6月12日(土)〜6月13日(日) 晴れ(12日)、晴れのち曇り(13日)、両日とも風弱し

奥穂高岳(3190m)
単独

登行高度:2630m 
滑降高度:1220m、 歩行下降高度:970m(小豆沢でスキー板を流して回収に歩いて降りた300mを含む)、自転車下降高度(440m) 

12日:
新穂高温泉(4:40)-白出沢出合(6:30〜6:35)-白出大滝下部地点(8:20)-白出大滝上部地点(10:40〜10:50)−穂高岳山荘(14:40)
13日:
穂高岳山荘(8:20)−奥穂高岳(9:20〜9:50)−小豆沢出合2750m地点(10:05)−涸沢2450m地点(10:30〜10:40)−穂高岳山荘(12:10〜12:45)ー白出大滝上部(13:30)−白出沢出合(15:55)−新穂高温泉(16:10)

   
 6月も10日を過ぎると入梅で好天気は期待できないし、山スキーが出来る所は一部に限られる。5月の最終週と6月第一週は所用、来客、畑仕事があり山スキーには行けなかった。

    今シーズン最後の山スキーに行けるチャンスは12.13日しか無い。天気予報では12日は晴れ、13日は曇りでそれ以後は雨であった。どこへ行くか迷ったが、今年のGWに行きそびれた奥穂高岳に上がり直登ルンゼを滑る事にした。

   当初の予定では12日のうちに白出沢経由で奥穂高岳に上がり直登ルンゼを滑って涸沢ヒュッテに泊まる予定であった。 しかし、白出大滝の所で迷って時間と体力を消耗して穂高岳山荘に着いた時には、奥穂高岳に上がる気力と時間が無かったため山荘に泊まり、13日に奥穂高岳に上がった。。

  
 11日の5時過ぎにに自宅を出て10時前に新穂高温泉の無料駐車場に着いた。停まっている車は上のほうに10台くらいで少ない。今回は折りたたみの出来るミニのマウンテインバイクを持ってきたので、一番下の駐車場の片隅に停めバイク、スキーを下ろして車中泊。

12日(土)

  朝4時過ぎに起きて簡単な朝食を取り、準備してまずミニバイク、ザック、スキーを車でゲートの所に運んだ後、車を駐車場に戻し背の低い軽登山靴で歩いた。ゲートでザックにスキーをつけてミニマウンテインバイクに乗ってペダルをこぎ出したが、サドルが少し低いので疲れるわりに進まない。結局ずっと自転車を押して歩いた。途中、マウンテインバイクに乗った2人ずれ、単独行の登山者に追い越されてしまった。

  奥穂高岳登山口の白出沢出合の広場には軽自動車2台が停まっていた。その横にミニマウンテインバイクを置いて、スキーをザックにつけて樹林帯の登山道を歩いて上がった。所々雪が見られるものの、もう夏山の雰囲気である。時々見られるつつじの赤い花が目に付いた。

  登山道が白出沢にぶつかる1800m位の地点から雪渓がずっと続いていた。雪は小石、木片などに覆われでこぼこが波打っていた。ここから軽登山靴のまま雪渓を上がった。登山道は白出沢から鉱石沢の方に雪渓を上がり急登を経て白出大滝を高巻きしてから白出沢に出ている。しかし、地図を良く確認せず、そのまま白出沢を上り詰めて滝の直下に行ってしまった。
  
  この滝の上部に上がるのは左側の急な斜面を行く良り無さそうであった。岩と笹藪の間のよじ登れそうな所を笹薮や岩を掴んだりして登ったが行き詰って引き返して別の個所を上がったりを何度か繰り返した。その間滑り落ちそうになりヒヤッとした。腕と足は擦り傷がついてしまった。ようやく上のほうまで行って気がつくと、ストックを一本落としていことに気づいた。急斜面上にザックを置いて、通ったと思われる笹藪などを右へ行ったり左へ行ったりしてストックを探しながら降りて行った。

  その間に、置いてあったザックからスキーが外れてザックが下に転げ落ちてしまった。ストックは結局見つからず、急斜面で危険なのでこれ以上探すのはあきらめた。転げ落ちたザックを回収して上がり、スキーを再度ザックにつけてさらに上がり笹薮やダケカンバの間を藪こぎしながら、どうにか滝の上部の雪渓の所に出た。ザックの中身を調べてみたら、ザックのポケットに入れたあったGPSと携帯電話が壊れていた、転げ落ちる時に岩とぶつかってしまったらしい。

  大滝を撒いて上がるだけに2時間以上かかり、体力を消耗し足がつって少し痛い。ここで引き返そうかなとも思ったが、天気は良いし未だ時間がある。ここで軽登山靴から兼用靴に履き替え、スキーにシールを着けて上がりだした。雪渓上に転がっていた小枝を無くなったストック代わりに使ってなんとかしのいだ。荷継沢の合流点の手前で夏道の登山道が付いているのがはっきり見えた。

   少し傾斜が急になった所で足が痛いので踏ん張りが利かず、また代用の小枝のストックではずり落ちてきて上がれない。再度スキーをザックに着け靴にアイゼンをつけて上がりだした。しかし、疲れたのと足が少し痛いのとで登るペースは極端に落ちてしまった。それでも休み休み少しづつ上がった。

   初めははるか下にいた単独行の登山者にも追い抜かれてしまった。途中、2,3回の休憩を取りやっとのことで穂高岳山荘のある白出のコルに到着。もう2時40分。これから、奥穂高岳に上がるのは体力的にも時間的にも難しい。明日は天気はあまり良くないという天気予報だったので、このまま涸沢ヒュッテまで滑り降りるか、登ってきた白出沢を今日中に下ってしまうか、それとも明日の天気が良くなるのを期待して穂高岳山荘に泊まるか躊躇した。

   結局、疲れていて足が少し痛いので明日の天気を期待して穂高岳山荘に泊まることにした。土曜日にもかかわらず、本日の宿泊者は同宿の単独行登山者を含めて2名。他にテント泊の女性登山者が独りいた。

  白出沢中間部を奥穂高岳を見ながら上がる           白出沢中間部から下部を見る、後ろは笠ヶ岳
        
13日(日)

  一部雲がかかっているものの午前中は晴れの模様。昼過ぎから雨が降るという天気予報。笠が岳や常念岳が良く見えた。同宿の単独行登山者は早く起きて奥穂高岳に行ってきた。朝食は6時から。

  一晩寝たお陰で昨日の疲れと足の痛みは無くなった。奥穂高岳直登ルンゼを滑る予定なので、雪が緩む時間を見計らって8時過ぎに出ることにしてのんびりしていた。

  7時半過ぎには同宿の単独行登山者は北穂高岳を目指して上がって行った。また、2人の登山者が奥穂高岳を上がっていた。

穂高岳小屋より奥穂高岳               前穂高岳                          涸沢岳、後ろは北穂高岳
  

  自分も8時過ぎに準備し、穂高岳山荘の人に失ったストックの代わりに片側の一本を借り、スキーとストックをザックにつけて奥穂高岳を目指して上がった。はしごと鎖のある所などでスキーの先端が岩にぶつかったりしたので慎重に上がったが、昨日の大滝の横を上がったのに比べればなんでも無い。途中で先行の登山者2人が降りてきた。

  一時間かかって奥穂高岳山頂に到着。残念ながら雲に隠れている遠くの山々の眺望は良くない。しかし、下部の梓川、徳沢が見下ろせた。たった一人の奥穂高岳山頂からの展望をしばらく楽しんだ後、山頂から少し戻ったエントリーポイントを眺めた。

 頂上から見る梓川                    穂高神社の祠                      案内板はあるが山は雲に隠れて見えない
     

  雪は緩んで危険は感じられない。出だしの急斜面のところに一部クラックが入っていて気になったが、それさえ避ければ問題ない。準備してスキー滑降。最初のターンは問題なかったが、2度目のターンでエッジを立てるのが甘くてずり落ちたが、雪が柔らかいのですぐに止まった。

     直登ルンゼを上から見る                       直登ルンゼを下から見る
             

  後は急斜面の滑降を快適に続けた。しかし、ターンするごとに雪がずり落ちて雪崩れていく。しばらく止まってずり落ちていく雪を見過ごしてから再度ターンをしながら降りて行った。下部に行くと幅、深さとも1m位の大きな縦溝が出てきた。その縦溝に雪崩れた雪が滑り落ちていった。

  直登ルンゼ上部                   直登ルンゼ中間部から上を見る            直登ルンゼ下部     
       
 
  直登ルンゼが小豆沢に合流する手前でスキーをはずして縦溝を横切ろうとしたとき、スキー板の片側を縦溝に落としてしまった。スキーはストッパーが着いているにもかかわらず、縦溝を雪崩れてきた雪とともにどんどん滑り落ちていった。

   縦溝は丁度ボブスレーやリュージュのコースと同じようになっている。片側の板を持って標高差300m以上を歩いて下ってやっと流れたスキー板を回収することが出来た。ここでスキー板をザックにつけ、アイゼンで小豆沢をハイクアップ。この登りは気分的にも体力的にも辛かった。

       小豆沢ハイクアップ中に見る常念岳             小豆沢ハイクアップ中に見る前穂高岳
          

   12時過ぎに穂高岳山荘に到着。借りていた片方のストックを返して、コーヒーを飲みながら昼食。準備して穂高岳山荘から岩がごろごろした歩きづらい下りで雪が残っている所まで降りた。そこで、スキーをつけて雪渓上の落石に注意しながらスキーで滑降。思った以上に滑りやすい雪で落ちている岩や小石さえ避けて滑れば問題ない。荷継沢合流点を過ぎた所でスキーは終了。スキーをザックにつけて兼用靴のまま白出大滝の高巻きの登山道を歩いて下った。

白出沢最上部、雪が溶けて岩が出ている      白出沢上部                       白出沢中間部のスキー終了地点
  

   鉱石沢に入り落石や木片、土が散乱している雪渓を下った後、白出沢に入った。ここでスキーを再度つけてでこぼこで波打った滑りにくい雪を少し滑った後、登山道に入る所でスキーは終了。兼用靴を軽登山靴に履き替えスキーをザックに付けて樹林帯の中の登山道を下った。石が多い登山道で膝が痛くなるもっとも苦手な下りの道である。時々、止まってつつじ、峰桜、二輪草などの花、コゴミなどを眺めながら下って白出沢出合に出た。

途中で見た花、草
ツツジ               サクラ               コゴミ               二輪草              ゼンマイ
    
   ここからはミニバイクに乗ってスピードが出過ぎないようブレーキをかけながら下りあっという間に新穂高温泉に到着。下山届けを出して、駐車場について着替えている時、ぽつぽつと雨が降り出してきた。昼過ぎに雨が降り出すという天気予報であったが、4時まで持ってくれてありがたかった。その後温泉に入って2日間の汗を流した後帰路に着いた。

   GWには奥穂高岳直登ルンゼのスキーが出来無かったので、今回、白出大滝の高巻きなどで辛いこともあったが、無事に直登ルンゼを滑ることが出来たことに満足している。これで心置きなく今シーズンの山スキーを終えることが出来た。