3月29日(日) 曇り時々晴れ、後曇り
白馬乗鞍岳、蓮華温泉
単独行
登行高度:665m 滑降高度:1015m
   
3月下旬から4月上旬にかけて、30年近くほぼ毎年のように蓮華温泉に山スキーに行っている。29日の日曜日は天候はあまり良くないが、30日と31日は良い天候であリ、4月1日は崩れるという天気予報であった。また、景気刺激策で28日から土、日と祝日は高速料金が1000円になった。そこで、29日の天候の状態を見ながら今年も蓮華温泉に行くことにした。28日に夕方自宅を出て途中で車中泊。29日の朝、栂池高原スキー場の駐車場に車を停めた。小雨交じりの雪がちらついており上は雲がかかっていたが、天候は段々良くなってきた。

   日曜日で大勢のスキー客がゴンドラ乗り場に集まっていた。早速、準備して登山届けを出して切符を買い、ゴンドラ、次いでロープウェーに乗り込んだ。ロープウェーには大勢のボーダー、スキー客が乗り込んでいた。ロープウェー終点では係りの人の説明がある。その人に蓮華温泉までの状況を聞くと、今日は蓮華温泉まで行くと言っている人はいない。新雪が大量に降ったので下りもラッセルが大変ですよと言われた。

   ロープウェー終点からシールをつけて10時からハイクアップ開始。既に大勢の人が上がっていたので、そのトレースについてラッセル無しで、順調に上がり、一時間で天狗原に到着。そのまま休憩無しで白馬乗鞍岳に上がった。12時10分に大きなケルンがある白馬乗鞍岳頂上に到着。風が強く、目の前の船越のコルの上のほうが雲にかかりだしてきた。休憩の昼食を取り、12時半頃からシールをつけたまま、白馬大池に下り大池山荘のあるところを経て蓮華温泉に向う地点でシールをはずした。この辺から少しずつガスが出だしてきた。ここから蓮華温泉に下るルートは視界が悪いと迷いやすい所もあるので、白馬乗鞍まで登り返して天狗原から振り子沢を経て蓮華温泉まで下るルートにしようかといったん躊躇したが、ガスが取れたのでそのまま下り始めた。始めは緩斜面でヒールフリーにして下りのラッセルを続けた。そのうちすぐにガスが濃くなってきて小雪がちらつきだし10〜20m先くらいまでしか見えなくなった。眼鏡に雪がついてさらに見通しが悪くなってきた。ルートを間違えて下りすぎると大変なので、100m位行ってはGPSを見て確認しながら降りていった。斜面が急になったところからヒールを固定してスキーモードにしたがとてもスキーを楽しむ余裕が無い。腰が引けて何回か転び、少し行ってはGPSを見るという繰り返しであった。天狗の庭近くの急な尾根では視界が悪かったので尾根の端に近づきすぎて雪庇を踏み外し2〜3m落下した。その際、スキー板がはずれて片方のスキー板が雪に埋もれて見失いあせったが、何とか見つけることが出来て事なきを得た。

   その後もずっとGPSを頼りに降りて夏道の通り右側の谷筋に向えばば良かったのだが、下のほうはトレースがあったのでそれについてそのまま尾根筋を降りてしまったところ、雪倉岳に行くトラバースルートに出てしまい蓮華温泉までの時間と労力がえらくかかってしまった。このトレースは雪倉岳に行くつもりで来たが、ラッセルがきつくて行けそう無いので、代わりに尾根に上がってから降りたと言う人のトレースであった。他人のトレースなど当てにしてはいけないことを痛感した。見通しが利けばなんとも無い所で、天狗の庭から蓮華温泉は目の前に見下ろせるのだが。4時半に蓮華温泉着。白馬乗鞍岳から4時間もかかってしまった。

        白馬乗鞍岳の大きなケルン、後ろは船越のコル
        

   その後、2人のガイド(一人は日本人でもう一人はニュージーランド人)が付いたアメリカ人(この方が客で一人)の3人ずれがやはり白馬大池から、また一人の日本人(昨年オートルート行で一緒になったIさんでした)が天狗原からやって来た。

   ビールを飲みながら温泉に入ってゆっくりくつろいで、Iさんや3人ずれの方と話を交わした。

3月30日(月) 晴れ
雪倉岳
アメリカ人とガイドの3人ずれとIさんと5人で
登行高度:1440m 滑降高度:1440m

   30日は新雪の深い雪のラッセルがきつくて雪倉岳の頂上まで行くのは無理だろう、一人ならあきらめようかと思っていた。しかし、2人のガイドが付いたアメリカ人の3人ずれとIさんは雪倉岳に行くと言うので自分も行くことにした。6時55分に蓮華温泉を出発。途中でシールをつけて雪倉岳に至るトラバースルートを行った。先に出たIさんがシールを着けなかったので手間取っている間に途中で追いついた。雪倉の滝が見える尾根に出た。ここで後から出た3人ずれに追いつかれ、以後はIさんも含めて5人で行動をともにした。シールをはずしてやや重い新雪のパウダースノーの林間を150mほど滑り降り瀬戸川の川底に達しスノーブリッジを渡った。8時半頃に到着。この時期には過去10回くらい雪倉岳に上がるためここに来ているが、今回が最も雪が少なくスノーブリッジが小さいと感じた。

   ここでシールをつけて8時40分頃から長いハイクアップ開始。先にニュージーランド人のガイドKさんが先導してラッセル。その後をIさん、さらに私が付いて行き、最後にアメリカ人の客と日本人のガイドSさんが付いて雪倉の滝の横の谷筋を上がっていった。この谷筋をを上がった所で右側にトラバース。途中の急斜面では一箇所雪崩の恐れがあるということで、スキー板をはずして直登して上がった。2000m付近で休憩し、水を飲み行動食を取った。その後は日本人のガイドSさんがトップを先導して行ったが、雪が締まってきて歩きやすくなりスピードアップした。2200m付近から新雪がパックされて波打った状態であったが、硬くなくクトー無しでもシール歩行で上がれた。頂上には13時10分に到着。雪の状態を考えれば予想以上に早く頂上に着いた。先導とラッセルをやってくれた2人のガイドのお陰で楽に登ることが出来た。頂上は風が強く寒い。しばらく休憩して水を飲み行動食を取り、写真を取った。
   シールをはずして13時30分ごろから滑り出す。 登りに使った尾根の一つ南よりの尾根を滑ったが、こちらは雪面が波打っていない。頂上から標高2000mまでの600mは比較的深くて軽い新雪のパウダースノーが続き、今シーズン一番の滑りを楽しめた。2000m付近からはガスがかかりだした。ガイドは的確に登りのトレースまでトラバースして戻った。1900m付近から1600m付近まではガスで先が良く見えなかったが、登りのトレースに従って滑り降りたガイドの後を付いて滑り降りた。1600m位からの谷筋でガスは取れて下が見渡せるようになり、やや重くなった来た雪であったがこの日最後の滑りを楽しんで瀬戸川の川底に14時10分に達しスノーブリッジを渡り、ここで休憩と昼食。4時間以上かかった登りも下りはわずか40分。
   
スノーブリッジは朝よりもやせている感じであった。ここでシールをつけて14時半ごろからハイクアップ。尾根を上がりきった所で一人のガイドとアメリカ人の客はシールをはずして蓮華温泉まで先に下っていったが、自分は細かいアップダウンがあるのでシールをつけたままで歩き蓮華温泉に15時40分に到着。
   その後、温泉に入りビールを飲み彼らと話をした。

 瀬戸川のスノーブリッジから上がる            山頂を目指してハイクアップ           雪倉岳より見た白馬岳                 
   


雪倉岳より見た旭岳                   頂上からの快適なパウダースノーの滑り      さらにパウダースノーの斜面が続く
  

   この2人のガイドは雪倉は初めてだと言っていたが、ルート取りからラッセルをしながらの登りの速さ、また、途中の雪の状態をチェックして行き一箇所では雪崩が起こるかもしれないと板をはずして20mほど直登するなど、ガイドの能力の高さを実感した。主としてカナダとかニュージーランドでガイドをしているとのことだったが、ニュージーランドのガイドの方は会社も経営されていると言っておられた。彼らのルート取りは傾斜を出来るだけ取らず大きく回りキックターンも出来るだけやり安いようにする、また出来るだけクライミングサポートも一番上は使わないなど、昨年のオートルート行の時のガイドやり方と共通するものを感じた。
   今回、予想以上に早くしかも楽しく雪倉岳の山スキー行ができたのは彼ら2人のガイドのお陰であり、ガイドとお客のアメリカ人の方に感謝する

   なお、蓮華温泉付近は25-28日に新雪がかなり積もったのだが、雪が少ないことには変わらない。今回雪倉に上がる途中の瀬戸川のスノーブリッジは問題なく渡れたが、このままだと1週間先でも危ないかなと言う感じであった。

3月31日(火) 晴れ後曇り
蓮華温泉より天狗原、白馬乗鞍岳、栂池高原
単独
登行高度:980m 滑降高度:1630m

   3人ずれのグループ、Iさんと一緒に蓮華温泉を7時50分過ぎに出た。平岩まで下るという彼らと別れて一人で天狗原へ登り返した。大勢の先行のグループが上がったトレースがあるので歩きやすい。途中で先行のグループを追い越して天狗原には11時前に付いた。風が出てきており寒くなってきた。時間が早いので、さらに白馬乗鞍岳まで上が12時に頂上に到着。上は風が強く寒かったが、頂上で昼食休憩。その後シールをはずして滑り出した。雪はクラストしていて滑りは昨日と比べて快適でない。天狗原から下は雪面が荒らされた所で硬くなっているか、最中雪で少し苦労しながら滑りおりて、圧雪された林道に達した。後は林道を滑りゲレンデに達し、長いゲレンデを滑って下の駐車場に13時40分に達し今回の山スキー行が終わりになった。


                 天狗原への登り返し