槍ヶ岳山スキー行

   
定年退職後は毎日が日曜日である。そこで今年のゴールデンウィークの山スキーは皆さんが帰った後の静かな時に行こうかと思い当初は5日に自宅を出ようかと思っていた。ところが、事前の天気予報は5日から崩れ6日は雨で7日は曇り時々晴れ、8日から10日は晴れであった。そこで、6日の夕方に出て新穂高温泉に向った。高速料金は特別割引の1000円であった。暗くなってから新穂高温泉の駐車場に、到着して車中泊。さすがに、駐車している車は少ない。

5月7日(木) 雨、一時小雨
穴毛谷最上部堰堤まで
単独行
登行高度:270m 下り歩行高度:270m
   7日は一日中雨で行くのは取りやめ。それでも、雨の合間を見計らってストックと雨傘を持ってジョギングシューズで、3年前の4月に穴毛谷の雪崩事故で亡くなったKさん、Sさんのの追悼を兼ねて、穴毛谷のほうに行って来た。このお2人とは5、6年前に打ち合わせなかったのに偶然1シーズンに3度も山スキーでお目にかかり同行したので、他人事とは思えない。
   穴毛谷も非常に雪が少なく一番上の堰堤まで雪が無くてこれから上も沢筋は水が轟々と流れていた。最上部の堰堤の手前には雪が付いているがゴジラの背中状で、雪の下の沢の流れが激しい。雨が激しくなってきたのでこれ以上行くのを止めて戻った。ここももう山スキーは無理のようである。

        追悼を                                  穴毛谷(下部は全く雪が無い)
            



5月8日(金) 雲り、上部は濃いガス
新穂高温泉-槍平-槍ヶ岳
単独行
登行高度:1980m 

   8日朝、4時過ぎに起きたが、雨は降っていないもののどんよりした曇り空であまり行く気が起こらない。それでも天気は回復する方向にあったので用意してスキーと兼用靴をザックにつけてスニーカーで5時半に出発。白出沢出合までの林道は全く雪が無い。林道が終わった所で、雪がちらほら見えてきたので兼用靴に履き替えた。
  6日と7日にかなりの雨が降ったが、上のほうは湿った雪が積もったところで気温が上がったので至る所で雪崩が発生していてひどいデブリ。一方、下部は雨で気温が上がったので急速に雪解けが進んだようである。
  白出沢を石伝いにわたる所でバランスを崩して沢に入ってしまい靴の中に水が入ってしまった。靴を脱いで水を出、し靴下を絞って履き直した。気温が高かったので問題無いが気持ちは悪い。白出沢出会いから槍平小屋手前の谷筋は始めは雪がちらほら程度で谷筋は行けなかったので夏道沿いに進んだ。
  滝谷出会いの手前からは谷筋に至る所にデブリが出ていて歩きづらいしどこを歩いてよいか分からないような状態であったが、先行者一人が歩いた後がかすかについていた。しかし、その坪足のが先行者は道がよく分からないし足が雪に埋まって歩きづらいと途中で引き返していた。自分の方はスキーなので歩きやすい。少し迷った所もあったがそのまま上がって行き、槍平に11時半に到着。槍平冬季小屋を覗いたが快適そうである。ここで、昼食の大休止。
  槍平からは緩斜面を沢沿いに上がっていった。2200〜2300m位から上の飛騨沢はガスで見通しが利かず随所に新しいデブリがあり厳しい思いをしながら上がった。上部は目印に赤い旗が順番に立っていたが、濃いガスのためやっと次の旗が見える程度で、時々次の旗が見えるのを待ってデブリを避けながら上がった。デブリを通らざるを得ない所もあり一部スキーを担いで歩いて上がった。途中で何回か引き返そうかと思いながらも、後少しで槍ヶ岳山荘なのでそのまま登って行った。結局槍ヶ岳山荘に着いたのは3時10分。この日の泊り客は全部で5人、殆どの人が槍沢ロッジから上がってきた人でした。こちらも濃いガスで槍沢を上がるのに苦労したようでした。見通しが利けばなんと言うことも無いのですが。夕食は5時から。6時頃からやっとガスが取れて槍の穂先が見え出し、遠方の山々の眺望が良くなった。

   やっとガスが取れ、槍の穂先が見えた              暗くなる直前に槍ヶ岳山荘から見た常念岳と月
         


5月9日(土) 快晴、無風
槍ヶ岳山荘-槍沢(750m滑降)-槍沢登り返し槍ヶ岳山荘-大バミ岳-大バミ岳カール滑降(800m)-槍沢登り返し-槍ヶ岳山荘
5/10:槍ヶ岳山荘-槍ヶ岳往復-飛騨乗越ー槍平-新穂高温泉
単独行
登行高度:1550m+(300m) 滑降高度:1550m 下り歩行高度:(300m

    9日は前日と打って変わって快晴無風。朝食後、午前中の雪がしまっている間には槍沢を標高差800M滑った。非常仁快適であっという間である。シールをつけて登り返し。途中で、同宿した方々で朝食後槍の穂先に上がった後、降りてきた2人とお目にかかった。一人はテレマーカーで気持ち良さそうに滑って行った。この後、デジカメを落としたことに気づき、途中にスキーを置きつぼ足でデジカメを探しながら300mほど下った。幸いデジカメはあり、つぼ足でスキーを置いた所まで戻り、後はスキーで上がった。上がった所で11時半に昼食。
   ここでアイゼンをつけて大バミ岳に上がった。先行者はつぼ足の一人と、本日槍沢ロッジから上がってきたというボーダー2人。飛騨乗越ではテレマーカー一人にお目にかかった。この人は朝早く新穂高温泉を出たとのことで、これから滑って新穂高に戻り、明日は双六岳まで往復とするとのことであった。白出沢出合までは自転車を利用したと言っていたが、やはり自転車を利用すると早い。
   大バミ岳頂上で先行のボーダー2人と少し話をした。彼らが降りた後、用意して1時から大バミ岳カールを槍沢出会いまで750m滑った。上部はほどほどの急斜面で雪も締まっており快適であったが、途中からは雪は緩んでグサグサ雪状態となリ、おまけにデブリが多くなってきた。デブリの合間を選んで滑ったが、デブリの間を滑っている時ターンしようと加重したとたんに、小規模だが雪崩を引き起こして足元をすくわれて少し流された。それほど急斜面で無く、雪は重くて雪崩はゆっくりしたもので小規模であったので恐怖感は感じなかった。しかし、降雪後の高温の時は危険だと改めて感じた。他にも面白そうな斜面はいくつかあったが、雪崩が怖くて行く気にならなかった。その後、槍沢を登り返して槍ヶ岳山荘に連泊。この日はガイドツアーの10数人を含め30人近くが泊まっていた。

  槍沢滑り出し部              槍沢上部を仰ぐ             槍沢上部               槍沢中間部から下部を見る
   


大バミ岳頂上から槍ヶ岳         大バミ岳頂上から穂高連峰      大バミ岳頂上から常念岳       大バミ岳頂上から
    


大バミ岳滑り出し部            大バミ岳カール上部は快適     デブリの間を滑った中下部      槍沢との合流部(デブリが多い)
   


5月10日(日) 快晴、無風
槍ヶ岳山荘-槍ヶ岳往復-飛騨乗越ー槍平-新穂高温泉
単独行
登行高度:100m 滑降高度:1030m 下り歩行高度:180m+870m

    10日も快晴。朝食をゆっくりとった後、槍の穂先まで上がリ周囲を眺めた。天気が良く周囲の山々の眺望が素晴らしい。その後、飛騨乗越の近くのスキーが出来る地点まで歩いており、準備して飛騨沢をデブリを避けて滑り降りた。滑りを楽しめたのは比較的雪が締まっていた上部のみで下部はグサグサ雪で重い雪であった。スキーで降りれたのは槍平小屋の少し先まであった。ゆっくり滑ってもスキーは早い。25分で降りてしまったが、その後の沢沿いの上部はデブリで下部は雪が少なく滑れない。スキーを担いで最初はデブリ次に雪と岩が交互に現れてくる歩きづらい夏道を兼用靴で歩いたが最悪で白出沢出会いまで時間がかかり疲れた。白出沢出会いからの林道はスニーカーに履き替えて新穂高温泉に戻った。
   結局、飛騨乗越は9時に出てスキーで25分間滑り降りた後、9時45分頃からスキーを担いでおりたが、新穂高温泉に到着したのは2時半頃になっていた。


槍ヶ岳山頂より槍ヶ岳山荘      大バミ岳                穂高連峰をバックに          飛騨沢上部の滑り
   


 槍平                     谷筋はデブリで一杯        デブリの末端              白出沢出合
   


    槍ヶ岳は無雪期には何回も行っているが、残雪期は今回が初めてであった。いろいろあり疲れたが初めての槍ヶ岳スキー山行はそれなりに楽しめた。下部の雪が多くデブリも無いもう少し早い時期、あるいは雪の多いシーズンで、白出沢出合までスキーが使える時が良いと感じた。
    槍ヶ岳は山スキーサイトとしては良いのだが、今回の状態ではアプローチの歩きが長すぎる。結局、この時期は乗鞍や白馬,立山周辺の方が楽に山スキーを楽しめる。今回の3日間でスキーやボーダーの人でお目にかかったのは併せて4人で少なかった。