所まで回収に連れて行って貰い再度スキー場に戻り自分の車のキーをかけたのは暗くなる少し前の6時過ぎであった。

   パトロールの方からも注意を受けたが、やはり悪天候の見通しが良くない時に慣れていると言っても単独で行くのは間違いで大きな反省点である。今回は幸い事故も無く暗くなる前に戻れた。過去にルート間違いをしてビバークした時と比べれば大したことも無く危機感は全く感じなかったが、他人に心配や迷惑をかけるのは良くない。山スキーの際は万一ビバークとなっても何とかできるようにツエルト、レスキューシート、ヘッドランプ、ガスバーナー、非常食は持って行くし山岳救助保険に入っているがそれで良しと言うことはで無い。悪天候で無理に行くのは止めようと痛切に思った。最後に心配をかけお世話頂いたスキー場の関係者に感謝する。

   GPSトラック