ウィスラー山、ブラッコム山(カナダ)
(ゲレンデスキー及びスキーツアー)
                                                                          

    
学生時代からその後にかけて色々お世話になった先輩であり先生でもあるOさんがバンクーバー住んでおられる。3月下旬にOさんを尋ねてOさんご夫妻と歓談し旧交を温め、その後、今年のオリンピックのスキー会場にもなったウィスラーに行くこととした。

   荷物はあまり増やしたく無かったので、スキー板とポールは現地でレンタルすることにして、はきなれた山スキー兼用靴(Garmont Megarite Mg)とスキーウェアーなどをスーツケースに詰めて行くことにした。

    バンクーバーに行くのは33年ぶりの3回目だが、随分昔のことなので始めて行くようなものである。もちろんウイスラーにスキーに行くのは初めて。ウイスラーではゲレンデスキー以外に山スキーも行きたかったが、単独行であったし予定日数が3日半で短いこともあり山スキーは断念した。しかし、ウイスラー、ブラッコム山域は広大でスキーエリアも広くて標高差も上から下まで最大で1600mもある。リフトやゴンドラを使って上がったので登りの楽しみ(つらさ)は無かったが、圧雪してコース整備されている所は限られているので、整備されていないパウダースノーのルート、急斜面、林間などスキー場のpisteかoff pisteか解らないような所の滑りを色々楽しめた。
今回は天候が良い日があまり無いのは残念であったが、逆に降雪があったのでパウダースノーを味わえたかもしれない。

3月29日
     今日も曇り空。朝、Oさんにダウンタウンにあるウイスラー行きのバスの乗り場に連れていって頂いた。バスは定刻の9時10分に来て、次のホテルのバス乗り場に向かった。全員がスキー場に向かう客でほぼ満員の状態。市内を抜けて入り組んだ入り江の海岸沿いを走っていった。晴れていれば非常にきれいな景色であろうが、曇ってどんよりしていて陰鬱な気分になってしまう。途中スコーミッシュという小さな町で少し停車した後、バスはだんだん山道を上がって行った。道路の両側には雪が見え初め、小雪交じりの雨が降ってきた。お昼前にウイスラーに到着。予約してあったホテル(Aava Hotel Whistler)にチェックインした。部屋で荷物を広げた。当初は午後からスキーに出かける予定であったが、雨交じりの雪の中をスキーをやりに行く気は起こらない。少し休んだ後、折り畳み傘を持って、Whistler Villageのお店、スキーレンタルショップ、リフト券売り場に行った。リフト券売り場で明日からの3日券を購入した。また、Grocerry Storeで食料品とビールを購入した後、日本人店員が居るスキーレンタルショップで持参した兼用靴に合うスキー板を3日間借りた。後はホテルに帰って休みながら持参の本を読んで過ごした。

               ウイスラー ビレッジ、後ろはブラッコム山
              

3月30日
      曇り空で朝から小雪が降って視界はあまり良くない。あたり一面新雪で白くなっていた。こういう天気では気乗りがしない。しかし、スキーはレンタルしたしリフト券も購入している
。9時過ぎにレンタルショップに行き借りる予定のスキーを借り出し、ウィスラーに行くゴンドラ乗り場に向かった。このような天気でも大勢の人が列を作って並んでいた。しばらく待ってゴンドラに乗り込んだ。標高差1157mを一気に上がり、標高あ850mの地点に達した。標高2182mのウイスラーのピークはガスっていて良く見えないし、このピークに上がるリフトはまだ動いていなかった。そこで、ここからいくつかの中級コースを中心に初級コース、上級コースを織り交ぜながら何回か降りたり、別のリフトで上がったりを繰り返した。あまりに広くて沢山のコースがあるので、どこを滑っているのか解らなくなってしまうが、適当に滑り降りてから長い高速リフトに乗ると元の1850m地点の場所に戻れる。昼ごろにはガスが切れてウイスラーのピークや周辺の峰が見え出した。昼食後、ピークに上がるリフトに向かった。大勢の人がリフトを待っていた。正面の急斜面には既にいくつものトレースが付いていた。新雪が積もった後のまっさらなパウダースノーが食い荒らされた状態である。
     このピークのリフトを待っている時に,目の前に見えるかなり高い崖をCliff Jump しているボーダーやスキーヤーがいた。リフト待ちをしていながら見ている観客は歓声を上げてうまく着地したら拍手喝采であった。
    リフトでこのピークの上まで上がり右側の上級者コースを降りた。結構長い急斜面のパウダースノーが続いた面白いコースでもとのリフト乗り場に戻った。再度リフトに乗り上まで行ったがこのときはガスって来た。今回も右側に下りたが、無理せずに中級者コースのサインがある尾根通しのルートを辿った。斜度はほどほどだが変化にとんだ長いコースが標高差1000m以上延々と続いてこちらも面白かった。案内の地図を見るとこの尾根の上部から雪庇を越えて谷に下るエキストリームコースの急斜面がいくつかあるようである。
    途中のリフト乗り場でリフトに乗り、再び1850m地点に上がった時には4時近くなっていた。ここから下まで滑り降りて本日のスキーは終了。下でビールを飲んでしばらく休んでからホテルに戻った。

ゴンドラから見たウイスラー山              広いウイスラースキー場とブラッコム山         ウイスラー山のスキー場上部
    

3月31日
   本日は雲は出ているが、陽射しがあり青空が見えている絶好の日和になった。しかし、気温は余りあがらず雪質は良い。朝食後、ホテルを8時過ぎに出て、動き始めたブラッコム行きのゴンドラに乗り、1860m地点まで上がった。これよりさらに上に行くリフトはまだ動いていなかったので、ここから下まで上級コース、中級コース、初級コースを交えながら異なったルートで何度か上がり降りした。こちらも広くてコースが沢山あるが、ウイスラーより少し難しいコースが多いようであった。

  
1860m地点の案内所に無料のガイドツアーが11時半から行うとの掲示があったので、そこに行って上級者と中級者向けのGlacier Tourへの参加を申し込んだ。このGlacier Tourは登りはリフトかゴンドラを使うのでバックカントリー用の用具は必要無いとのことであった。このツアーのメインはブラッコムのピークの手前にある鞍部からブラッコム氷河を滑り降りて下まで行くものであった。ガイドは2名付いて約2時間半のツアーを行うとの説明があった。
     参加者は12〜14名でそれぞれが自己紹介した。地元カナダに加えてイギリス、アメリカ、ドイツ、日本とメンバーは国際色豊か。女性も何名かいたが皆さん中高年が多いようであった。メインガイドは年配の方、サブガイドはそれより若い方で和気合いあいの雰囲気。メインガイドの方は1988年だったか89年だったか、材木の輸出のことで日本の北海道に行ったことがあるとおっしゃっておられた。

     初めは長い中級コースを3、4度滑った。この間にガイドは参加者のスキー技術を見ていたようであった。ガイドツアーで参加者の技量が違いすぎると問題があるが、今回の参加者は全員スキーが上手でパウダースノーも急斜面も問題無くこなしていたし、ほどほどの斜面では速いスピードで滑り降りていた。このためガイドはかなりの急斜面を滑り降りるルートを取ってくれたし、長い距離を滑ることができたので面白いグループツアーになった。2時になりもとの場所に戻り、ガイドにお礼を言って解散となった。このようなツアーを無料で行ってくれたスキー場、ガイドそして同行参加者に感謝したい。

     その後、昼食を取った後、一滑りしてから元に戻り、4時前にブラッコムとウイスラーを結ぶ全長4.4kmあるというゴンドラに乗ってウイスラーに行きそこから下まで標高差1150mを滑り降りて本日のスキーは終了。ホテルに戻った。


ブラッコム山中間部のスキー場             ブラッコム山上部のスキー場               ゴンドラから見たブラッコム山
   


        ブラッコム氷河へのツアー、説明を聞く            ツアーのメインガイドと参加者、いざ出発
                 
    

4月1日
      本日はまた小雪交じりの曇り空。上の方はガスっていて見通しが良くない。今日が最終日であるので、初日に行けなかったLittel Whistler Peak(2115m), PiccoroあるいはCreeksideなどのウイスラー
の残りの部分にいくことにした。

    朝9時前にゴンドラに乗り上の1850m地点まで行った後、少し降りてオリンピックの男子滑降やスーパー大回転のコースの出発地点まで行った。ここからコース沿いにゴール地点まで滑って下りてみた。選手がジャンプして通り抜ける急斜面の個所もゆっくりとターンしながら降りたが、こんなところを高速で減速をしないで滑り降りるのは筋力も勇気もいると感心した。下に行くとガスが取れて見通しが良くなる。

    Creeksideから上までゴンドラで上がった後、
Littel Whistler PeakとPiccoroに上がる高速リフトに乗り、この両者からのコースのいくつかを滑り降りたが、小雪混じりでガスっていて視界が良くなく楽しんで滑ることは出来なかった。しかし、 Piccoroから下るSymphony Amphitheaterと言っていたパウダースノーの針葉樹の樹林の中は非常に面白く快適でもっと滑っていたいのを切り上げて1850m地点まで戻った。
  
遅い昼食後は目の前にあるウイスラーのピークにリフトで上がりガスの切れ間を待って滑り降りた。
高速リフトをつないでもう一度ピークまで上がり、ガスで見通しが良くない中を標識を頼りに左側の中級コースを降りた後、Whistler Villageまでの長いコースを楽しみながら滑り降りて今回のウイスラーでのスキーを終了した。     

         ウイスラー山のピーク                          リトルウイスラーピーク

           


4月2日

今日も曇り空。朝8時発のバスに乗りバンクーバー空港に向かい帰国の途についた。

 

イスラーのスキーで感じたこと

   スキースクール、スキー場係員、案内係、レスキュー、パトロールなどの人が多く、良く整備されていてさすが世界的に有名なスキー場と感心した。

   
日本のスキー場では考えられない急斜面、崖、針葉樹の林間などがOpen Accessとなっていてびっくりした。もちろん、標識がきちんとありDangerousだとかProhibited と書かれている標識、場所もあったが、基本的には自己責任でやりなさいということだろうがが考え方の違いを感じた。初心者コースの大部分と中級者コースのかなりが圧雪車による整備がされていて標識も付いているが、上級者コースはあまり整備せず標識も少なく個人の好きにまかせる様に見えた。またエキストリームコースとなるとこんな所を滑らして良いのと言う感じであったが、標識は殆ど無くスキー場の簡単な見取り図に書かれているだけであった。これを許しているのでスキー競技のエアリアルやエキストリームスキーを産み出す原動力になったのかなとも思った。
   なお、初心者ルートの標識は緑色で円形、中級者ルートは青色の4角形、上級者ルートは黒色の菱形、エキスパートルート(エキストリームルート)黒色の菱形が2つか3つで表示されておりわかりやすかった。

   スキーヤーでヘルメットを被っている人は多いのが目に付いた。スキー場のパンフレットもヘルメットの着用を推奨していた。日本ではゲレンデスキーでヘルメットを被っている人は希だ。ここでは日本のスキー場では有り得ないような危険な個所も滑るのが許されているので、危険防止でヘルメットの着用が推奨されているのだろうか?
    
   また、スキー場全体でAvalanche Controlをきちんとやっているようで、新雪が降った上部の急斜面ではリフトを動かす前に爆薬を爆発させて人工的に雪崩を起こす爆音が聞こえた。


    単独行で不案内かつ日数も短かったので、今回はバックカントリースキー(山スキー)は出来なかったが、リフトやゴンドラを利用した上で2〜3時間のハイクアップで色々面白そうなところに行けそうな個所が沢山あるように思えた。雪崩の恐れが心配であるが、広い山の上部は無立ち木の斜面が拡がっており、どこでも滑れそうな感じがした。2日目のブラッコム氷河のツアーの際にはハイクアップしている人たちが見えたし、尾根の上からルンゼ状の斜面を滑り降りているトレースをいくつか見かけた。
    また、リフトで乗り合わせた方がこちらがはいていた山スキー兼用靴を見て話しかけてこられたが、その人の話では色々のバックカントリールートがあり、次の晴れた日にはそちらに行く予定と話していた。

    ウイスラービレッジで山スキー用の板、兼用靴、シールをレンタルしている店があるか聞いた所一軒だけあるとのことであった。また、バックカントリースキー用具一式を売っている店もあった。なお、自分が借りたスキーレンタルショップではテレマーク用の板とブーツは置いてあった。

    バックカントリースキーのガイドツアーやへりコプターツアー(ガイドが付く)のパンフレットも見たが、いずれも料金は安く無いようであった。