サツマイモ
1.2016年のサツマイモの栽培記録
  (8品種:(べにはるか、ベニアズマ、パープルスイートロード、太白、安納イモ、アイコマチ、シルクスイート、南端蜜姫)の苗183本を植え付け。総収量:98kg)
2.2013年のサツマイモの栽培記録
  (5品種:(べにはるか、ベニアズマ、パープルスイートロード、太白、安納イモ)それぞれ25本の苗を植え付け)

サツマイモあれこれ
1.サツマイモの歴史
2.サツマイモの品種
3・栽培してみたサツマイモの品種
4.サツマイモの保存
5.サツマイモの食べ方

1.2016年のサツマイモ

  今年春に植えつけたサツマイモの苗はすべて購入あるいは供与して頂いたものを用いた。試しに、昨年収穫した安納いも、アイコマチを種蒔用の培土を入れた発泡スチロールの箱に植え付け、簡易温室に保存して発芽させてみた。保温が不十分であったためか発芽が遅れて苗として使える状態になるまで時間がかかり畑への植え付けまでに間に合わなった。

  結局購入した苗、あるいは供与を受けた苗を4月下旬から6月上旬にかけて植え付けた。植えつけたのは近くの農業資材店から苗を購入した6品種(太白、パープルスイートロード、紅アズマ、紅ハルカ、安納イモ、シルクスイート)、インターネットを経由して苗を購入した1品種(アイコマチ)、和歌山のS氏より試しに供与を受けた1品種(南端蜜姫)である。

  植え付け前に発酵鶏糞肥料を施肥してから耕運機で耕した後、6本の畝を作った。畝幅は70cmで一畝の長さが約11m。畝に黒マルチフィルムを敷いてマルチフィルムの中央に鎌で10cm位の長さで切り込みを入れた。その切込みに苗を斜め上から差し込んで植え付けた。植え付けた周りに土をかぶせ散水した。30本の苗を約11mの畝に植え付けた。

  殆どの苗が活着したが、一部枯れてしまったものがあった。それらは後に成長したツルを切って苗として追加植え付けしたが、追加植え付けの株は出来が良く無かったようである。

  畝間のマルチフィルムに覆われていない部分は大量の雑草が生えてくる。この雑草が大きくなると手に負えなくなるので、透水性の防草シートを敷いた。成長して蔓が繁茂して来た所で畝間の防草シートを撤去した。7、8月に合わせて2度ほど蔓返しをした。

  10月上旬から下旬にかけてすべてのサツマイモを収穫して収量を計った。

  同じ畑に隣り合って植え付けた苗でも品種により収量が全く異なる。今年は、ベニアズマ、ベニハルカ、シルクスイートの収量が良かったが、パープルスイートの収量が低かった。

  これらの収量の違いが気温や気候によるもの、品種が持っている特性の他、苗がウイルスに感染していたかと言う可能性もある。ウイルスフリーの苗も売っているが、高価である。

  ベニハルカはサイズも適当な大きさのものが多く収量も高い。また、味が良いのが特徴である。ここ数年ベニハルカを作って来たが、毎年収量が良い。1品種を作るとするとベニハルカだろう。最近スーパーなどに出回っているものもベニハルカが増えている。

  シルクスイートは今年初めて作って見たが、収量も良く味も良いので作る価値があるが、新しく開発された品種で苗が高価である。

  安納イモも味は良いが、全体に小粒で収量がやや低い。南端蜜姫は和歌山県特産の品種で、今年初めて作って見たが、外見、味、皮の色が安納いもと似ていてねっとりした甘さがある。おまけに一株当たりの収量も類似していた。しかし、安納イモがずんぐりした小粒のものが多いのに対して、南端蜜姫はやや大きめですらりとしたものが多かった。両者はもともとの起源が似ているのかも知れない。

  ベニアズマは1昨年は良くできたが昨年は余りよく無かった。しかし、今年はまあまあの出来であった。気温や気候に影響だろうか?

  アイコマチも新しい品種で昨年から作っているが、苗の購入費は高い上、収量はやや低い。味は甘いねっとりとした感じで、サツマイモから作るスイーツの原料には好適だとの事である。

品種 購入先 植付量 苗代 収穫
10月上旬
10月中旬  10月下旬
一株当たりの
平均収量*(kg)
太白 27 540 11.5 0.43
パープルスイートロード 26 540 6.2 0.24
ベニアズマ 29 350 18.6 0.64
ベニハルカ 26 540 25.8 0.99
安納イモ 26 540 10 0.38
南端蜜姫 S  10
供与     3.9   0.39
アイコマチ K 11 1274(送料込み)   5.5     0.5 
シルクスイート  F  28 980       16.9 0.65

2.2013年のサツマイモ

  今年春に植えつけたサツマイモの苗はすべて購入した。昨年収穫した芋から発芽させて苗を作るには温室やビニールハウスで苗作りをやる必要がある。また、種イモとして春まで保存する必要がある。大量に苗を植え付ける場合には自家製の苗を作る方が良いだろうが、それほど大量でないので苗を購入することにしている。植えつけたのは5品種(太白、パープルスイートロード、紅アズマ、紅ハルカ、安納イモ)でそれぞれ25本、総計125本。植えつけた時期は5月14日〜6月2日。苗を買い付けた翌日に植えた。

  植え付け前に発酵鶏糞肥料を施肥してから耕運機で耕した後、5本の畝を作った。畝幅は80cmで一畝の長さが約10m。畝に黒マルチフィルムを敷いてマルチフィルムの中央にカッターで10cm位の長さで切り込みを入れた。その切込みに苗を斜め上から差し込んで植え付けた。植え付けた周りに土をかぶせ散水した。25本の苗を約10mの畝に植え付けたので約40cmの苗間となる。

  殆どの苗が活着したが、一部枯れてしまったものがあった。それらは後に成長したツルを切って苗として追加植え付けしたが、追加植え付けの株は出来が良く無かったようである。

  畝間のマルチフィルムに覆われていない部分は大量の雑草が生えてくる。この雑草が大きくなると手に負えなくなるので、透水性の防草シートを敷いた。後はそのまま放置。サツマイモは手間がかからないのが良い。成長して蔓が繁茂して来た所で畝間の防草シートを撤去した。7、8月に合わせて2度ほど蔓返しをした。

  9月14日に初めてベニハルカ、ベニアズマ、パープルスイートロード、太白を1〜2株試掘りした。その後、10月末まで3,4回に分けて1〜3株掘った。

  11月11日に残っていたそれぞれ14株のさつまいも(紅ハルカ、紅アズマ、太白は、パープルスイートロード)をすべて収穫し収量を計った。
  11月19日に残っていた安納イモ14株を収穫し収量を計った。

  ほぼ同じ時期に購入し同じ畑に隣り合って植え付けた苗でも品種により収量が全く異なる。今年は、パープルスイートロード、ベニハルカ、太白の収量が良かったが、ベニアズマ、安納イモは収量が低かった。ベニハルカはサイズも適当な大きさのものが多く、また、味が良いのが特徴である。安納イモも味は良いが、全体に小粒で収量が低い。ベニアズマは昨年は良くできたのに今年は余りよく無かった。ベニアズマ、安納イモいずれも全く芋が出来ていなかった株もあり、苗に問題があったのかも知れないが、理由はわからない。


太白                                パープルスイートロード                   ベニアズマ
  


                 ベニハルカ                            安納イモ
                  

2013サツマイモ
品種 購入先 植付量 苗代 収穫
円/25本 9月14
 (株)
10月 
 (株)
11月上旬
 (株)
11月中旬
 (株)
11月中旬
(kg/14株)
一株当たりの
平均収量*(kg)
太白 25 398 14 9.5 0.68
パープルスイートロード 25 498 14 11.0 0.79
ベニアズマ 25 398 14 11.0 0.79
ベニハルカ 25 398 14 6.3 0.45
安納イモ 25 498 14 5.2 0.37

:11月中旬の14株の平均


サツマイモあれこれ

1.サツマイモの歴史

 
   さつまいもは中南米原産で16世紀にスペイン人あるいはポルトガル人によって東南アジアにもたらされた。そこから中国を経由して17世始めに琉球に伝わった。さらに、18世紀始めに琉球から薩摩藩(鹿児島県)に伝来した。中国(唐)から伝来したため琉球や九州では唐芋と呼ばれている。やせ地でも良く育つため広く栽培されるようになった。

1730年代の享保の大飢饉で深刻な食糧不足に陥ったため、青木昆陽はサツマイモの効用を書いた蕃藷考を著し、薩摩藩からサツマイモ
の苗を取り寄せ、日本国内での栽培を広めた。薩摩を経由して日本国内に拡がったので薩摩芋と呼ばれている。


   サツマイモの主要産地は南九州(鹿児島県、宮崎県、大分県など)と四国(徳島県)、南関東(千葉県、茨城県など)である。

サツマイモはヒルガオ科サツマイモ属に分類される植物で朝顔や昼顔に近い。サツマイモの花はめったに見ることが出来ないが、数年前
に一度だけ朝顔に似た花を見たことがある。


2.サツマイモの品種

日本でサツマイモの品種として登録されているものは数十種ある。現在でも多収量で食味に優れた品種の改良がなされており優れた
品種が新たに登
場している。それ以外に過去に栽培されたり登録されていた品種で今は無くなっているものもかなりあるようである。品種によって、食味、甘さ、色、収量などが異なるがサツマイモであることに変わりは無い。日本イモ類研究会のHP(http://www.jrt.gr.jp))にはイモ類の品種解説などが詳しく出ている。   
   サツマイモの品種としては関東で多く栽培されている紅アズマ、関西で良く栽培されている鳴門金時が有名であるが、それ以外の新しい
品種も各地で栽培されるようになった。特に、種子島の安納イモは食味が良いことで有名である。

  また、最近開発されたベニハルカは安納イモに勝るとも劣らない食味で収量が良いので注目されている。自分で両方を栽培して食べ比べて見た限りでは食べ方にもよるがベニハルカの方がおいしいかなと言う印象を受けた。多分、種子島産の安納イモならもっと食味は良いかと思われるが、自家製のおいしいサツマイモが大量にあるのに、わざわざ種子島産安納イモを買って食べ比べる気にならない。

3.自分で栽培して見たサツマイモの品種  

 
ベニアズマ

    農水省農業研究センターで開発された品種で昭和59年に農林59号として品種登録された。イモの皮は濃い赤紫色で、肉色は黄色である。イモは長紡錘形で収量は比較的よい。マルチ栽培すると早掘りが出来て8月下旬でも小ぶりだが新しい芋を楽しむことが出来る。逆に収穫が遅過ぎると大きくなるのは良いが、縦溝が出来てしまう。食味は良いが粉質でホクホクとしていて焼き芋、てんぷらなどでおいしいが喉に詰まる。関東で最も多く栽培されていて、スーパーなどで一般に売られている。蒸して干しイモにするためスライスすると崩れやすいので干しイモには向かない。
    サツマイモを栽培するようになって15年以上経つが、最初から毎年作っているのはベニアズマだけである。

   太白

    古い品種で明治の終わりごろ九州地方から埼玉県に入ったらしい。埼玉県の川越を中心にかっては大量に栽培されたとのことであるが、今はほとんど栽培されておらず、市場にも出ていない幻のサツマイモだとか。イモは長紡錘形で皮は鮮紅色、肉は白色、粘質で甘みが強いとイモ類研究会のHPの品種解説では書かれていた。
    近くの農業資材店から毎年4〜5月に太白の苗という事で10年近く毎年購入して植え付けている。しかし、取れるイモの皮は赤紫色で無くむしろ白色に近い。取れるイモは長紡錘形のものもあるが丸いものもある。肉は白色で粘質であるが甘さはそれほど強く無い。
    それでは太白と言う事で買っている苗の品種は何だろうか?インターネットで太白芋を調べると、サイトによってはむしろ白い皮の自分が栽培したのと同じようなものを太白としている。太白と言っても品種的に異なるものが存在するのであろうか?
    作った太白は粘質でやや水気があり水っぽいが、蒸した後干しイモにすると水気が無くなり甘みが増して非常においしい。太白は干しイモに向くので毎年作っている。

   安納イモ
    
    安納イモは戦後、南方の戦地から兵士が持ち帰った苗を種子島の安納地区で栽培されたのが始まりであったとのことである。安納イモは食味に優れていたので、この在来の安納イモの苗が他の地域にも行き渡り栽培されるようになった。自分が農業資材店から購入した安納イモの苗も在来の安納イモのようである。
   一方、種子島では県の試験場でそれまで栽培されていた在来の安納いもから食味、外観、収量などがすぐれた個体の選別、固定化をして新たに安納こがね、安納紅として登録。現在は種子島特産のおいしい安納イモはこの改良されたもので、種子島以外では栽培出来ないとの事である。ただし、平成26年からこの改良された安納イモの種子島での独占栽培の権利が無くなるようである。

   自分は昨年(2012年)初めて安納イモの苗を農業資材店で購入し栽培して見た。収量は低く、出来た芋も小ぶりのものが多かったが、味と彩りが良かったので今年(2013年)も栽培した。

   鳴門金時

   主に関西で流通しているサツマイモで名前の通り徳島県が主産地である。高系14号と言う品種から選別された品種で、皮は赤紫色で肉は黄白色。ベニアズマ程でないが、ややホクホクしていて甘いのが特徴。鳴門金時は2年前(2011年)に作って見たが、食味がベニアズマとさほど変わりが無いのと、サツマイモを植え付けるスペースにも限りがあるのでそれ以後植えていない。

パープルスイートロード(紫芋)

独立行政法人農業技術研究機構で開発された品種で平成16年に農林56として品種登録された。いもの皮は濃い赤紫で、肉色は紫色
で鮮やかである。紫色の色素はアントシアニンで、ブルーベリーなどの青色と同じ色素である。やはり目に良いのだろうか?
  やや粉質でホクホクした感じで、焼き芋や蒸し芋で食べるとおいしいがやや甘みが少ない。我が家は甘さ控えめが好みなのでパープルスイートロードは好みの品種である。蒸し芋を薄く切って干し芋にし、半乾きの状態で食べてもおいしい。


 
 5,6年前に栽培した経験では適当なサイズの大きさのイモが収量多く取れるしおいしいので以後毎年栽培している。

紅ハルカ

独立行政法人九州沖縄農業センターで開発された品種で平成22年に農林64号として品種登録された。食味が他の既存品種よりはるかに
優れているということで、紅ハルカと命名された。いもの皮は赤紫、肉色は黄白色である。平成24年に初めて作ってみたが、確かに焼き芋、蒸し芋、干し芋いずれにしても、しっとりした感触でクリーミーな上、甘みが高くておいしい。また冷めてもおいしさが落ちないのが良い。しかし、蒸し芋では水けが多すぎてべちゃべちゃした感じになることがある。このような蒸し芋もスライスして
23日乾かした半乾きの干し芋にすると非常においしい。
  
平成24年に栽培した結果収量が多いし食味も良かったので平成25年も栽培した。やはり、収量、食味とも良いので今後毎年栽培しようと思う。

4.サツマイモの保存
   
さつまいもは寒さに弱いので保存が難しい。保存の最適温度は12〜15度でほどほどの湿度で保存すると良いと言う。乾燥し過ぎて湿気があり過ぎても良く無い。掘り取った芋を乾燥せず土付きでそのまま新聞紙にくるんで保存したものは湿気が多すぎてしばらくしてから腐ってきた。一方、掘り取った芋を日陰干しにして
1日置いて土が乾いた状態で新聞紙にくるんで段ボールの箱に入れたものは腐ることは無かった。ただし、傷がついているものはそこから腐って来るので短期間の保存しかできない。

     
長期間の保存のため、使い古しの大型衣装ケースの底に20〜40度のヒーターマットを敷き、サーモスタットで12度以下になったらスイッチ―が入るようにセットした。衣装ケースの中に新聞紙でくるんだ土付きのサツマイモを入れた。サツマイモの入った衣装ケースは蓋をして断熱用に使い古しの毛布、シーツなどを撒いて低温ヒーターのスイッチを入れて保存。衣装ケースの中を最高最低温度計で見ると12〜20度の範囲内に収まっていてサーモスタットがうまく作動していることが分かった。
     これで、サツマイモは来春まで保存出来るか、途中で食べ切ってしまうか、腐るか結果が楽しみ。

5.サツマイモの食べ方
  
サツマイモの食べ方としては、焼きいも蒸しいも(蒸かしいも)、干しいも、天ぷら、油で揚げたサツマイモチップ、大学芋、その他
のサツマイモの加工食品
などいろいろある。
   サツマイモの品種によっておいしい食べ方は異なる。
例えば、太白は焼き芋や蒸しいもは水っぽくてうまく無いが、干し芋にすると水気が飛んで非常においしい。一方、ベニアズマは焼き芋、天ぷらは美味しいが干し芋はあまりうまく無い。ベニハルカはいずれでもうまい。
  サツマイモはやはり焼き芋で食べるのが一番おいしいのではと思う。焼き芋の作り方も石焼き芋、オーブンで焼くやり方。電子レンジを使う方法がある。石焼き芋がやはり一番おいしいと思うが、オーブンでも電子レンジでもやり方によっては結構おいしい焼き芋が出来る。
 
オーブンを使って作った焼き芋:芋をアルミフォイルで包み焼く。包んだフォイルの中から水分が蒸発するようにわずかに隙間をあけておくと水気が無いおいしい焼き芋が出来る。

  
5品種の焼き芋
  (左端:安納いも、中央上:ベニハルカ、中央下:ベニアズマ、右上:パープルスイートロード、右端:太白)
    

  
5品種の干し芋(半乾きの状態が固過ぎず、最もおいしいが保存が難しい)
    左から:太白、パープルスイートロード、ベニアズマ、ベニハルカ、安納イモ 彩は鮮やか。